SQL Serverデータベースのバックアップとリストアは、Webコンソールで設定/運用します。
SQL Serverデータベースのバックアップとリストアの設定
バックアップウィザード(for SQL Server)により、複雑な手順が必要なSQL Serverデータベースのバックアップ設定およびバックアップ実行スクリプトの生成が簡単にできます。
SQL Serverデータベースのバックアップとリストアの運用
スケジューラーにバックアップウィザード(for SQL Server)で生成したバックアップスクリプトを登録することにより、SQL Serverデータベースのバックアップ運用を自動化できます。
リストアウィザード(for SQL Server)により、複雑な手順が必要なSQL Serverデータベースのリストア操作が簡単にできます。
バックアップの設定から実行までの流れを以下に示します。
図10.11 バックアップの設定から実行までの流れ
注: ETERNUS SFのスケジューラーに登録する方法は、「第11章 スケジューラー」を参照してください。
リストア作業の流れは、「10.5.5 リストアウィザード(for SQL Server)によるリストア」を参照してください。
バックアップウィザード(for SQL Server)を使えば、複雑な手順が必要なSQL Serverのデータベースのバックアップ設定・運用が、専門的な知識がなくても簡単に実施できます。
バックアップウィザード(for SQL Server)は、以下の機能を提供します。
バックアップ設定
バックアップ元/バックアップ先のバックアップ設定を実施します。
バックアップスクリプトの作成
完全バックアップ実行スクリプト
SQL Serverのデータベースの完全バックアップを実行するスクリプトです。
ログバックアップ実行スクリプト
トランザクションログのバックアップを実行するスクリプトです。
バックアップ解除スクリプト
ウィザードで設定されたバックアップ設定を解除するスクリプトです。
各スクリプトの詳細は、「10.5.4.1 バックアップスクリプトの作成」を参照してください。
リストアウィザード(for SQL Server)を使えば、複雑な手順が必要なSQL Serverのデータベースのリストア操作を専門的な知識がなくても簡単に実施できます。
リストアウィザード(for SQL Server)は、バックアップウィザード(for SQL Server)で作成した完全バックアップ実行スクリプトやログバックアップ実行スクリプトでバックアップしたデータベースのリストアをサポートします。
本機能が推奨するシステム構成を以下に示します。
推奨構成1
データベースサーバ(クラスタ構成)
運用管理サーバ兼バックアップサーバ(非クラスタ構成)
推奨構成2
データベースサーバ(クラスタ構成)
運用管理サーバ兼バックアップサーバ(クラスタ構成)
図10.12 推奨構成1(例)
ポイント
Storage Cruiserエージェントはクラスタ運用をサポートしていませんが、各物理ノードにStorage Cruiserエージェントをインストールしてください。
図10.13 推奨構成2(例)
ポイント
Storage Cruiserエージェントはクラスタ運用をサポートしていませんが、各物理ノードにStorage Cruiserエージェントをインストールしてください。
SQL Serverバックアップ/リストア運用を構成するサーバについて以下に説明します。
サーバ種別 | サーバの役割 | 必須/オプション | ETERNUS SFおよびSQL Serverのインストール製品 |
---|---|---|---|
Active Directoryサーバ | ユーザー認証にActive Directoryを使用します。 ドメインコントローラーの単一障害により、ドメインの動作に影響を及ぼさないように複数台で冗長化することを推奨します。 | オプション(注1) ユーザー認証にActive Directoryを使用する場合に必要です。 | - |
データベースサーバ | バックアップ対象のSQL Serverのデータベースが動作するサーバです。また、SQL Serverのデータベースを格納するETERNUS ディスクアレイが接続されているサーバです。 | 必須 |
|
バックアップサーバ | SQL Serverのデータベースのバックアップ先となるサーバです。 バックアップボリュームが接続されている必要があります。 | 必須 |
|
運用管理サーバ | SQL Serverデータベースのオンラインバックアップを行うための運用管理サーバです。 運用管理サーバは、管理対象サーバ(データベースサーバおよびバックアップサーバ)を管理します。 システム内に1台だけ設置します。 | 必須 | ETERNUS SF Manager (AdvancedCopy Managerマネージャー) |
注1: 運用管理サーバまたは管理対象サーバがクラスタ構成の場合、Active Directoryサーバは必須です。
注2: このサーバが運用管理サーバと共存する場合、AdvancedCopy Managerエージェントのインストールは不要です。
サーバ種別 | Active Directoryサーバ | データベースサーバ | バックアップサーバ | 運用管理サーバ |
