Java以外の言語と連携する場合、Java Native Interface(JNI)を使用します。
しかし、JNIの使用方法を誤ると、Javaプロセスの終了(異常終了)などの原因となります。
このとき、以下のオプションを指定することにより、JNI処理で異常が発生した場合にメッセージが出力されますので、JNIのパラメーターなどの確認に活用してください。
JNI処理異常時にメッセージを出力するオプション
-Xcheck:jni |
“-Xcheck:jni”パラメーターを指定したときに、以下のメッセージが出力されることがあります。
JNI処理異常時に出力されるメッセージ
FATAL ERROR in native method: (詳細メッセージ) |
以降で説明する文字列が出力されます。
(詳細メッセージ)が出力される例と注意事項を説明します。
以降の説明を参考にして、JNIの処理部分を見直してください。
メッセージの説明
[異常例] AllocObject関数の第2引数にJNIハンドル経由で受け取ったjclass型ではない型(buf)を指定した場合:
(*env)->AllocObject(env, (jclass)buf); |
[異常例] GetStringUTFChars関数の第2引数にNULLを指定した場合:
(*env)->GetStringUTFChars(env, NULL, 0); |
[異常例] GetArrayLength関数の第2引数にjarray型ではない型を指定した場合:
(*env)->GetArrayLength(env, (jarray)(*env)->NewStringUTF(env, "abc")); |
[異常例] GetIntField関数の第3引数にstaticフィールドを指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
"static_data"は、JNIハンドル経由で受け取ったobjオブジェクトのstaticフィールド名
[異常例] GetIntField関数の第2引数にNULLを指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
"instance_data" は、JNIハンドル経由で受け取ったobjオブジェクトのinstanceフィールド名
注意
instance変数かどうかのチェック時だけに出力されるメッセージです。
以下のように、GetObjectClass関数の第2引数にNULLを指定した場合、 “-Xcheck:jni”オプションによるメッセージは出力されません。
(*env)->GetObjectClass(env, NULL); |
[異常例] GetIntFieldの第3引数に数値を指定した場合:
(*env)->GetIntField(env, obj, -1); |
注意
instance変数かどうかのチェック時だけに出力されるメッセージです。
[異常例] GetStaticIntField関数の第3引数に数値を指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
注意
以下のように、GetStaticFieldID関数の第2引数にinstanceフィールド名を指定した場合、“-Xcheck:jni”オプションによるメッセージは出力されません。
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
"instance_data" は、JNIハンドル経由で受け取ったobjオブジェクトのinstanceフィールド名
[異常例] GetFloatArrayElements関数の第2引数にjintArray型を指定した場合:
jintArray intarray = (*env)->NewIntArray(env, 2); (*env)->GetFloatArrayElements(env, intarray, 0) |
[異常例] GetIntArrayElements関数の第2引数にjobjectArray型を指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
[異常例] GetStaticFloatField関数の第3引数にint型のjfieldIDを指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
"static_data"は、JNIハンドル経由で受け取ったobjオブジェクトのstaticフィールド名
[異常例] GetFloatField関数の第3引数にint型のjfieldIDを指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
"instance_data" は、JNIハンドル経由で受け取ったobjオブジェクトのinstanceフィールド名
[異常例] GetStaticObjectField関数の第2引数に不正なjclassを指定した場合:
jclass cls = (*env)->GetObjectClass(env, obj); |
"static_data"は、JNIハンドル経由で受け取ったobjオブジェクトのstaticフィールド名
[解説]
実行しているスレッドのためのものではないJNIEnvを使用したためのエラーです。
Java VMは、JNIインタフェースポインタ(JNIEnv)が参照する領域を、スレッド固有のデータ領域に割り当てることがあります。このため、JNIインタフェースポインタは、カレントスレッドに対してだけ有効です。ネイティブメソッドは、JNIインタフェースポインタを別のスレッドに渡すといった使い方はできません。
[解説]
ネイティブプログラムで何らかの例外が発生後、その例外を処理せずに引き続きJNI関数を実行したためのエラーです。
ネイティブプログラムでJNI関数を呼び出した後は、その都度ExceptionOccurredを使用して例外の発生状況をチェックし、必要に応じて、例外のクリア、または、例外を上位メソッドへスローしてください。