COBOL(COmmon Business Oriented Language)は、事務処理向けに開発されたプログラム言語です。10進演算、ファイル処理、帳票作成などの事務処理に特化した仕様と英語表現に似た文法で、読みやすくわかりやすいプログラム記述が可能です。
各社COBOL製品では、COBOLアプリケーションを作成するための開発環境とアプリケーションを実行するための実行環境を提供しています。
COBOLアプリケーションは、COBOLの国際規格をベースに作成されたCOBOLプログラム、各種DB、画面定義・帳票定義などから構成されます。以降では、COBOLアプリケーションを構成する、COBOLソースプログラム、登録集、COBOLファイル、各種DB、画面定義・帳票定義などをまとめて、COBOL資産と呼びます。
本書では、COBOLソースプログラム、COBOL登録集およびCOBOLファイルの移行について説明しています。
COBOLソースプログラムおよび登録集の移行
COBOLの国際規格の範囲内で作成されたCOBOLソースプログラムおよび登録集であれば、比較的簡単に移行できます。ただし、移行元のOSや他社COBOL固有の機能を使っている場合は、移行先のOSおよびCOBOL製品仕様に合わせた修正が必要です。
他社COBOLとNetCOBOL共通の機能範囲で記述されたソースプログラムおよび登録集の場合には特に問題なく(再翻訳、再結合するだけで)移行できます。しかし、移行元のソースプログラムおよび登録集に他社COBOL拡張仕様を利用していたり、NetCOBOLとの非互換項目が記述されていたりする場合には、再翻訳、再結合するだけでは移行ができません。
NetCOBOLでは、移行を支援するために「翻訳前ソース変換機能」を提供しています。
翻訳前ソース変換機能は、他社COBOLのCOBOL文法に従い記述されたソースをNetCOBOLで翻訳可能なソースに変換します。これにより、他社COBOLで実績のあるソースプログラムを手作業で修正する手間を省き、効率的な移行作業を支援します。
本製品では、以下の他社COBOL文法によって記述されたソースの変換をサポートしています。
Micro Focus COBOL
COBOLソースプログラムおよび登録集の移行については、“第2章 COBOLソースプログラム、登録集の移行”を参照してください。
COBOLファイルの移行
他社COBOLのCOBOL文法で記述されたアプリケーションによって創成されたCOBOLファイルは、そのままではNetCOBOLからアクセスできません。
NetCOBOLでは、NetCOBOLからアクセスできる形式に変換するために「COBOLファイル移行ツール」を提供しています。
本製品では、以下の他社COBOLのCOBOL文法で記述されたアプリケーションによって創成されたCOBOLファイルの変換をサポートしています。
Micro Focus COBOL
COBOLファイルの移行については、“第3章 COBOLファイルの移行”を参照してください。
NetCOBOL資産移行・技術支援サービスについて
他社COBOLからの移行は、COBOLソースプログラム、COBOLファイルシステムの変換・移行のみでなく、システム構成全体を考慮し検討する必要があります。
本機能を使用してNetCOBOLへ移行する場合は、“NetCOBOL資産移行・技術支援サービス”の利用をお薦めします。
“NetCOBOL資産移行・技術支援サービス”については、NetCOBOLシリーズの富士通のサイトをご覧ください。