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Interstage List Works V10.3.1 運用手引書
FUJITSU Software

2.2.3 オーバレイの履歴管理

List Worksでは、新旧のオーバレイを同一オーバレイ名で管理できます。新旧のオーバレイを管理することを、Windows版では「履歴管理」といい、Solaris 版では「世代管理」といいます。

たとえば、2008年度に、ある帳票のオーバレイパターンを更新した場合でも、2007年度の印刷データは2007年度用のオーバレイを使用して表示できます。

オーバレイの履歴管理は、リスト管理サーバ、およびList Worksクライアント(リストナビのマイ コンピュータ)に複写したオーバレイに対して行うことができます。

扱う帳票とオーバレイの履歴管理の関係を以下に示します。

扱う帳票の種類

リスト管理サーバでの履歴管理

List Worksクライアントでの履歴管理

Windowsサーバ

Solaris

一般アプリ帳票

4096世代まで自動管理

4096世代まで自動管理

NetCOBOL/MeFt帳票およびList Creator帳票

4096世代まで自動管理

255世代まで自動管理、またはlvsvovlコマンドで登録(255世代まで管理)

4096世代まで自動管理

富士通ホスト帳票 (注)

4096世代まで自動管理

lvsvovlコマンドで登録(255世代まで管理)

4096世代まで自動管理

IBMビジネスサーバ帳票

4096世代まで自動管理

4096世代まで自動管理

-:未サポート

注:FNA通信形態(Windows版のみ)の分散印刷運用時に、APSのライタ定義で「TERMOVERLAY(NO)」を指定した場合は、利用不可


Solaris版の場合、以下のオーバレイ世代管理方法があります。

変更したオーバレイを最新世代として登録する運用を行う場合は、lvsetognコマンドでオーバレイ世代管理方法を変更します。

オーバレイ世代管理方法を変更することで、デフォルトの世代管理方法と比較して、オーバレイ世代管理の実行時間が以下のように改善されます。オーバレイ世代管理方法を変更して運用することを推奨します。

注意

  • Windowsサーバ、およびList Worksクライアントでのオーバレイの履歴管理は、日時を比較することによって世代を区別しています。このため、同じ日時にオーバレイが作成された場合は、後から作成されたオーバレイは新しいオーバレイとして認識されません。

  • Windowsサーバ、およびList Worksクライアントでのオーバレイの履歴管理では、帳票に対するオーバレイの作成日時は、帳票の作成日時より古い日時か、同じ日時になっている必要があります。なお、帳票の作成日付よりも新しいオーバレイだけが存在する場合は、最新の日付のオーバレイが使用されます。

  • オーバレイを変更した場合、運用前に事前に帳票を登録して表示および印刷結果に問題がないことを確認されることをお奨めします。なお、List Creator帳票の場合は、List Creatorデザイナでオーバレイ以外の定義を変更して保存すると、オーバレイの作成日時が更新されます。


(1) リスト管理サーバでの履歴管理

オーバレイは、履歴管理の設定をすることにより、自動的に管理されます。ただし、Solaris 版において以下の場合は、lvsvovlコマンドを使用してオーバレイの世代を更新します。

Windows版 の場合

リスト管理サーバの環境設定時に【リスト管理サーバ環境設定】ダイアログボックスで、以下について指定します。

富士通ホスト帳票を分散印刷運用(FNA通信)で運用する場合、HOST PRINTが資源管理するオーバレイの履歴管理の単位(「年月日時分」または「年月日」)について選択します。

リスト管理サーバの環境設定については、“環境構築手引書”を参照してください。
オーバレイの履歴管理を行う設定については、“操作手引書 運用管理者編”を参照してください。

