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PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.2 (伝送路二重化機能編)

D.2.1 ネットワークが期待通りの動作をしない(IPv4/IPv6で共通)

D.2.1.1 デフォルトゲートウェイが設定されない

現象

システム起動時に/etc/defaultrouter において定義したデフォルトゲートウェイが有効とならない。

原因および対策

/etc/defaultrouter において定義したデフォルトゲートウェイの設定はシステム起動時に /etc/rc2.d/S69inet において設定されます。この時、指定されたルータと同一のセグメントのインタフェースが存在しない、または非活性状態の場合デフォルトゲートウェイの設定はできません。伝送路二重化機能ではクラスタ運用の場合、クラスタアプリケーション起動時に仮想インタフェースが活性化されるため、デフォルトゲートウェイの設定ができない場合があります。

高速切替方式

クラスタ運用時に仮想インタフェースをデフォルトゲートウェイに対する送信インタフェースとして使用する場合は、hanetparamコマンドにより仮想インタフェースを活性化するタイミングを変更してください。

RIP方式

クラスタ運用時に仮想インタフェースをデフォルトゲートウェイに対する送信インタフェースとして使用することはできません。

NIC切替方式

物理IPアドレス引継機能を使用する場合で、かつ、待機ノードでインタフェースを活性化しない場合には、物理インタフェースをデフォルトゲートウェイに対する送信インタフェースとして使用することはできません。

GS/SURE連携方式

クラスタ運用時に仮想インタフェースをデフォルトゲートウェイに対する送信インタフェースとして使用することはできません。

D.2.1.2 routeコマンドで設定した経路情報が削除される

現象

route add コマンドにより設定した静的経路情報が削除されてしまう。

原因および対策

伝送路二重化機能では、インタフェースの活性や非活性を行う場合や伝送路異常の検出時等に、必要に応じて経路情報をフラッシュしin.routedを再起動しますが、その際に、routeコマンドにより設定された静的な経路情報は削除されます。
in.routedを使用する場合、静的経路情報は /etc/gatewaysにおいて定義する必要があります。例えば、特定のネットワークに対する経路情報(ネットワーク192.13.80.0、ゲートウェイアドレス192.13.70.254、メトリック値3とする)を設定する場合、/etc/gatewaysは以下のように記述します。

net 192.13.80.0 gateway 192.13.70.254 metric 3 passive

D.2.1.3 NIS環境でシステムの起動やインタフェースの活性化に失敗する

現象

以下のようなメッセージが表示され、システムの起動またはインタフェースの活性化がハングする。

ypbind[xxxx]: [ID xxxxxx daemon.error] NIS server not responding for domain "domain_name"; still trying
原因および対策

伝送路二重化機能が動作するシステムがNISクライアントとして設定されている場合、伝送路二重化機能が行うインタフェースの非活性処理により、一時的にNISサーバに接続できなくなる場合があります。その場合、ifconfigコマンドによりインタフェースにネットマスクの設定をしようとすると、ifconfigコマンドにおいてサブネットマスクを取得するためにNISサーバとの接続を待合せるため、システムの起動やインタフェースの活性化処理がハングする場合があります。
NIS環境で伝送路二重化機能を使用する場合には、必ず以下の設定を行ってください。

/etc/nsswitch.conf において netmasksの参照にfilesを先頭に指定する。

【設定例】

netmasks: files

または

netmasks: files [NOTFOUND=return] nis

また、NISサーバへのアクセスについては、伝送路二重化機能による制御(活性/非活性)の対象となっているインタフェースはできる限り使用しないようネットワークの設計を行ってください。

D.2.1.4 IPv6アドレスのアドレス自動構成が即座に行われない

現象

IPv6インタフェースの活性化時にIPv6アドレスのステートレスアドレス自動構成が即座に行われず、サイトローカル/グローバルアドレスが付加されるのに時間がかかる場合がある。

原因および対策

IPv6のインタフェースを活性化する場合、通常は物理インタフェースに対してリンクローカルアドレスを付加して活性化した後、ステートレスアドレス自動構成によるサイトローカル/グローバルアドレスの生成を即座に行うため、ルータ請求メッセージを送信して隣接ルータに対してルータ広報メッセージを即座に送信するよう要求します。しかし、使用しているHUBでSTP(スパニングツリープロトコル)が動作している場合等は、インタフェースの活性化後、実際に通信ができるようになるまでにある程度の時間がかかるため、ルータ広報メッセージの要求に失敗する場合があります。一般に、IPv6ルータでは定期的にルータ広報メッセージを送信しているため、このような場合でもある程度時間が経過すれば、ステートレスアドレス自動構成が動作し、サイトローカル/グローバルアドレスによる通信が可能となりますが、ルータがルータ広報メッセージを送信する際の間隔が長い場合、ステートレスアドレス自動構成が動作し通信が可能となるまでに時間がかかる場合があります。このような場合は、待機パトロールを使用し運用NIC、待機NICの双方で常時リンクが確立されるようにするか、ルータの設定を変更し、ルータ広報メッセージが1~2分程度の間隔で送信されるようにしてください。