ここでは、NetCOBOL開発環境について、NetCOBOL V10.2.0以降で実施された障害修正により動作が変わるものを、以下の表で説明します。
表2.1 NetCOBOL開発環境の障害修正に関する互換情報項番 | VL(注) | P番号 | 変更内容 |
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1 | V10.1.0 ~ V10.5.0 | PG76651 | 以下の条件の場合、COBOLプログラム実行時に、長さの異なる日本語項目(日本語編集項目、組込み関数を含む)同士の大小比較の結果が正しくない問題を修正しました。 翻訳オプションRSC(UCS2,LE)またはRSC(UTF16,LE)を指定している。かつ、 日本語項目と、日本語項目または日本語文字定数の大小比較である。かつ、 少なくとも一方が部分参照された項目またはANY LENGTH句の指定がある項目である。かつ、 比較対象の長さが異なる場合。
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2 | V10.1.0 | PG77383 | 以下の条件の場合、実行時に、正しい結果が得られないことがある問題を修正しました。 翻訳オプションOPTIMIZEが有効である。(*1)かつ、 内部10進項目を数字編集項目へ設定している文を記述している。かつ、 内部10進項目と数字編集項目のけた数は、「整数部のけた数が同じ、かつ、小数部がない」である。かつ、 数字編集項目は、編集方法にゼロ抑制のみを指定している(PICTUREの文字列には'9','Z','*'のみを使用している)。かつ、 2.の文の前に、データ項目(または中間結果)を2.の内部10進項目へ設定する文(*2)を記述している。かつ、 5.のデータ項目(または中間結果)のけた数と2.の内部10進項目のけた数 の関係が次のようになっている。かつ、 ------------------------------------------------------
データ項目(または中間結果) 内部10進項目
------------------------------------------------------
2 3
4 5
6 7
8 9
10 11
12 13
14 15
16 17
------------------------------------------------------ 5.のデータ項目(または中間結果)と2.の内部10進項目の両方に小数部がない。
*1:デフォルトの翻訳オプションはNOOPTIMIZEです。 *2:数字転記はMOVE文だけでなく、COMPUTE文などの暗黙に転記が発生する場合も該当します。 |
3 | V10.1.0 | PG78440 | 以下の条件の場合、実行時に、正しい結果が得られないことがある問題を修正しました。 翻訳オプションBINARY(BYTE)またはBINARY(WORD,MLBOFF)が指定されている。かつ、 以下の組み込み関数が存在する。かつ、 [A] FUNCTION MAX FUNCTION MIN FUNCTION MEAN FUNCTION MEDIAN FUNCTION RANGE
[B] FUNCTION ANNUITY FUNCTION NUMVAL FUNCTION NUMVAL-C FUNCTION RANDOM
2.の関数の引数が、全て9桁以下の固定小数点数字である。かつ、 2.の関数が[A]の場合、引数が4つ以上指定されている。
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4 | V10.0.1 ~ V11.0.0A | PH05538 | 以下の[条件1]~[条件3]のいずれかを満たす場合、COBOLプログラムの実行時、基底場所節に宣言したデータ項目を使用する文で、異常終了(ACCESS VIOLATION)または結果誤りが発生する場合がある問題を修正しました。 [条件1] 基底場所節に宣言したデータ項目を以下のいずれかの方法で使用している。かつ、 1-1) 変数で添字付けしている。または、 1-2) 最左端文字位置に変数を指定した部分参照をしている。 翻訳オプションOPTIMIZEが有効である。(*) *:デフォルトはNOOPTIMIZEです。
[条件2] 基底場所節に宣言したデータ項目を、以下のいずれかの文に指定している。 INSPECT文 STRING文(中核) UNSTRING文(中核)
[条件3] 基底場所節にOCCURS句を指定したデータ項目を宣言している。かつ、 1.のデータ項目をINITIALIZE文に指定している。
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5 | V10.1.0 ~ V11.0.0A | PH05861 | 以下の条件の場合、COBOLプログラムの実行時、部分参照した外部10進項目から数字編集項目または浮動小数点項目への転記において、送出し側を部分参照する範囲が1桁左にずれる誤りが発生する問題を修正しました。 送出し側が符号付き外部10進項目、受取り側が数字編集項目または浮動小数点項目のMOVE文を記述している(*1)。かつ、 送出し側項目のSIGN句にSEPARATE CHARACTER指定(*2)がある。かつ、 送出し側項目を部分参照している。かつ、 3.の部分参照の長さを定数で指定している場合。
*1: 暗黙のMOVE文を含む。 *2: TRAILING SEPARATE指定 |
注:VLは、障害が存在する範囲を示します。