以下のネットワーク構成における環境設定例を示します。
図のIPアドレスにおけるxx,yy等はアドレス自動構成により自動採番されることを表します。
クラスタシステムの設定については、クラスタシステムのマニュアルを参照してください。
なお、ここでは系間パスの記述は省略してあります。
また、点線は、インタフェースが非活性状態であることを表します。
注意
引継ぎ仮想インタフェースとしてIPv6アドレスを使用した場合、ノード切替え後に通信が再開できるまで、およそ30秒程度の時間がかかる場合があります。この場合、運用ノードと待機ノードの双方であらかじめIPv6ルーティングデーモン(in.ripngd)を起動しておくことにより、ノード切替え後、即座に通信を再開させることができます。詳細については、本マニュアルの"F.2 トラブルシューティング"を参照してください。
[HOST-Aの設定]
1) システムの設定
1-1) /etc/inet/ndpd.confファイルを作成し、以下の設定を行います。
ifdefault AdvSendAdvertisements true # すべてのInterfaceでルータ広報を送信 prefix fec0:1::0/64 sha0 # sha0からPrefix fec0:1::0/64を送信 |
注意
高速切替方式が動作するSolarisサーバにおいて、2台以上をIPv6ルータとして設定してください。IPv6ルータの故障が発生した場合、サイトローカルアドレスを使用した通信が行えなくなるため、最低でも2台をIPv6ルータとして設定することを推奨します。
なお、/etc/inet/ndpd.confの詳細については、Solarisのマニュアルを参照してください。
1-2) Solaris 10の場合
/etc/hostname6.fjgi0ファイル、および/etc/hostname6.fjgi1ファイルを空ファイルとして作成します。
1-2) Solaris 11の場合
ipadm(1M)コマンドを用いて使用するインタフェースの設定を行います。
使用インタフェースnet0
# /usr/sbin/ipadm create-ip net0 # /usr/sbin/ipadm create-addr -T addrconf net0/v6 |
使用インタフェースnet1
# /usr/sbin/ipadm create-ip net1 # /usr/sbin/ipadm create-addr -T addrconf net1/v6 |
1-3) /etc/inet/ipnodesファイルに、引継ぎ仮想IPのアドレスおよびホスト名を定義します。
fec0:1::1 v6hosta1 # 引継ぎ仮想IP(1) |
2) リブート(Solaris 10の場合)
以下のコマンドを実行し、システムをリブートします。リブート後は、fjgi0およびfjgi1がIPv6インタフェースとして活性化されていることをifconfigコマンドで確認してください。
# /usr/sbin/shutdown -y -i6 -g0 |
3) 仮想インタフェースの作成
3-1) Solaris 10の場合
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetconfig create inet6 -n sha0 -m t -t fjgi0,fjgi1 |
3-1) Solaris 11の場合
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetconfig create inet6 -n sha0 -m t -t net0,net1 |
4) 引継ぎ仮想インタフェースの作成
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i fec0:1::1/64 |
[HOST-Bの設定]
1) システムの設定
1-1) /etc/inet/ndpd.confファイルを作成します。定義内容はHOST-Aと同じです。
1-2) Solaris 10の場合
/etc/hostname6.fjgi0ファイル、および/etc/hostname6.fjgi1ファイルを空ファイルとして作成します。
1-2) Solaris 11の場合
ipadm(1M)コマンドを用いて使用するインタフェースの設定を行います。
使用インタフェースnet0
# /usr/sbin/ipadm create-ip net0 # /usr/sbin/ipadm create-addr -T addrconf net0/v6 |
使用インタフェースnet1
# /usr/sbin/ipadm create-ip net1 # /usr/sbin/ipadm create-addr -T addrconf net1/v6 |
1-3) /etc/inet/ipnodesファイルに、引継ぎ仮想IPのアドレスおよびホスト名を定義します。定義内容はHOST-Aと同じです。
2) リブート(Solaris 10の場合)
以下のコマンドを実行し、システムをリブートします。リブート後は、fjgi0およびfjgi1がIPv6インタフェースとして活性化されていることをifconfigコマンドで確認してください。
# /usr/sbin/shutdown -y -i6 -g0 |
3) 仮想インタフェースの作成
3-1) Solaris 10の場合
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetconfig create inet6 -n sha0 -m t -t fjgi0,fjgi1 |
3-1) Solaris 11の場合
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetconfig create inet6 -n sha0 -m t -t net0,net1 |
4) 引継ぎ仮想インタフェースの作成
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i fec0:1::1/64 |
[RMS Wizardでの設定]
HOST-Aの手順4)およびHOST-Bの手順4)が完了した後、RMS Wizardを使用し、クラスタ環境設定を行います。
Glsリソースの作成時は、HOST-AおよびHOST-Bに対応するSysNodeを選択します。その後、作成したGlsリソースをクラスタアプリケーションに登録します。
クラスタアプリケーションへの登録時は、HOST-AおよびHOST-Bに対応するSysNodeを運用ノード、待機ノードの順に選択し、引継ぎIPアドレスの“fec0:1::1”を登録します。
クラスタ環境設定が完了した後、クラスタアプリケーションを起動することにより、運用ノードで引継ぎ仮想インタフェースが活性化されます。