ページの先頭行へ戻る
ETERNUS SF Storage Cruiser 16.4 運用ガイド Optimization機能編
FUJITSU Storage

2.1 階層化ポリシー

ストレージ自動階層制御による、ボリューム内のデータの移動基準は、“階層化ポリシー”として定義します。
階層化ポリシーの設定に対する考え方を以下に示します。

評価基準

ボリューム内のデータを移動するために用いるアクセス状況を考慮した、対象ボリュームに対するIOPSの評価期間内の、「ピーク値」または「平均値」です。

評価期間において、短時間であってもIOPS値の高いデータを高速なディスクに配置するには「ピーク値」を、IOPS値が定常的に高いデータを配置するには「平均値」を選択します。
対象ボリュームのデータへのアクセス状況に応じて、選択してください。

評価期間

対象ボリューム内のデータへのアクセス状況を評価する期間です。
システム構成や利用形態に応じて、以下から選択できます。

  • 時間単位(2、4、6、8、12時間)

  • 日単位(1~31日)

  • 週単位(1週)

日単位の値を選択した場合は、1日(24時間)のうち、評価したい時間帯を指定できます。また、アクセス状況データを評価、再配置を開始する時刻(ストレージ自動階層制御実行時間)を指定できます。

週単位を選択した場合は、日曜日~土曜日の期間を評価対象として、アクセス状況データを評価します。評価対象とする曜日は、「評価対象曜日」で指定します。また、日単位を選択した場合の指定に加えて、「評価実施曜日」を指定できます。

対象ボリュームを利用している業務への影響を考慮したうえで、適切な評価期間、評価対象とする時間帯、再配置を開始する時刻を設定してください。

業務時間が9:00~17:00、バックアップが0:00~2:00のシステムの場合、かつ、業務I/Oだけをストレージ自動階層制御の対象として毎日再配置を実行する場合の設定は、以下のとおりです。

項目名

指定内容

評価期間

1日

評価対象時間帯

9:00~17:00

ストレージ自動階層制御実行時間

2:00


ポイント

ストレージ自動階層制御は、階層化ポリシーの設定内容に従ってデータを再配置します。再配置ではストレージ装置内のディスク間でデータの移動が発生するため、再配置が完了するまでに必要な時間は、再配置対象のデータ量によって異なります。再配置対象のデータ量が多い場合は、次回の評価までにすべてのデータの再配置が完了しないことがあります。再配置が完了する前に次の評価処理が動作すると、実行中の再配置処理は、再配置結果が"Normal Suspended"となって終了します。

すべてのデータの再配置が完了しない状態でストレージ自動階層制御の運用を継続している場合は、ストレージ自動階層制御による効果を得られないことがあります。再配置が完了できるように階層化ポリシーの評価期間を再設定することを推奨します。

評価期間に対する再配置完了可能なデータ量の目安は、以下のとおりです。

評価期間

再配置可能なデータ量の目安(注)

2時間

600GB

注: ストレージ装置内のディスク構成やストレージ装置への負荷状況によって異なります。

再配置可能なデータ量の目安を基準として、再配置を完了できる評価期間を算出できます。
例えば、再配置対象のデータ量が5TBの場合、以下の計算結果から、評価期間を17時間以上に設定することで再配置を完了できます。

5TB ÷ (600GB ÷ 2時間) ≒ 17時間

階層化ポリシーの「ストレージ自動階層制御制限時間」を設定する場合は、再配置を開始してから再配置を打ち切るまでの期間を評価期間と置き換えてください。

注意

ETERNUS DX S2 series (DX60 S2を除く)で評価対象時間帯を設定している場合、再配置処理の完了時刻が評価対象時間帯の終了時刻を越えると、次回の再配置処理では、再配置結果が"Error Suspended"となることがあります。このため、評価対象時間帯の終了時刻を越えて再配置処理が動作しないように、階層化ポリシーの「ストレージ自動階層制御制限時間」を設定してください。
例えば、評価対象時間帯を9:00~17:00に設定している場合は、「ストレージ自動階層制御制限時間」を17:00以前に設定してください。

評価基準や評価期間の最適値は、システム構成や利用形態に依存します。
このため、ストレージ自動階層制御では、3種類の実行モード(Auto、Semi-Auto、Manual)を用意しています。"Semi-Auto"または"Manual"の実行モードでは、ボリューム内のデータを実際に移動することなく、移動対象のボリュームやそのデータ量を把握できます。階層化を詳細に制御する場合で、IOPSの値を決めるときに使用してください。
以下に、それぞれの実行モードについて説明します。

実行モード

実行内容

選択目的

階層化ポリシーに従った
自動実行の対象

手動で必要となる作業

Auto

  • ボリューム内データの再配置に必要なアクセス状況データの収集・評価

  • ボリューム内データの再配置

通常運用時に選択します。

Semi-Auto

  • ボリューム内データの再配置に必要なアクセス状況データの収集・評価

  • 評価結果の確認と、必要に応じてボリューム内データの再配置

以下の場合に選択します。

  • 評価基準を見直したい

  • 移動候補から、移動対象を任意に選択したい

Manual

  • ボリューム内データの再配置に必要なアクセス状況データの収集

  • アクセス状況データの評価

  • 評価結果の確認と、必要に応じてボリューム内データの再配置

以下の場合に選択します。

  • 一時的に評価の基準値を変更して実行したい

  • 基準値の妥当性を見極めたい

ボリューム内のデータを移動するためのアクセス状況データの、評価対象曜日および評価対象除外日を指定できます。業務に沿って評価対象をきめ細かく設定する場合に指定してください。
評価対象曜日には、アクセス状況データの評価の対象とする曜日を指定します。
評価対象除外日には、アクセス状況データの評価の対象外とする日付を指定します。

注意

OSのサマータイム機能を有効にしている場合、サマータイムの切替えが行われる時刻をストレージ自動階層制御実行時間に設定しないでください。アクセス状況データの評価、およびボリューム内データの再配置が、正しく行われません。