ジョブネットの定義に複写起動の設定をし、この複写起動を利用して、ジョブネットを多重で実行させることができます。
複写起動が設定されたジョブネット(以降、複写元ジョブネットと呼びます)は、常にジョブネットが複写されて起動します。複写されたジョブネット(以降、複写先ジョブネットと呼びます)のジョブネット名およびジョブネット名称には、サフィックスが自動的に付加されます。このため、ジョブネット名およびジョブネット名称が重複することなく、多重で実行することができるようになります。また、実行結果も上書きされません。
上記のように、複写起動を利用して多重実行させたい場合には、多重実行させたいジョブネットのプロパティ情報に複写起動の設定をしてください。
複写起動について
ジョブネットの定義による複写起動について説明します。
ジョブネットが起動するタイミングで複写されます。
階層化されたジョブネットの場合、2階層目以降も複写されます。
複写元ジョブネットの状態が以下の場合は、複写起動されません。
無効
停止
複写起動された場合、複写元ジョブネットは起動されないため、状態は実行待ちになります。複写先ジョブネットは、サフィックスが付加され、実行中となります。
複写起動できなかった場合、複写元ジョブネットは異常終了となります。
ジョブネットの遅延監視で複写元ジョブネットに終了予定時刻を設定し、起動条件が成立する前に終了予定時刻が到来した場合、以下については、複写起動前であれば複写元ジョブネットの情報が、複写起動後であれば複写先ジョブネットの情報が設定されます。
終了遅延メッセージに出力されるジョブネット名
終了遅延出口の出口プログラムに渡される以下のパラメタ
ジョブネット名
ジョブネット名称
ジョブネットの状態
複写元ジョブネットにjobschmsgeventコマンドの-cオプションが指定されている場合は、その指定に従って複写されます。
注意
リンクジョブネットを含むジョブネットの複写起動について
リンクジョブネットを含む親ジョブネットは、複写起動することができます。
複写起動により複写されたリンクジョブネット、およびその階層下のジョブネットの複写先ジョブネットは、リンクジョブネットとして動作しません。マスタリンクジョブネットを変更しても、変更した内容は複写先のリンクジョブネットに反映されません。複写先のジョブネットは、複写起動の仕様で動作します。
複写先ジョブネットの自動削除について
複写先ジョブネットの保存数が増えすぎることによる性能への影響を防ぐため、不要な複写先ジョブネットは削除する必要があります。そのため、複写先ジョブネットの保存数が[複写先ジョブネットの保存数]で指定された数を超えた場合には、古いものから順に自動で削除されます。
自動削除について、以下に説明します。
削除は複写起動されるタイミングで行われます。このタイミングで、複写先ジョブネットの保存数が、以下のようにカウントされます。
正常終了した複写先ジョブネットがカウントされます。
複写先ジョブネットが階層化されている場合、最上位の親ジョブネットのみカウントされます。子ジョブネットはカウントされません。
削除される時点で以下の状態のジョブネットは、カウントおよび削除の対象外になります。このため、一時的に指定した保存数を超える場合があります。
実行中
終了遅延
警告
異常終了([確認操作の詳細設定]ウィンドウで[ジョブネットの確認操作を有効とする]が指定されている場合)
強制終了([確認操作の詳細設定]ウィンドウで[ジョブネットの確認操作を有効とする]と[強制終了を確認操作の対象とする]が指定されている場合)
複写先ジョブネットが階層化されている場合、階層全体が削除されます。
削除された複写先ジョブネットの実行結果の履歴は、参照することができません。
自動削除された場合、業務選択ツリーには即座に反映されません。自動削除後も、業務選択ツリーに削除されたジョブネット表示が残ります。業務選択ツリーでの選択や、[ジョブ一覧]ウィンドウの自動更新などで、すでに削除されたジョブネットの情報を表示しようとすると、以下のエラーメッセージが表示されます。
ジョブネット情報が登録されていません。 |
このような場合には、自動削除された結果が業務選択ツリーに反映されるよう、[表示]メニューから[業務選択ツリーの更新]を行ってください。
複写起動するジョブネット(複写元ジョブネット)の定義
[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウの[基本情報]シートで、[複写起動する]を指定してジョブネットのプロパティ情報を設定します。設定の詳細については、“4.2.3 ジョブネットを登録する”を参照してください。
なお、複写起動を指定したジョブネットおよびジョブの状態については、停止中・無効の場合を除き、すべて実行待ち状態になります。
以下のジョブネットは、複写起動を指定できません
ジョブ実行制御属性以外のジョブネット
終了処理ジョブネット(ジョブネット名がJSHEND、またはJSHFORCEの場合)【Windows版】
ジョブネット名が35バイト以上、またはジョブネット名称が85バイト以上のジョブネット(階層化されている場合、配下のジョブネット名またはジョブネット名称が上限値を超えている場合も、複写起動を指定できません)
注意
[複写起動する]を指定した場合、[メッセージ]シートの[ジョブネット実行中も有効]は無視されます。
複写元ジョブネットに対するジョブの一時変更は、複写先ジョブネットには反映されません。
複写元ジョブネットに設定されているカレンダや起動日雛形を削除したい場合は、複写先ジョブネットを削除する必要があります。
複写されたジョブネット(複写先ジョブネット)について
ジョブネットの定義による複写起動をした場合の、複写先ジョブネットについて説明します。
複写されたジョブネット名およびジョブネット名称は、以下のようになります。
複写元ジョブネットの名前_サフィックス |
サフィックスは、ジョブネットが実行されたシステム時間(*1)が、YYMMDDhhmmssfff(年月日時分秒ミリ秒)形式で付加されます。
(*1): 一意性を保証するためにシステム時間を利用していますが、正確な時間を保障するものではありません。なお、仮想時間を使用している場合は仮想時間になります。
注意
“複写元ジョブネット名_サフィックス”と一致するジョブネットがすでに存在していた場合、複写起動に失敗することがあります。この場合、複写元ジョブネットは異常終了となり、ジョブネットの終了コードが242(複写起動に失敗しました)になります。
複写先ジョブネットには、複写元の起動条件、基準ジョブネットの設定情報は継承されません。起動条件“なし”の設定となります。
複写先ジョブネット内のジョブについては、操作による状態(無効・停止)が継承されます。
複写先ジョブネットに対して、GUI、コマンドおよびAPIで以下の操作はできません。
[操作]メニューの[停止]、[停止解除]、[無効]、[無効解除]、[終了取消]、[持越解除]
[変更]
[再利用]
[コピー]
[起動日]
[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウでの変更
[ジョブネットの一時変更]
[ジョブネットの一時変更解除]
jobschsetnetコマンドの -nent/-nche/-ncpy/-sent/-sdel オプション
jobschcontrolコマンドのpause/continue/disable/enable/reinstate/revokeオプション
jobschprint -sコマンド
jobschprint -l(-L)コマンド
jobschprint -m(-M)コマンド
jobschprintcsv -lコマンド
複写起動後、複写先ジョブネットは、業務選択ウィンドウの業務選択ツリーに即座に反映されません。ウィンドウを再表示したタイミングで、業務選択ツリーに反映されます。そのため、複写先ジョブネットの最新状態を確認する前には、[表示]メニューから[業務選択ツリーの更新]を行ってください。
複写先ジョブネットの親ジョブネットを削除した場合、配下のジョブネットもすべて削除されます。
複写先ジョブネットは持ち越しされません。
複写先ジョブネットは、GUIを利用したジョブネット定義情報のエクスポートでは出力されません。
jobschprint -rコマンドで出力した複写先ジョブネットの制御文をインポートした場合、インポート後は通常のジョブネットになります