【名前】
hanetobserv - 通信相手ホスト監視機能の設定・削除・表示
【形式】
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv command [args]
【機能説明】
hanetobservコマンドは、GS連携方式を運用する場合に必要な監視先情報の設定/削除/表示および各設定値の変更を行います。
コマンド | 処理概要 | 実行権限 |
---|---|---|
create | 監視先情報の設定 | スーパユーザ |
delete | 監視先情報の削除 | スーパユーザ |
監視先情報の表示 | 一般ユーザ | |
param | 監視先情報の各設定値の変更 | スーパユーザ |
(1) create コマンド
GS連携方式を使用する場合には、通信相手ホストを監視する必要があります。これにより、異常発生時に他の経路を使用して通信を継続する事ができます。本設定では、この通信相手ホスト情報をcreate コマンドによって生成します。監視先を設定する為のコマンド形式は以下のとおりです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv create -n node -i ipaddress -t [routeraddress1+]nicaddress1[,[routeraddress2+]nicaddress2,...] |
-n node
通信相手ホストを識別する半角16文字以内の任意の名前を指定します。
-i ipaddress
通信相手ホストが保持している仮想インタフェースのIPアドレス、またはホスト名を指定します。最大128個まで設定できます。ホスト名は、/etc/hostsファイル等のネットワークデータベースにおいて、IPアドレスとの対応づけが行われていなければなりません。
-t [routeraddress1+]nicaddress1[,[routeraddress2+]nicaddress2,...]
通信相手ホストが保持している仮想インタフェースによって束ねられる物理インタフェースのIPアドレスを、カンマ(“,”)で区切って指定します。IPアドレスは最大32個まで設定できます。
また、ルータを経由して通信相手ホストとリモートネットワーク通信を行う場合は‘隣接ルータのIPアドレス+物理インタフェースのIPアドレス’の形式で指定します。
クラスタ相手ノードの仮想インタフェースによって束ねられる物理インタフェースのIPアドレス、および隣接するスイッチのIPアドレスを、カンマ(“,”)で区切って指定します。
なお、これらのIPアドレスは、ホスト名で指定することもできます。
nicaddressX
仮想インタフェースによって束ねられる物理インタフェースのIPアドレスまたはホスト名を指定します。
routeraddressX
自システムに隣接するルータのIPアドレスまたはホスト名を指定します。なお、GSとの接続においてルータを経由したリモートネットワーク通信を行わない場合は省略可能です。
(2) delete コマンド
create コマンドによって生成した監視先情報を削除します。コマンドの実行形式は以下のとおりです。
すべての監視先情報を削除する場合: /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n all 監視先の相手ノード名を指定して削除する場合: /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n node1[,node2,...] 監視先の仮想IPアドレスを指定して削除する場合: /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n node -i ipaddress1[,ipaddress2,...] 監視先の物理IPアドレスおよびルータIPアドレスを指定して削除する場合: /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n node -i ipaddress -t [routeraddress1+]nicaddress1[,[routeraddress2+]nicaddress2,...] |
-n all | node1[,node2,...]
通信相手ホスト名を指定します。通信相手ホスト名は、カンマで区切り、複数指定することもできます。
all
通信相手ホスト名にallを指定した場合は、すべての監視先情報を削除します。
nodeX
監視先情報に設定されている削除したい通信相手ホスト名を指定します。
-i ipaddress1[,ipaddress2,...]
通信相手ホストの仮想IPアドレス、またはホスト名を指定します。カンマで区切り、複数指定することもできます。
ipaddressX
通信相手ホスト配下の仮想インタフェースに付加している仮想IPアドレス、またはホスト名を指定します。通信相手ホスト配下に仮想インタフェースが1つだけ定義されている場合は、通信相手ホストの定義情報も同時に削除されます。
-t [routeraddress1+]nicaddress1[,[routeraddress2+]nicaddress2,...]