注意

  • 「新しいオーバレイに、1世代前の帳票項目を引き継ぐ」を設定すると、1世代前のオーバレイに付与されている帳票項目ファイルの設定を引き継ぐことができます。

    1世代前のオーバレイに帳票項目ファイルが付与されていない場合は、設定を引き継ぐことができません。

    1世代前の帳票項目を引き継がない場合、以下の設定と機能に影響します。

    • 抜き出し検索範囲の設定がなくなるため、抜き出し検索ファイルが作成されず、抜き出し検索を実行できなくなります。

    • オーバレイ位置の情報がなくなるため、帳票の表示および印刷する際にオーバレイの位置がずれてしまいます。

    • 帳票項目の設定がなくなるため、データ変換や帳票項目に対する検索ができなくなります。

  • 1世代前の帳票項目を引き継ぐ設定をしていない状態で、オーバレイが更新された場合、帳票項目の設定、およびオーバレイ位置の調整を、再度行う必要があります。


Solaris 版でオープン帳票を扱い、自動的に世代管理をう場合

以下の手順でリスト管理サーバに設定します。

  1. lwserverコマンドを使用して、List Worksサービスを停止します。

  2. lvsetenvコマンドを使用して、サーバ動作環境ファイルにオーバレイ世代管理用ディレクトリ(CTRL-OVL)を設定します。

  3. lvsvovlコマンドを使用して、オーバレイ世代管理の初期化をします。

  4. オーバレイ世代管理方法を変更する場合、lvsetognコマンドを実行します。

  5. lwserverコマンドを使用して、List Worksサービスを起動します。

    サーバ動作環境ファイルの設定については、“環境構築手引書”を参照してください。
    コマンドの詳細については、“コマンドリファレンス”を参照してください。

Solaris 版で富士通ホスト帳票を扱う場合、またはオープン帳票を扱い、自動的に世代管理をわない場合

今まで使用していたオーバレイを1世代前として登録する運用の場合

以下の手順でリスト管理サーバに設定します。

  1. lwserverコマンドを使用して、List Worksサービスを停止します。

  2. lvsetenvコマンドを使用して、サーバ動作環境ファイルに以下の設定を行います。

    • 富士通ホスト帳票の場合

      オーバレイ世代管理用ディレクトリ(CTRL-OVL)を設定します。

    • オープン帳票の場合

      オーバレイ世代管理用ディレクトリ(CTRL-OVL)、およびオープン帳票のオーバレイ世代管理の扱い(KEEP-OVL-MODE)を設定します。

  3. lvsvovlコマンドを使用して、オーバレイ世代管理の初期化をします。
    初期化により、オーバレイ世代管理用ディレクトリ配下にlvovlmngというディレクトリが作られ、管理情報が作成されます。

  4. lwserverコマンドを使用して、List Worksサービスを起動します。

    サーバ動作環境ファイルの設定については、“環境構築手引書”を参照してください。
    コマンドの詳細については、“コマンドリファレンス”を参照してください。

参考

運用中にオーバレイを変更した場合は、それまで使用していたオーバレイを1つ前の世代として登録します。また、不要になったオーバレイは削除できます。

オーバレイの世代の登録や削除の詳細については、“保守手引書”を参照してください。

変更たオーバレイを最新世代として登録する運用の場合

以下の手順でリスト管理サーバサーバに設定します。

  1. lwserverコマンドを使用して、List Worksサービスを停止します。

  2. lvsetenvコマンドを使用して、サーバ動作環境ファイルに以下の設定を行います。

    • 富士通ホスト帳票の場合

      オーバレイ世代管理用ディレクトリ(CTRL-OVL)を設定します。

    • オープン帳票の場合

      オーバレイ世代管理用ディレクトリ(CTRL-OVL)、およびオープン帳票のオーバレイ世代管理の扱い(KEEP-OVL-MODE)を設定します。

  3. lvsvovlコマンドを使用して、オーバレイ世代管理の初期化をします。
    初期化により、オーバレイ世代管理用ディレクトリ配下にlvovlmngというディレクトリが作られ、管理情報が作成されます。

  4. lvsetognコマンドを使用して、オーバレイ世代管理方法を変更します。

  5. lwserverコマンドを使用して、List Worksサービスを起動します。

    サーバ動作環境ファイルの設定については、“環境構築手引書”を参照してください。
    コマンドの詳細については、“コマンドリファレンス”を参照してください。

参考

運用中にオーバレイを変更した場合は、変更したオーバレイをList Worksサーバのオーバレイ世代管理用ディレクトリに転送後、変更したオーバレイを最新世代として登録します。

また、不要になったオーバレイは削除できます。

オーバレイの世代の登録や削除の詳細については、“保守手引書”を参照してください。

オーバレイを世代管理した場合の運用例を示します。


(2) List Worksクライアントでの履歴管理

オーバレイは、履歴管理の設定をすることにより自動的に管理されます。リスト管理サーバの帳票をList Worksクライアント(マイ コンピュータ)に複写したときに、対応する世代のオーバレイがList Worksクライアントにない場合に、古いオーバレイを退避して、同時にオーバレイをリスト管理サーバから複写します。

オーバレイを自動的に履歴管理するための設定

List Worksクライアントの環境設定時に、リストナビの【オプション】ダイアログボックスでオーバレイの履歴管理を行う指示とオーバレイの格納場所を指定します。

また、帳票を複写するときにオーバレイも複写する指示を指定します。以下の指定があります。

(3) マイ コンピュータにおけるオーバレイのファイルと格納先のフォルダ構成

マイ コンピュータにオーバレイを取り込むと以下のファイルが作成されます。

「xxxx.240」:

基本となる解像度240dpiのドットオーバレイです。帳票を表示、印刷するときに使用されます。

「xxxx.ovl」:

ベクトルオーバレイです。帳票を表示、印刷するときに使用されます。

「xxxx.fld」:

帳票項目の情報やオーバレイ原点位置の情報が格納されているファイルです。

これらの情報を設定したときだけ作成されます。


オーバレイが登録されるたびに、作成日時が最新のもの以外を履歴に追加していきます。この履歴に追加する単位を世代といい、1つのオーバレイ名に対して、1~4096世代のオーバレイを管理することができます。

