ページの先頭行へ戻る
ETERNUS SF Express 16.0 運用ガイド
FUJITSU Storage

A.1.1 アドバンスト・コピーとは

アドバンスト・コピーは、サーバのCPUを使用せずにストレージだけで高速にコピーを作成する機能で、ある時点の業務ボリュームのデータを、短時間で同じディスクアレイ内の別のボリュームにコピーします。
コピーが完了し、業務ボリュームと同じ内容になったコピー先ボリューム(以降、“複製ボリューム”と記述します)は、業務ボリュームと切り離されるため、業務を継続しても書き換えられることはありません。
したがって、複製ボリュームのデータを使えば、業務を継続しながらある時点の業務ボリュームのデータをテープ装置へバックアップできます。

アドバンスト・コピーの方法

アドバンスト・コピーは、1つのスナップショットコピー(SnapOPC+)と、3つのクローンコピー(EC、OPC、QuickOPC)を提供します。このうち、Expressでは、スナップショットコピーを使用できます。

SnapOPC+

データの更新時に、更新前のデータだけを複製する機能です。(コピー・オン・ライト方式)

クローンコピーに比べコピー容量を抑えることができるので、比較的更新量の少ないファイルサーバなどのシステムのバックアップに最適です。

EC(Equivalent Copy)

常に業務ボリュームの更新と同期した複製を作成する機能です。(二重切り離し方式)

同期コピーしている業務ボリュームと複製ボリュームを必要な時点で切り離し、業務ボリュームで業務を継続しながら複製ボリュームをテープ装置へバックアップできます。また、2回目以降のコピーは更新分だけ行うサスペンド・レジューム機能を提供しています。

OPC(One Point Copy)

任意のタイミングで業務ボリュームのすべての複製を作成する機能です。(バックグラウンド・コピー方式)

必要になった時点で業務ボリュームから複製ボリュームに、短時間でデータを論理コピーします。そのため、物理コピーの完了を待つことなく、業務ボリュームで業務を継続しながら、複製ボリュームをテープ装置へバックアップできます。

QuickOPC

一度、業務ボリュームの全データの複製を作成し、その後更新分(差分)だけを複製ボリュームにコピーする機能です。(バックグラウンド・コピー方式)

バックアップ時間の短縮が求められる大規模データベースなどのバックアップに適しています。

どのコピー方法も、ある時点のデータの状態をコピーしますが、それぞれ異なる特長、メリット、およびデメリットを持ちます。

各方式の比較を、以下に示します。詳細は各機能の記述を参照してください。

機能名

コピータイプ

スナップショットコピー

クローンコピー

SnapOPC+

EC

OPC

QuickOPC

コピー方式

コピー・オン・ライト方式

二重化切り離し方式

バックグラウンド・コピー方式

バックグラウンド・コピー方式

物理コピーの
負荷発生

なし

二重化切り離し前

コピー命令発行後

コピー命令発行後

コピー中のコピー元アクセスに対する影響

あり

なし

軽微

軽微

コピー後のコピー先アクセスに対する影響

あり

なし

バックグラウンド・コピー中は小

バックグラウンド・コピー中は小

コピーセッションの存在期間

セッションを停止するまで

等価状態を停止するまで

バックグラウンド・コピー完了まで

セッションを停止し、コピーが完了するまで

コピー先の容量

更新分容量だけ

コピー元と同容量

コピー元と同容量

コピー元と同容量

リストア操作時のコピー動作

コピー済み分だけをコピー

ETERNUS DX60/DX60 S2/DX80/DX90の場合はリストア不可(OSからファイル単位でコピーして代替)

  • OPCによる全コピー

  • EC反転(一時中断→反転→再開)により更新分だけコピー

  • OPC中のリストア時はコピー済み分だけをコピー(リストアOPC)

  • OPC完了後は全体をコピー

コピー済み分だけをコピー

適した用途

  • テープバックアップ用の一時バックアップ

  • 更新量の少ないファイルサーバなどのディスクバックアップ(世代管理可能)

  • バックアップの取得

  • テスト用データの作成

  • バックアップの取得

  • テスト用データの作成

  • 採取したディスク内バックアップのリストア

  • バックアップの取得

  • テスト用データの作成

  • 更新量が少なく物理的なディスクの壊れから復旧させる必要がある場合

注意

上記は、各コピー機能の仕組みを考慮した、一般的な比較です。
実際の各適用シーンでは、サーバへの影響の有無は異なります。