図A.10 RECの流れ
セッション操作 | Expressで使用するコマンド |
---|---|
開始 | acec start |
一時中断 | acec suspend |
再開 | acec resume |
反転 | acec reverse |
モード変更 | acec change |
停止 | acec cancel |
開始
RECのセッションを開始します。コピー元のパラメーターで指定したデータを、すべてコピーします。
コピー元のパラメーターで指定したデータのコピーが完了した場合、対応する領域に書き込みます。コピー先の領域にも、変更したデータを書き込みます。
コピー元のパラメーターで指定した領域のデータをすべてコピーした後は、RECの機能によって、コピー元とコピー先のデータは同じ状態になります。
このコピー元とコピー先のデータが同じになっている状態のことを、等価状態と呼びます。
等価状態になっている場合でコピー元のデータに変更があったときは、等価状態を維持するために、コピー先にもコピー元と同じ変更が反映されます。この状態のことを、等価性維持状態とよびます。
RECのセッションが等価状態になるまで、コピー先ボリュームに対する読み書きができません。
Destination Access Permission機能を設定した場合、RECのセッションが等価状態になっても、コピー先ボリュームに対する読み書きができません。コピー先ボリュームにアクセスするには、RECのセッションを一時中断してください。
Destination Access Permission機能を設定していない場合は、RECのセッションが等価状態になると、コピー先ボリュームへの書込みはできませんが、読込みは可能です。
参照
Destination Access Permission機能の詳細は、『ETERNUS SF 運用ガイド Copy Control Module編』の「EC/RECにおけるDestination Access Permission機能の利用」を参照してください。
ECと異なり、RECのセッションを始めるときは、以下の動作モードを指定する必要があります。
REC機能には、コピーの動作モードに以下の3種類があり、運用に合わせて動作モードを指定できます。
転送モード
Splitモード
Recoveryモード
RECのデータ転送方法に関するモードです。
転送方式 | 転送モード | 説明 |
---|---|---|
同期転送方式 | 同期 | サーバからのWrite要求に対し、コピー元ボリュームへのデータの書込みとコピー先ボリュームへのコピーを実行してから完了を返します。 コピー元ボリュームへのWriteとコピー先ボリュームへのコピーが同期するため、コピー完了時、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームのデータ内容を保証します。 サーバからのWriteアクセスの影響が大きいため、遅延の短いサイト内でのRECに向いています。 |
非同期転送方式 | Stack | 更新されたブロック位置だけを記録してからサーバへ完了を返すため、サーバへのレスポンス影響は小さくなります。独立した転送エンジンを使用して、記録したブロックのデータを転送します。 回線のバンド幅が細い場合でもコピーを実行できますが、未転送のデータが大量に蓄積される場合があります。 |
Consistency | コピー先のETERNUS ディスクアレイに対して、コピーセッション間での転送の順序性を保証します。データベースなど、複数の領域から構成されるコピーでミラーリングを行う運用に向いています。 本モードは、キャッシュメモリの一部をRECバッファーとして使用するモードです。コピーするデータのまとまりを送信用のRECバッファーへ"格納"してから、受信用のRECバッファーで転送されたデータを"展開"してコピー先へデータを転送します。 | |
Through | StackモードおよびConsistencyモードを、一時中断または停止する際に、未転送のデータを転送するためのモードです。 |
被災や回線エラーで、RECの回線が切断されたときの動作モードです。以下のどちらかの動作モードを選択できます。
Splitモード | 説明 |
---|---|
Automatic Split | RECの実行中になんらかの原因で通信がエラーとなった場合に、RECのセッションを自動的に切断してコピー元への更新処理を継続します。 |
Manual Split | RECの実行中になんらかの原因で通信がエラーとなった場合に、RECのセッションを切断する判断をオペレーターに委ねます。 |
一時中断
RECのセッションを一時中断します。コピー先ボリュームの読込みや書込みができます。
RECのセッションが等価性維持状態のときだけ、一時中断できます。
停止状態とは異なり、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームの変更が記録され続けます。
RECを一時中断するための手順は、RECの動作モードごとに異なります。
同期モードの場合は、ECと同じ手順で一時中断します。
図A.11 同期モードで一時中断および再開を実施する場合の手順
StackモードまたはConsistencyモードの場合は、転送モードを一度Throughモードに変更します。
ただし、Consistencyモードでコンカレントサスペンドを実行する場合は、Throughモードに変更しなくても構いません。
図A.12 StackモードまたはConsistencyモードで、一時中断および再開を実施する場合の手順
コンカレントサスペンド
ECと同様に、複数のEC/RECセッションを同時にサスペンドする、ETERNUS ディスクアレイの機能です。
この機能によって、複数のボリュームで構成されたデータベースなどが、整合性のとれた状態で容易にコピーできます。
転送モードが、同期モードまたはConsistencyモードの場合だけ、コンカレントサスペンドを実行できます。
図A.13 コンカレントサスペンドおよび再開を実施する場合の手順
再開
一時中断状態のRECのセッションを再開します。一時中断中にあったコピー元ボリュームのすべての変更をコピー先ボリュームに反映し、等価状態にします。
再開することで、等価状態にするための差分コピーをします。差分コピーは全面コピーよりもコピー量が少ないため、セッションを開始したときよりもコピーにかかる時間を短縮できます。
しかし、RECのセッションが一時中断状態のときにコピー先ボリュームのデータだけ変更すると、コピー先ボリュームで変更したデータはすべて失われます。
なお、本操作ではRECの動作モードを変更できません。
反転
RECのセッションのコピー方向を反転します。
RECのセッションが一時中断状態のときだけ実行できます。
モード変更
RECのセッションが一時中断状態のとき、「動作モードの変更」でRECの動作モードを変更できます。
停止
RECのセッションを停止します。
以下のどれかの場合にRECのセッションを停止するときは、ミラーリングが不完全な状態です。RECのセッション停止後に、コピー先ボリュームを使用できません。
初期コピー中の状態
エラーが発生して一時中断した状態
初期コピーでhaltした状態
以下のどれかの場合にECのセッションを停止するときは、ミラーリングが完了しています。ECのセッション停止後に、コピー先ボリュームを使用できます。
等価性維持状態
一時中断状態
等価性維持状態でhaltした状態