以下のネットワーク構成における環境設定例を示します。
ネットワークの二重化は、KVMホストで実施します。クラスタシステムと連携する場合、KVMゲストにGLSを導入してください。クラスタシステムだけではなく、様々なサーバをKVMゲストに集約する場合、本構成を選択します。
GLS以外のネットワークの設定については、“3.2.2 ネットワークの設定”を参照してください。
クラスタシステムの設定については、クラスタシステムのマニュアルを参照してください。
なお、ここでは系間パスの記述は省略してあります。
また、点線は、インタフェースが非活性状態であることを表します。
[KVMホスト1/KVMホスト2の設定]
GLSの設定は、“D.6.1 KVMホスト上でゲストドメインのネットワークを高信頼化する設定例(非タグVLAN)”と同じです。KVMホスト1では、仮想インタフェース(sha0、sha1)上に仮想ブリッジ(br0、br1)を設定します。
[KVMゲスト1/KVMゲスト2の設定]
GLSの設定は、“B.4.13 クラスタシステムによる設定例(NIC非冗長構成)”と同じです。ただし、HUB監視のパラメタを変更する必要があります。これは、KVMホストの仮想NIC方式が通信を切り替える前に、KVMゲストのNIC切替方式が全系故障を検出しないようにするためです。
仮想NIC方式の最長検出時間(HUB監視のリンクアップ待ち時間) < NIC切替方式の最短検出時間(HUB監視の異常検出時間) |
デフォルトでは以下のように設定されています。
方式 | 項目 | 設定値 | 異常検出時間 | |
---|---|---|---|---|
仮想NIC方式 | リンクアップ待ち時間 | 45 | 47秒 | (3秒 × 15回 + 2秒) |
NIC切替方式 | 異常検出時間 | 5×5 | 22秒 | (5 × (5 - 1) + 2秒) |
HUB監視のパラメタは、仮想NIC方式の最長検出時間(47秒)より、NIC切替方式の最短検出時間(22秒)が長くなるように設定します。
例えば、NIC切替方式のパラメタを52秒に変更する場合、以下のようになります。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll off
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on -c 11
方式 | 項目 | 設定値 | 異常検出時間 | |
---|---|---|---|---|
仮想NIC方式 | リンクアップ待ち時間 | 45 | 47秒 | (3秒 × 15回 + 2秒) |
NIC切替方式 | 異常検出時間 | 5×11 | 52秒 | (5 × (11 - 1) + 2秒) |
ポイント
仮想NIC方式は、運用開始後、3秒間隔5回でネットワーク監視を実施します。ただし、監視開始直後は、リンクアップ待ち時間(45秒)が経過するまで異常検出を待ち合わせるため、仮想NIC方式の最長の検出時間は、リンクアップ待ち時間で見積もる必要があります。
[RMS Wizardでの設定]
1) クラスタ環境設定
KVMゲスト1およびKVMゲスト2の設定が完了した後、作成した引継ぎ仮想インタフェースを、Glsリソースとして登録し、クラスタアプリケーションを作成します。クラスタ環境設定は、RMS Wizardを使用して実施します。詳細については、マニュアル“PRIMECLUSTER 導入運用手引書”を参照してください。
2) クラスタアプリケーションの起動
クラスタ環境設定が完了した後、クラスタアプリケーションを起動することにより、運用ノードで引継ぎ仮想インタフェースが活性化されます。