---|---|---|---|---|
Active Directoryサーバ(注) | - | 不可 | 不可 | 可能 |
データベースサーバ | 不可 | - | 可能 | 可能 |
バックアップサーバ | 不可 | 可能 | - | 可能 |
運用管理サーバ | 可能 | 可能 | 可能 | - |
注: AdvancedCopy Managerエージェントは、Active Directoryドメインサービスの役割を持つWindowsにはインストールできません。
注意
ETERNUS SF Manager(AdvancedCopy Managerマネージャー)、AdvancedCopy Managerエージェント、およびStorage Cruiserエージェントは、バージョン16.1以降である必要があります。
ユーザー認証にActive Directoryを使用する場合、各サーバをActive Directory環境配下に構成する必要があります。
仮想環境について
仮想化ソフトウェア(ホスト/ゲスト)のサポート範囲を以下の表に示します。
プラットフォーム | 管理対象サーバ | 運用管理サーバ | |
---|---|---|---|
VMware | ホスト | × | × |
ゲスト(注1) | ○ | ○ | |
Hyper-V | ホスト | ○ | ○ |
ゲスト | × | ○(注2) | |
KVM | ホスト | - | ○ |
ゲスト | - | ○ |
○: サポート
×: 未サポート
―: バックアップウィザード(for SQL Server)とリストアウィザード(for SQL Server)の対象外
注1: VMware Toolsがインストールされていること
注2: Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012、およびWindows Server 2012 R2をサポート
注意
Active Directoryを除く各サーバの仮想化をサポートします。
仮想化環境のサポート範囲は、AdvancedCopy Managerのサポート範囲かつStorage Cruiserのサポート範囲に準拠します。
運用管理サーバがデータベースサーバまたはバックアップサーバと共存する場合、運用管理サーバのOSはWindowsである必要があります。
データベースサーバおよびバックアップサーバがサポートしているクラスタ構成を以下に示します。詳細は「10.4.2.5 クラスタ運用」を参照してください。
1: 1待機運用
N: 1待機運用
相互待機運用
カスケード運用
クラスタ運用を行う場合は、「14.1.5 クラスタ運用時の注意事項」および「14.1.6 クラスタ運用でのバックアップ運用の注意事項」を参照してください。
バックアップ機能
バックアップウィザード(for SQL Server)でサポートするデータベース種別は以下のとおりです。
データベース種別 | バックアップ種別 | |
---|---|---|
完全バックアップ | ログバックアップ | |
システムデータベース | × | × |
ユーザーデータベース | ○ | ○ |
○: サポート
×: 未サポート(ウィザードではサポートしていません。SQL Serverを直接操作してバックアップします。)
完全バックアップ
データベース単位でデータファイルと復旧に必要なトランザクションログをバックアップします。これにより完全バックアップ完了時点までの復旧が可能になります。
ログバックアップ
トランザクションログをバックアップします。ログバックアップを行うことで、障害発生直前の時点に復旧することが可能になります。また、ログバックアップを行うと、完了したトランザクションログの削除(ログの切捨て)が行われます。これによりログファイルの肥大化を防止します。バックアップ先は管理対象サーバ(データベースサーバ)上のファイルシステム領域(NTFSまたはReFS(注))です。
注: ReFS(Resilient File System)はWindows 2012のファイルシステムです。
ポイント
本機能がサポートするスナップショット型レプリケーションの種類は、QuickOPC型レプリケーションだけです。
バックアップのイメージを、以下の図に示します。
図10.14 バックアップ先
本機能でサポートするSQL Serverの復旧モデルは以下のとおりです。復旧モデルの詳細は、SQL Serverのドキュメントを参照してください。
復旧モデル | バックアップ | |
---|---|---|
完全バックアップ | ログバックアップ | |
完全 | ○ | ○ |
一括ログ | ○ | ○ |
単純 | ○ | × |
○: サポート
×: 未サポート
リストア機能
本機能でサポートするSQL Serverの復旧モデルは以下のとおりです。復旧モデルの詳細は、SQL Serverのドキュメントを参照してください。
復旧モデル | リストア | |
---|---|---|
最新時点 | バックアップ時点 | |
完全 | ○ | ○ |
一括ログ | ○(注) | ○ |
単純 | × | ○ |
○: サポート
×: 未サポート
