ページの先頭行へ戻る
Interstage Business Application Server 運用ガイド(高信頼性ログ編)
FUJITSU Software

10.4.5 インクリメンタルリカバリによるリカバリ

ユーザログテーブル用のRDBディレクトリファイルを含むリカバリを行う場合、データベースをすべて参照してリカバリするため、大変時間を必要とします。業務を再開するのに必要なDSIを把握している場合は、ユーザログテーブル用のRDBディレクトリファイルのリカバリ時間を短縮することができます。RDBディレクトリファイルのリカバリ時間の短縮方法は、rdbrcvdicコマンドのddlオプションとrdbrcvコマンドのDIRモードによって行います。

rdbrcvdicコマンドでddlオプションを指定すると、RDBディレクトリファイルのデータベース資源のアクセス情報のリカバリは行いません。rdbrcvコマンドのDIRモードでDSI名を指定すると、そのDSIに関するRDBディレクトリファイルのデータベース資源のアクセス情報だけをリカバリします。このことにより、目的業務の再開までの時間を短縮することができます。残りのDSIに関するRDBディレクトリファイルのデータベース資源のアクセス情報は、目的業務と並行してリカバリすることができます。

参照

rdbrcvコマンドおよびrdbrcvdicコマンドの指定方法の詳細は、“Interstage Business Application Server リファレンス”を参照してください。

以下に、rdbrcvdicコマンドのddlオプションとrdbrcvコマンドのDIRモードを使用して、リカバリ時間の短縮化を行う場合の例を以下に示します。

リカバリ操作の手順

DIR_FILE1: ユーザログテーブル用のRDBディレクトリファイル
DIR_FILE2: RDBディクショナリ用のRDBディレクトリファイル

(1) Symfoware/RDBを起動します。                       ――― rdbstartコマンド
(2) データベースを定義します。                        ――― rdbddlexコマンド
(3) RDBディクショナリの退避データを取得します。       ――― rdbdmpdicコマンド
(4) 目的業務を実行します。

              ★ 障害発生

(5) Symfoware/RDBを停止します。                       ――― rdbstopコマンド
(6) 媒体障害の場合は、障害ボリュームを取り換えます。  ――― CE作業
(7) ボリュームを取り換えた場合は、ボリュームの構成情報を復元します。
                                                      ――― fmthardコマンド
(8) RDBディクショナリおよびRDBディレクトリファイルを  ――― rdbrcvdicコマンド
  リカバリします。ただし、RDBディレクトリファイルのデータ      (FWモードの
   ベース資源のアクセス情報はリカバリしません。                 ddlオプション)
(9) Symfoware/RDBを起動します。                       ――― rdbstartコマンド
(10) 異常時に備えてRDBディクショナリの退避データを    ――― rdbdmpdicコマンド
   取得します。
(11) 目的業務で使用するDSIのアクセス情報を            ――― rdbrcvコマンド
   リカバリします。                                            (DIRモード)
(12) 目的業務を実行します。
(13) 目的業務で使用しないDSIのアクセス情報を          ――― rdbrcvコマンド
   リカバリします。                                            (DIRモード)

(1) Symfoware/RDBを起動します。                       ――― rdbstartコマンド
(2) データベースを定義します。                        ――― rdbddlexコマンド
(3) RDBディクショナリの退避データを取得します。       ――― rdbdmpdicコマンド
(4) 目的業務を実行します。

              ★ 障害発生

(5) Symfoware/RDBを停止します。                       ――― rdbstopコマンド
(6) 媒体障害の場合は、障害ボリュームを取り換えます。  ――― CE作業
(7) ボリュームを取り換えた場合は、ボリュームの構成情報を復元します。
                                                      ――― partedコマンド
(8) RDBディクショナリおよびRDBディレクトリファイルを  ――― rdbrcvdicコマンド
  リカバリします。ただし、RDBディレクトリファイルのデータ      (FWモードの
   ベース資源のアクセス情報はリカバリしません。                 ddlオプション)
(9) Symfoware/RDBを起動します。                       ――― rdbstartコマンド
(10) 異常時に備えてRDBディクショナリの退避データを    ――― rdbdmpdicコマンド
   取得します。
(11) 目的業務で使用するDSIのアクセス情報を            ――― rdbrcvコマンド
   リカバリします。                                            (DIRモード)
(12) 目的業務を実行します。
(13) 目的業務で使用しないDSIのアクセス情報を          ――― rdbrcvコマンド
   リカバリします。                                            (DIRモード)

(1) Symfoware/RDBを起動します。                       ――― rdbstartコマンド
(2) データベースを定義します。                        ――― rdbddlexコマンド
(3) RDBディクショナリの退避データを取得します。       ――― rdbdmpdicコマンド
(4) 目的業務を実行します。

              ★ 障害発生

(5) Symfoware/RDBを停止します。                       ――― rdbstopコマンド
(6) 媒体障害の場合は、障害ディスクを取り換えます。    ――― CE作業
(7) ディレクトリ構成をリカバリします。                ――― mkdirコマンド
(8) RDBディクショナリおよびRDBディレクトリファイルを  ――― rdbrcvdicコマンド
  リカバリします。ただし、RDBディレクトリファイルのデータ      (FWモードの
   ベース資源のアクセス情報はリカバリしません。                 ddlオプション)
(9) Symfoware/RDBを起動します。                       ――― rdbstartコマンド
(10) 異常時に備えてRDBディクショナリの退避データを    ――― rdbdmpdicコマンド
   取得します。
(11) 目的業務で使用するDSIのアクセス情報を            ――― rdbrcvコマンド
   リカバリします。                                            (DIRモード)
(12) 目的業務を実行します。
(13) 目的業務で使用しないDSIのアクセス情報を          ――― rdbrcvコマンド
   リカバリします。                                            (DIRモード)