削除するIPアドレス、またはホスト名を指定します。削除するIPアドレス、またはホスト名の組み合わせについては、hanetobservのprintコマンドで確認してください。
nicaddressX
仮想インタフェースによって束ねられる物理インタフェースのIPアドレスまたはホスト名を指定します。
routeraddressX
自システムに隣接するルータのIPアドレスまたはホスト名を指定します。
(3) print コマンド
現在の監視先情報をprintコマンドによって表示することができます。printコマンドの形式は以下のとおりです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv print |
以下に監視先情報の表示例を示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv print interval(s) = 5 sec times(c) = 5 times idle(p) = 60 sec repair_time(b) = 5 sec repair_retry(r) = 0 times fail over mode(f) = YES Destination Host Virtual Address (Router Address+)NIC Address +----------------+-------------------+--------------------------------+ hostA 192.168.91.1 192.168.70.254+192.168.80.2, 192.168.71.254+192.168.81.2 hostB ipaddress3 ipaddress4,ipaddress5 |
表示 | 内容 | |
---|---|---|
interval | 監視間隔(秒) | |
idle | リンクアップ待ち時間(秒) | |
times | 監視回数(秒) | |
repair_time | 復旧監視間隔(秒) | |
repair_retry | 復旧監視のリトライ回数(回) | |
fail over mode | YES | クラスタリソースに登録されていた場合、全伝送路異常発生時にノード間切替えを行います。(デフォルト値) |
NO | クラスタリソースに登録されていた場合、全伝送路異常発生時にノード間切替えを行いません。 | |
Destination Host | 通信相手のホスト名 | |
Virtual Address | 通信相手の仮想インタフェースに設定されているホスト名、またはIPアドレス | |
(Router addr+)NIC Address | 通信相手の仮想インタフェースが束ねている物理インタフェースのホスト名またはIPアドレス、および隣接ルータのホスト名、またはIPアドレス |
(4) param コマンド
通信相手ホスト監視機能の各設定値を変更します。コマンドの実行形式は以下のとおりです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv param [-s sec] [-c times] [-p sec] [-b sec] [-r times] [-f {yes | no}] |
-s sec
監視間隔を秒で指定します。設定可能な範囲は1~300です(但し、secとtimesの積が300以内でなければなりません)。初期設定値は5(秒)が設定されています。
-c times
監視回数を指定します。設定可能な範囲は1~300です(但し、secとtimesの積が300以内でなければなりません)。初期設定値は5(回)が設定されています。
-p sec
通信相手ホスト監視において、監視開始後にHUBがリンクアップするまでの待ち時間を秒単位で指定します。設定可能な範囲は1~300です。初期設定値は60(秒)が設定されます。また、監視間隔×監視回数よりも値が小さい場合にはリンクアップ時間に設定された時間は無視され、監視間隔×監視回数で設定されている時間を採用します。
-b sec
通信相手ホスト監視で異常を検出した場合の復旧監視間隔を指定します。設定可能な範囲は1~300です。初期設定値は5(秒)が設定されます。
-r times
通信相手ホスト監視で異常を検出した場合の復旧監視において、監視が連続して成功したときに、通常監視に戻るためのリトライ回数を指定します。設定可能な範囲は0~300です。初期設定値は0(回)が設定されます(ping監視の成功が1回、かつリトライなしで復旧とみなします)。
-f yes | no
クラスタ運用中、全伝送路異常によりノード切替えが発生する場合の動作について設定します。初期設定値は“yes”が設定されます。
なお、本パラメタは、クラスタ運用するために、引継ぎ仮想インタフェースを設定している場合のみ有効です。
yes:伝送路監視異常発生時にノード間切替えを行います。
no:伝送路監視異常発生時にノード間切替えを行いません。
注意
“no”の設定は、伝送路異常の発生を契機とした切替えを抑止するものです。それ以外を契機(仮想インタフェース活性化失敗など)としたノード間の切替えを抑止するものではありません。
仮想インタフェースに対する伝送路がすべて異常になっている状態で、クラスタアプリケーションを切り替えた場合、“no”が設定されていても、リソースは異常になります。
クラスタのノードの保守目的で“no”を使用する場合は、“G.6.5 通信相手停止時の保守手順”を参考に実施してください。
【注意事項】
監視先の変更を行う場合には、一度、監視先の削除を行い、再度監視先の生成を行ってください。
監視先の追加、削除を行う場合には、GS連携方式の仮想インタフェースが非活性化されている必要があります。
通信相手ホスト監視機能の設定時に指定する、IPアドレスまたはホスト名は、必ず/etc/hostsに定義してください。
監視先の追加を行う場合、ノード名情報に“all”を指定することはできません。
通信相手ホストが保持している仮想インタフェース配下の物理インタフェース数について、監視先情報に指定することができる物理インタフェースの数は最大32個までです。それ以上を指定することはできません。
