Interstage Application Serverのマルチシステム上で運用するトランザクションアプリケーションに対して負荷分散を行う場合の環境設定手順について、以下に説明します。
ネットワークの設定
“IPCOM”のマニュアルを参照してください。
負荷分散ポリシーの設定
“IPCOM”のマニュアルを参照してください。
なお、負荷分散ポリシーの設定は、以下のように行ってください。
コネクション単位の分散を行うように設定してください。
“待ちメッセージ数限界値”、“待ちメッセージ数復旧値”、“通信バッファ使用率限界値”、“通信バッファ使用率復旧値”には、適切な値を設定してください。
Interstageのセットアップ
負荷分散対象サーバのInterstageの環境設定は、負荷分散対象となる全サーバに対して、以下の手順で実施してください。Interstageの環境設定手順の詳細については、“Interstage Application Server 運用ガイド(基本編)”の“Interstageの環境設定”を参照してください。(デフォルトシステムのセットアップ手順と同様です)
1. hostsファイルの設定
hostsファイル(/etc/hosts)に定義されている自サーバのホスト名とIPアドレスの設定文に対して、別名で、仮想IPアドレスのホスト名の宣言を追加します。
宣言を追加した後、pingコマンドによりホスト名が解決されているかを確認してください。
以下に、初期化対象となるサーバのホスト名がhost1、仮想IPアドレスのホスト名がvhostの場合の記述例を示します。なお、“192.0.2.21”のIPアドレスは、host1の実IPアドレスです。
192.0.2.21 host1 vhost |
2. Interstageの停止
isstop -fコマンドを実行し、Interstageを停止します。
以下に、isstop -fコマンドの実行例を示します。
> isstop -f |
3. Interstageシステム定義の生成
isgendefコマンドを実行し、Interstageシステム定義を生成します。
以下に、システム規模がsmallの場合のisgendefコマンドの実行例を示します。
> isgendef small |
4. Interstageシステム定義ファイルの登録
isregistdefコマンドを実行し、Interstageシステム定義ファイルを登録します。
以下に、isregistdefコマンドの実行例を示します。
> isregistdef |
5. Interstage動作環境定義のカストマイズ
Interstage動作環境定義に、以下の項目を設定してください。
・CORBA HOST NAME
・CORBA PORT NUMBER
以下に、各定義項目の指定例を示します。
CORBA HOST NAME=host1 |
6. Interstageの初期化
isinitコマンドを実行し、Interstageを初期化します。
以下に、Interstageの運用形態がtype1の場合の初期化実行例を示します。
> isinit type1 |
Traffic Director V4.1までと連携する場合は以下の手順で実施してください。
Interstageのセットアップ手順は、デフォルトシステムのみに対して負荷分散を行う場合の手順と異なります。
負荷分散対象システムのInterstageの環境設定は、負荷分散対象となる全システムに対して、以下の手順で実施してください。
hostsファイルの設定
hostsファイル(/etc/hosts)に対して、仮想IPアドレスと仮想IPアドレスのホスト名の宣言を追加します。本設定は、システム単位ではなく、仮想IPアドレス単位に行う作業です。
宣言を追加した後、pingコマンドによりホスト名が解決されているかを確認してください。
以下に、仮想IPアドレス“192.0.2.10”のホスト名がvhostの場合の記述例を示します。
192.0.2.10 vhost |
Interstageの停止
isstop -fコマンドを実行し、Interstageを停止します。
以下に、isstop -fコマンドの実行例を示します。
> isstop -f |
Interstageシステム定義の生成
isgendefコマンドを実行し、Interstageシステム定義を生成します。
以下に、システム規模がsmallの場合のisgendefコマンドの実行例を示します。
> isgendef small |
Interstageシステム定義ファイルの登録
isregistdefコマンドを実行し、Interstageシステム定義ファイルを登録します。
以下に、isregistdefコマンドの実行例を示します。
> isregistdef |
Interstage動作環境定義のカストマイズ
Interstage動作環境定義に、以下の項目を設定してください。負荷分散ポリシーに、“待ちメッセージ数”、“通信バッファ使用率”または“負荷計測(CPU、メモリ、ディスクI/O)方式”を指定する場合には、負荷分散対象となるシステムごとに、異なるIPアドレスを設定する必要があります。
・Corba Host Name
・Corba Port Number
以下に、各定義項目の指定例を示します。
Corba Host Name=host1 |
Interstageの初期化
isinitコマンドを実行し、Interstageを初期化します。ネーミングサービスは、負荷分散対象システムのローカルホスト上に配置してください。
以下に、Interstageの運用形態がtype1の場合の初期化実行例を示します。
> isinit type1 |
Interstageの起動
isstartコマンドを実行し、Interstageを再起動します。
以下に、Interstageの再起動の実行例を示します。
> isstart |
任意オブジェクトのオブジェクトリファレンスの登録
任意オブジェクトとは、Traffic Directorによるマルチシステム環境への負荷分散に使用するオブジェクトであり、任意の名前で登録します。
OD_or_admコマンドを使用し、任意オブジェクトのオブジェクトリファレンスを登録します。
以下に、任意オブジェクトの名前が“ISAS::TRD”、仮想IPアドレスのホスト名が“vhost”、ポート番号が“8003”の場合の実行例を示します。
> OD_or_adm -c IDL:ISAS/TRD:1.0 -h vhost -p 8003 -a IDL:ISAS/TRD:1.0 -n ISAS::TRD |
“ISAS::TRD”は、任意の名前で作成してください。
オブジェクトリファレンスの登録
トランザクションアプリケーションでは、オブジェクトリファレンスの作成とネーミングサービスへの登録は、次の2つの方法で行うことができます。
ワークユニット起動による自動登録
OD_or_admコマンドによる手動登録
なお、OD_or_admコマンドにより、各サーバマシンに配置されたネーミングサービスへサーバアプリケーションのオブジェクトリファレンスを登録する場合、-hオプションで指定するホスト名には、自ホストを指定してください。
クライアントの環境設定
inithostファイルに設定するネーミングサービスの参照先ホスト名に、仮想IPアドレスのホスト名を設定してください。仮想IPアドレスのホスト名とは、Interstageのセットアップ手順で設定した任意オブジェクトのホスト名です。また、hostsファイル(/etc/hosts)に、仮想IPアドレスと仮想IPアドレスのホスト名、負荷分散対象となるすべてのサーバのホスト名とIPアドレスの対応について宣言してください。
宣言を追加した後、pingコマンドによりホスト名が解決されているかを確認してください。