リカバリ操作例

$ rdbstart

$ rdbddlex -d ULOG_DB /rdb/ddl.dat

$ rdbdmpdic -f dicback@/backup/rdb -y -e

目的業務の実行

rdb: ERROR:qdg03121u: RDBIIディクショナリにおいて 入出力障害が発生しました
      (システム名=rdbsys1)

$ rdbstop

CE作業  …  媒体障害の場合は、障害ボリュームの交換

$ fmthard -s c1t2d0_vtoc.txt /dev/rdsk/c1t2d0s2

$ rdbrcvdic -F -f dicback@/backup/rdb -du 1M -w /home/rdb1/work  -y -ddl 

rdb: INFO:qdg02654i: rdbrcvdicコマンドの処理を開始します  (システム名=rdbsys1)
rdb: INFO:qdg12694i: DSI‘ULOG_DB.業務ログ表DSI1’の定義情報のみを復元しアクセス禁止状態にしました  (システム名=rdbsys1)
       ・
       ・
rdb: INFO:qdg02655i: rdbrcvdicコマンドの処理が正常終了しました  (システム名=rdbsys1)

$ rdbstart

$ rdbdmpdic -f dicback@/backup/rdb -y -e

$ rdbrcv -D -i ULOG_DB.業務ログ表DSI1

rdb: INFO: qdg02654i: rdbrcvコマンドの処理を開始します  (システム名=rdbsys1)
rdb: INFO: qdg02581i: DSI‘ULOG_DB.業務ログ表DSI1’を復元しました

rdb: INFO: qdg02655i: rdbrcvコマンドの処理が正常終了しました  (システム名=rdbsys1)

目的業務の再実行

$ rdbrcv -D -t /home/rdb1/rcv.list
       ・
       ・

$ rdbstart

$ rdbddlex -d ULOG_DB /rdb/ddl.dat

$ rdbdmpdic -f dicback@/backup/rdb -y -e

目的業務の実行

rdb: ERROR:qdg03121u: RDBIIディクショナリにおいて 入出力障害が発生しました
      (システム名=rdbsys1)

$ rdbstop

CE作業  …  媒体障害の場合は、障害ボリュームの交換およびボリューム構成情報の復元

$ rdbrcvdic -F -f dicback@/backup/rdb -du 1M -w /home/rdb1/work  -y -ddl 

rdb: INFO:qdg02654i: rdbrcvdicコマンドの処理を開始します  (システム名=rdbsys1)
rdb: INFO:qdg12694i: DSI‘ULOG_DB.業務ログ表DSI1’の定義情報のみを復元しアクセス禁止状態にしました  (システム名=rdbsys1)
       ・
       ・
rdb: INFO:qdg02655i: rdbrcvdicコマンドの処理が正常終了しました  (システム名=rdbsys1)

$ rdbstart

$ rdbdmpdic -f dicback@/backup/rdb -y -e

$ rdbrcv -D -i ULOG_DB.業務ログ表DSI1

rdb: INFO: qdg02654i: rdbrcvコマンドの処理を開始します  (システム名=rdbsys1)
rdb: INFO: qdg02581i: DSI‘ULOG_DB.業務ログ表DSI1’を復元しました

rdb: INFO: qdg02655i: rdbrcvコマンドの処理が正常終了しました  (システム名=rdbsys1)

目的業務の再実行

$ rdbrcv -D -t /home/rdb1/rcv.list
       ・
       ・

> rdbstart

> rdbddlex -d ULOG_DB D:\USERS\DEFAULT\DDL.DAT

> rdbdmpdic -f DICBACK@E:\BACKUP\DIC -y -e

目的業務の実行

rdb: ERROR:qdg03121u: RDBIIディクショナリにおいて 入出力障害が発生しました
      (システム名=rdbsys1)

> rdbstop

CE作業  …  媒体障害の場合は、障害ディスクの交換

> mkdir D:\SFWD\RDB\USR\DIC
> mkdir D:\SFWD\RDB\USR\DIR

> rdbrcvdic -F -f DICBACK@E:\BACKUP\DIC -du 1M -w D:\TEMP -ddl 

rdb: INFO:qdg02654i: rdbrcvdicコマンドの処理を開始します  (システム名=rdbsys1)
rdb: INFO:qdg12694i: DSI‘ULOG_DB.業務ログ表DSI1’の定義情報のみを復元しアクセス禁止状態にしました  (システム名=rdbsys1)
       ・
       ・
rdb: INFO:qdg02655i: rdbrcvdicコマンドの処理が正常終了しました  (システム名=rdbsys1)

> rdbstart

> rdbdmpdic -f DICBACK@E:\BACKUP\DIC -y -e

> rdbrcv -D -i ULOG_DB.業務ログ表DSI1

rdb: INFO: qdg02654i: rdbrcvコマンドの処理を開始します  (システム名=rdbsys1)
rdb: INFO: qdg02581i: DSI‘ULOG_DB.業務ログ表DSI1’を復元しました

rdb: INFO: qdg02655i: rdbrcvコマンドの処理が正常終了しました  (システム名=rdbsys1)

目的業務の再実行

> rdbrcv -D -t D:\USERS\DEFAULT\DSI.TXT
       ・
       ・

/home/rdb1/rcv.listの内容を以下に示します。

ULOG_DB.業務ログ表DSI2
ULOG_DB.業務ログ表DSI3