ホスト名として数字列を指定した場合は、10進数として扱われ、その数値に対応したIPアドレスに変換され動作します。(例えば、“123456”を指定した場合、IPアドレス“0.1.226.64”が指定されたものと見なされます。)
本コマンドでホスト名またはIPアドレスを設定する箇所にホスト名を指定した場合、/etc/hostsファイル等のホストデータベース上の該当するホスト名を変更/削除しないでください。/etc/hostsファイル等のホストデータベースを変更/削除する場合は、該当ホスト名を使用する伝送路二重化機能の定義を一度、削除し、再設定する必要があります。
本コマンドで指定するホスト名には、文字列内に英数字、ピリオド、ハイフン以外を使用することはできません。英数字、ピリオド、ハイフン以外を使用している場合、/etc/hostsファイル等のホストデータベース上の該当するホスト名を変更して、英数字、ピリオド、ハイフン以外を使用しないようにしてください。また、ホスト名の先頭と末尾には英数字を指定し、それ以外の文字を指定しないようにしてください。
【使用例】
(1) create コマンド
通信相手ホスト(hahostA)に仮想IPアドレスvip1が存在し、vip1は物理IPアドレスipaddress1、ipaddress2を束ねている構成の場合の設定例を示します。ホスト名は、/etc/hostsファイルでIPアドレスと対応付けられているものとします。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv create -n hahostA -i vip1 -t ipaddress1,ipaddress2 |
通信相手ホスト(hahostA)の仮想IPアドレスvip1に対する監視情報を設定した状態で、更に仮想IPアドレスvip1に対して物理IPアドレスipaddress3, ipaddress4を追加する場合の設定例を示します。ホスト名は、/etc/hostsファイルでIPアドレスと対応付けられているものとします。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv create -n hahostA -i vip1 -t ipaddress3,ipaddress4 |
ルータを経由してGSと接続を行う場合において、自システムに隣接するルータrt1とrt2が存在し、通信相手ホスト(hahostA)に仮想IPアドレスvip1が存在し、vip1は物理IPアドレスipaddress1、ipaddress2を束ねている構成の場合の設定例を示します。ホスト名は、/etc/hostsファイルでIPアドレスと対応付けられているものとします。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv create -n hahostA -i vip1 -t rt1+ipaddress1,rt2+ipaddress2 |
クラスタ相手ノードおよびスイッチの監視情報を設定する場合の例を示します。
相手ノード名がcl_node、引継ぎIPアドレスがcl_vip、相手ノードの物理IPアドレスがcl_ipaddress1、cl_ipaddress2、隣接するスイッチのIPアドレスがsw1、sw2である場合の例を示します。ホスト名は、/etc/hostsファイルでIPアドレスと対応付けられているものとします。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv create -n cl_node -i cl_vip -t cl_ipaddress1,cl_ipaddress2,sw1,sw2 |
(2) delete コマンド
すべての監視先情報を削除します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n all |
監視先の通信相手ホストhahostAが保持している情報すべてを削除します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n hahostA |
監視先の通信相手ホストhahostAが保持している仮想IPアドレスvip1配下の情報を削除します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n hahostA -i vip1 |
監視先の通信相手ホストhahostAが保持している仮想IPアドレスvip1配下の物理IPアドレス情報を指定して削除します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n hahostA -i vip1 -t ipaddress1,ipaddress2 |
監視先の通信相手ホストhahostAが保持している仮想IPアドレスvip1配下の物理IPアドレスおよびルータIPアドレス情報を指定して削除します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv delete -n hahostA -i vip1 -t rt1+ipaddress1,rt2+ipaddress2 |
(3) print コマンド
通信相手監視先情報の一覧を表示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv print |
(4) param コマンド
通信相手ホスト監視機能の設定値において、監視間隔を3秒、監視回数を2回に変更します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv param -s 3 -c 2 |
通信相手ホスト監視機能の設定値において、全伝送路異常発生時にクラスタのノード切替えを行うように変更します。(ノード切替えの動作をデフォルト値に戻す場合。)
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetobserv param -f yes |