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ETERNUS SF Express 15.3 運用ガイド
ETERNUS

A.7.1 作業の流れ

図A.10 RECの流れ

表A.7 RECのセッション操作とExpressで使用するコマンドとの関係

セッション操作

Expressで使用するコマンド

開始

acec start

一時中断

acec suspend

再開

acec resume

反転

acec reverse

モード変更

acec change

停止

acec cancel

開始

RECのセッションを開始します。コピー元のパラメーターで指定したデータを、すべてコピーします。

ECと異なり、RECのセッションを始めるときは、以下の動作モードを指定する必要があります。


RECの動作モード

REC機能には、コピーの動作モードに以下の3種類があり、運用に合わせて動作モードを指定できます。

  • 転送モード

  • Splitモード

  • Recoveryモード

転送モード

RECのデータ転送方法に関するモードです。

転送方式

転送モード

説明

同期転送方式

同期

サーバからのWrite要求に対し、コピー元ボリュームへのデータの書込みとコピー先ボリュームへのコピーを実行してから完了を返します。

コピー元ボリュームへのWriteとコピー先ボリュームへのコピーが同期するため、コピー完了時、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームのデータ内容を保証します。

サーバからのWriteアクセスの影響が大きいため、遅延の短いサイト内でのRECに向いています。

非同期転送方式

Stack

更新されたブロック位置だけを記録してからサーバへ完了を返すため、サーバへのレスポンス影響は小さくなります。独立した転送エンジンを使用して、記録したブロックのデータを転送します。

回線のバンド幅が細い場合でもコピーを実行できますが、未転送のデータが大量に蓄積される場合があります。

Consistency

コピー先のETERNUS ディスクアレイに対して、コピーセッション間での転送の順序性を保証します。データベースなど、複数の領域から構成されるコピーでミラーリングを行う運用に向いています。

本モードは、キャッシュメモリの一部をRECバッファーとして使用するモードです。コピーするデータのまとまりを送信用のRECバッファーへ"格納"してから、受信用のRECバッファーで転送されたデータを"展開"してコピー先へデータを転送します。

Through

StackモードおよびConsistencyモードを、一時中断または停止する際に、未転送のデータを転送するためのモードです。


Splitモード

被災や回線エラーで、RECの回線が切断されたときの動作モードです。以下のどちらかの動作モードを選択できます。

Splitモード

説明

Automatic Split

RECの実行中になんらかの原因で通信がエラーとなった場合に、RECのセッションを自動的に切断してコピー元への更新処理を継続します。

Manual Split

RECの実行中になんらかの原因で通信がエラーとなった場合に、RECのセッションを切断する判断をオペレーターに委ねます。
可用性は低下しますが、コピー元とコピー先のデータに差分が生じることがないため、被災時のデータロストを極小にできます。


Recoveryモード

RECの通信エラーを回復するときの動作モードです。以下のどちらかの動作モードを選択できます。

Recoveryモード

説明

Automatic Recovery

通信エラーにより切断された回線が復旧した場合に、RECセッションを自動で復旧します。

Manual Recovery

通信エラーにより切断された回線が復旧しても、RECセッションを手動で復旧する必要があります。

一時中断

RECのセッションを一時中断します。コピー先ボリュームの読込みや書込みができます。
RECのセッションが等価性維持状態のときだけ、一時中断できます。

停止状態とは異なり、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームの変更が記録され続けます。

RECを一時中断するための手順は、RECの動作モードごとに異なります。


同期モードの場合

同期モードの場合は、ECと同じ手順で一時中断します。

図A.11 同期モードで一時中断および再開を実施する場合の手順


StackモードまたはConsistencyモードの場合

StackモードまたはConsistencyモードの場合は、転送モードを一度Throughモードに変更します。

ただし、Consistencyモードでコンカレントサスペンドを実行する場合は、Throughモードに変更しなくても構いません。

図A.12 StackモードまたはConsistencyモードで、一時中断および再開を実施する場合の手順

コンカレントサスペンド

ECと同様に、複数のEC/RECセッションを同時にサスペンドする、ETERNUS ディスクアレイの機能です。

この機能によって、複数のボリュームで構成されたデータベースなどが、整合性のとれた状態で容易にコピーできます。

転送モードが、同期モードまたはConsistencyモードの場合だけ、コンカレントサスペンドを実行できます。

図A.13 コンカレントサスペンドおよび再開を実施する場合の手順

再開

一時中断状態のRECのセッションを再開します。一時中断中にあったコピー元ボリュームのすべての変更をコピー先ボリュームに反映し、等価状態にします。

再開することで、等価状態にするための差分コピーをします。差分コピーは全面コピーよりもコピー量が少ないため、セッションを開始したときよりもコピーにかかる時間を短縮できます。

しかし、RECのセッションが一時中断状態のときにコピー先ボリュームのデータだけ変更すると、コピー先ボリュームで変更したデータはすべて失われます。

なお、本操作ではRECの動作モードを変更できません。

反転

RECのセッションのコピー方向を反転します。
RECのセッションが一時中断状態のときだけ実行できます。

モード変更

RECのセッションが一時中断状態のとき、「動作モードの変更」でRECの動作モードを変更できます。

停止

RECのセッションを停止します。

以下のどれかの場合にRECのセッションを停止するときは、ミラーリングが不完全な状態です。RECのセッション停止後に、コピー先ボリュームを使用できません。

以下のどれかの場合にECのセッションを停止するときは、ミラーリングが完了しています。ECのセッション停止後に、コピー先ボリュームを使用できます。