注: 最新の完全バックアップ以降に一括操作(一括インポートやインデックス作成など)が行われた場合は、最新時点へリストア(障害発生直前の復旧)できないことがあります。
詳細は、『SQL Server Books Online』の「一括ログ復旧モデルでのバックアップ」を参照してください。
最新時点へのリストアとバックアップ時点へのリストアのイメージを、以下の図に示します。
図10.15 最新時点へのリストア
図10.16 バックアップ時点へのリストア
ポイント
SQL ServerデータベースのインスタンスのAlwaysOn可用性グループが有効でない場合だけ、バックアップ/リストアできます。
本機能がサポートするスナップショット型レプリケーションの種類は、QuickOPC型レプリケーションだけです。
ボリューム構成
サポートするボリュームの構成は以下のとおりです。
データファイルとトランザクションログファイルを別ボリュームに配置(推奨構成)
図10.17 データファイルとトランザクションログファイルを別ボリュームに配置(推奨構成)
1ボリュームに1個のデータベースを配置
図10.18 1つのボリュームに1つのデータベースを配置
複数ボリュームに1個のデータベースを配置
図10.19 複数のボリュームに1つのデータベースを分散して配置
1ボリュームに複数個のデータベースを配置
図10.20 1つのボリュームに複数のデータベースを配置
注意
すべてのデータベースは、同一インスタンス配下のデータベースである必要があります。また、すべてのデータベースにはシステムデータベースを含んではいけません(tempdbは可)。
本構成でリストアする場合は、ボリューム内のすべてのデータベースを選択する必要があります。
M個のボリュームにN個のデータベースを配置
図10.21 M個のボリュームにN個のデータベースを分散して配置
注意
すべてのデータベースは同一インスタンス配下のデータベースである必要があります。また、すべてのデータベースにはシステムデータベースを含んではいけません(tempdbは可)。
本構成でリストアする場合は、ボリューム内のすべてのデータベースを選択する必要があります。
注意
データベースファイルを配置するボリュームには、対象となるデータベースファイル以外のファイルを格納しないでください。
バックアップ対象のデータベースの以下のファイルは、ファイルパスが254バイト以下になるように配置してください。
プライマリデータファイル
セカンダリデータファイル
トランザクションログファイル
データベースファイルとトランザクションログファイルを別のボリュームに分けて配置してください(推奨)。
フルテキストカタログを使用する場合は、どれかのデータベースボリュームにフルテキストカタログを作成する必要があります。
フルテキストカタログをデータベースボリューム以外のボリュームに作成した場合、フルテキストカタログはバックアップされないため、リストア後にフルテキストカタログの再構築が必要です。
バックアップ対象ボリュームとバックアップ先ボリュームは、同一のETERNUS ディスクアレイ上に同じサイズで構成する必要があります(サイズはバイトまで合わせる必要があります)。なお、バックアップ先に選択可能なボリュームはStandard、TPV(Thin Provisioning Volume)、FTV(Flexible Tier Volume)、およびWSV(Wide Striping Volume)です。
バックアップ先ボリュームがほかの用途で使用されていないことを確認してください。
ディスクパーティション形式はMBRまたはGPTとし、バックアップ対象ボリュームとバックアップ先ボリュームのパーティション形式を一致させる必要があります。
SQL Serverのデータベースを配置するパーティションは、事前にNTFSまたはReFS形式でフォーマットし、ドライブ文字またはマウントポイントフォルダパスを割り当てる必要があります。
バックアップ先ボリュームのパーティションは、ドライブ文字またはマウントポイントフォルダパスを割り当てる必要があります。
パーティションのサイズは、バックアップ元となるSQL Serverのデータベースを配置するパーティションのサイズとバイト単位まで一致している必要があります。
LUNのマウントポイントにドライブ文字またはフォルダが割り当てられている必要があります。
サポートするドライブおよびフォルダーパスの割当てを以下の表に示します。
使用用途 | 割当て先 | サポート有無 |
---|---|---|
システムドライブ | ドライブ文字 | × |
フォルダーパス | ○ | |
システムドライブ以外 | ドライブ文字 | ○ |
フォルダーパス | ○ |
〇: サポート
×: 未サポート
ローパーティション上に構築されたデータベースはサポートしません。データベースはファイルシステム上に構築する必要があります。
1パーティション/LUNだけサポートします。
インスタンス名に空白(全角、半角)および以下の文字は指定できません。
! " % ' ( ) - ^ \ @ [ ] : ; , . = ~ | ` { } * + < > ? / &
データベース名に、以下の文字は指定できません。
" \ : | * < > ? / '
データベースのファイル名に、以下の文字は指定できません。
" \ : | * < > ? /