最新のオーバレイは、List Worksの環境設定で指定した格納先フォルダに格納されます。古い作成日時のオーバレイは、このフォルダ配下のサブフォルダ(履歴管理フォルダ)に、世代ごとに格納されます。

履歴管理フォルダは、「BACKUP.nnn」(nnn:世代番号、000~FFFの16進数、000は最も古い世代を示す)の名前で、自動的に作成されます。個数は1~4096世代分の範囲となります。新しくオーバレイが登録されるたびに、登録されたオーバレイと、最新の作成日時が比較され、日時の古いオーバレイが、履歴管理フォルダに移動されます。日時の新しいオーバレイは、格納先フォルダに格納されます。

オーバレイの格納先について、フォルダ構成を以下に示します。

オーバレイ格納先のフォルダ
  ├ BACKUP.000  ┐      格納先フォルダには、最新の作成日時のオーバーレイが格納されます。
  ├ BACKUP.001  │
  :       :    │
  ├ BACKUP.nnn  ├ 履歴管理フォルダ:
  :       :    │   000を一番古い世代として、履歴に登録した順に
  └ BACKUP.FFF  ┘   各世代のオーバレイが格納されます。

(4) マイ コンピュータにおけるオーバレイの履歴管理の例

オーバレイの履歴管理を行って、リスト管理サーバからList Worksクライアント(マイ コンピュータ)に、定期的に帳票を複写する運用の例を以下に示します。

例)リスト管理サーバに格納されている毎月の売上げデータを、マイ コンピュータに定期的に複写します。処理の順番は、以下の順とします。

  1. 初回の複写(2月度売上げの帳票)

  2. 帳票項目の設定(2月度売上げの帳票に、帳票項目を設定)

  3. 第2回目の複写(4月度売上げの帳票)

  4. 第3回目の複写(3月度売上げの帳票)


複写する帳票のデータ

印刷データ

オーバレイ

帳票項目の情報を格納したファイル

ファイル名

概要

ファイル名

作成日時

有/無

ファイル名

URIDATA2.xxx

2月度売上げ

UOVL.240

2007.03.31 08:30

URIDATA3.xxx

3月度売上げ

URIDATA4.xxx

4月度売上げ

2008.03.31 09:00

UOVL.fld


印刷データとオーバレイの格納先

印刷データ  D:\DATA

オーバレイ  D:\OVL

  1. 初回の複写

    「2月度売上げ」の帳票を複写します。

    D:\
    ├┬ DATA
    │└─ URIDATA2.xxx
    ├┬ OVL
    │└─ UOVL.240          …「URIDATA2.xxx」用のオーバレイ

    格納先フォルダに、オーバレイファイルが複写されます。


  2. 帳票項目の設定

    「2月度売上げ」の帳票に、帳票項目を設定します。

    D:\
    ├┬ DATA
    │└─ URIDATA2.xxx
    ├┬ OVL
    │├─ UOVL.240          …「URIDATA2.xxx」用のオーバレイ
    │└─ UOVL.fld

    帳票項目を設定したので、帳票項目の情報を格納したファイルが作成されます。


  3. 第2回目の複写

    「4月度売上げ」の帳票を複写します。

    D:\
    ├┬ DATA
    │├─ URIDATA2.xxx
    │└─ URIDATA4.xxx
    ├┬ OVL
    │├─ UOVL.240          …「URIDATA4.xxx」用のオーバレイ
    │├─ UOVL.fld
    │└┬ BACKUP.000
    │  ├─ UOVL.240        …「URIDATA2.xxx」用のオーバレイ
    │  └─ UOVL.fld

    年度が変わると、新しいオーバレイがマイ コンピュータに複写されます。なお、帳票項目の設定もされているため、帳票項目の情報を格納したファイルも複写されます。

    「URIDATA4.xxx」のオーバレイと「URIDATA2.xxx」のオーバレイでは、「URIDATA2.xxx」の方が、作成日付が古いので履歴管理フォルダに移動されます。

    代わりに「URIDATA4.xxx」のオーバレイが、格納先フォルダに格納されます。


  4. 第3回目の複写

    「3月度売上げ」の帳票を複写します。

    D:\
    ├┬ DATA
    │├─ URIDATA2.xxx
    │├─ URIDATA3.xxx
    │└─ URIDATA4.xxx
    ├┬ OVL
    │├─ UOVL.240          …「URIDATA4.xxx」用のオーバレイ
    │├─ UOVL.fld
    │└┬ BACKUP.000
    │  ├─ UOVL.240        …「URIDATA2.xxx」、「URIDATA3.xxx」用のオーバレイ
    │  └─ UOVL.fld

    「URIDATA3.xxx」のオーバレイは、「URIDATA2.xxx」のオーバレイと同じであり、すでに格納先フォルダに存在するので、オーバレイは複写されません。