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ServerView Resource Orchestrator Virtual Edition V3.0.0 導入ガイド

4.3.1 ストレージ環境の決定

ここでは、本製品の導入に必要になる、ストレージ環境の構成と設定値の決定について説明します。


4.3.1.1 ストレージの構成

システムに必要なストレージの構成を決定します。

本製品がサポートするストレージ構成は以下のとおりです。

表4.1 サポートするストレージ構成

構成

システムディスク

データディスク

1

SANストレージ

SANストレージ

2

ローカルディスク (*1)

ローカルディスク (*1)、NAS

3

ローカルディスク (*1)

SANストレージ

4

iSCSIストレージ

iSCSIストレージ (*2)

5 (*3)

ローカルディスク (*1)

iSCSIストレージ

*1: ローカルディスクには、サーバの内蔵ディスクとストレージブレードを含みます。
*2: データディスクを使用する場合、ハードウェア・イニシエータを使用してください。ソフトウェア・イニシエータを使用してクローニングイメージの採取・配付を行った場合、データが破損する危険性があるため、ソフトウェア・イニシエータは使用しないでください。
*3: 本構成を使用する場合、ソフトウェア・イニシエータとiSCSIディスク用LANに接続するLANスイッチのポートに対するVLAN設定を、組み合わせて使用してください。LANスイッチのポートに対するVLAN設定は、運用サーバとiSCSIストレージに接続するポートに対して行ってください。予備サーバとクローニング配付先サーバに接続するポートに対しては行わないでください。

参考

  • 構成1、構成3および構成4の場合、I/O仮想をサポートします。

  • HBA address renameを利用しサーバ切替えをする場合、1台のサーバにSAN/iSCSIストレージが1台だけ接続されている構成で行えます。
    1台のサーバに複数ストレージが接続されている構成ではできません。

  • VIOMを利用しサーバ切替えをする場合、1台のサーバに複数ストレージを接続できます。
    これはVIOMがBIOSに設定するストレージ起動順番を、サーバ切替え時に引き継ぐことができるためです。

  • SANストレージをクラスタの共有ディスクとして利用できます。
    なお、クラスタ定義されているサーバに対するサーバ切替えはできません。

  • SAN/iSCSIストレージへのパスはシングル、マルチの両方をサポートします。

  • 構成5でサーバ切替えを行う場合、サーバ切替え時にVLAN設定を自動変更する設定が必要です。

  • 構成5でクローニングイメージ採取を行う場合、以下の操作が必要です。

    【Windows】
    採取完了後に再起動またはiSCSIディスクのマウントを行います。

    【Linux】
    採取前に、iSCSIディスクのマウント設定についてOS起動時のfsckチェックを外します。また、採取完了後に再起動またはiSCSIディスクのマウントを行います。

  • 構成5でクローニングイメージ配付を行う場合、配付完了後に配付先サーバで、iSCSIディスク用LANに接続するLANスイッチのポートのVLAN設定を行う前に、ソフトウェア・イニシエータ設定を変更してください。ソフトウェア・イニシエータの設定が同じサーバが複数存在する場合、データが破損する危険性があるため、変更した設定に問題がないか確認してください。

  • システムディスクがSANストレージで、データディスクがローカルディスクの構成では、バックアップ・リストア、サーバ切替え、クローニングの機能を使用しない範囲で利用できます。


本製品で実現する機能

本製品では、I/O仮想を利用し、サーバに搭載されているHBAのWWN、NICのMACアドレス、ブート設定およびネットワーク設定を引き継ぐことで、サーバに接続されるストレージ装置の設定を変更しなくても、サーバ切替えやサーバ交換ができます。また、I/O仮想を利用できない環境では、サーバに接続されるファイバーチャネルスイッチ、ストレージ装置の設定を変更することで、サーバ切替えができます。
WWNには、WWNN、WWPNの2種類の値があり、それぞれノードの値、ポートの値として使用されます。
以下にサーバ切替えの例を示します。

図4.8 I/O仮想を利用したサーバ切替え例(WWNを切り替える場合)


4.3.1.2 HBA・ストレージ装置の設定値

サーバ側では物理サーバとHBAのWWN、ストレージ側ではHBAのWWNとストレージのボリュームとの関係を定義し、システムを設計します。
以下にHBAの2ポートを使いマルチパスでストレージに接続するときの例を示します。
詳細は、各ストレージ製品のマニュアルを参照してください。

注意

管理対象サーバにHBAのポートが合計3ポート以上搭載されている構成は、サポートしていません。

図4.9 WWNのシステム設計


使用するWWNの決定

HBA address renameまたはVIOM利用時には、使用するWWNを決定します。
HBA address renameまたはVIOMで使用するWWNを決定し、サーバ側にはOS(業務)と物理サーバを関連付け、ストレージ側にはボリュームを関連付けます。
HBA address renameまたはVIOMを利用することで、サーバに搭載されたHBAのWWNを意識しなくても、仮想化されたWWNを利用してサーバとストレージの設計が行えます。物理サーバが存在しないなどの、サーバに搭載されたHBAのWWNが把握できない場合でも、サーバとストレージを設計できます。

HBA address renameを利用する場合、WWNは"I/O仮想化オプション"で提供された値を使用します。
VIOMを利用する場合、WWNは以下のどれかの値を使用します。

WWNの衝突によるデータの破損を防ぐため、"I/O仮想化オプション"で提供された値を使用することをお勧めします。

参考

"I/O仮想化オプション"は、全世界で一意のWWNを提供します。これにより予期しないWWNの衝突を防ぐことができます。

注意

HBA address renameとVIOMで同じWWNを使用しないでください。同じWWNを使用した場合、データが破損する危険性があります。

HBA address renameまたはVIOMで使用するWWNの形式を、以下に示します。

提供されたWWNの先頭"2x"を以下のようにWWNNとWWPNに割り当てて利用します。

HBA address renameでは、xはHBAのI/Oアドレスの降順に割り当てられます。
なお、HBAのI/Oアドレスは、HBAのBIOS上またはHBAベンダーが提供しているツールで確認してください。

注意

HBA address renameでは、HBAのI/Oアドレスの降順にWWNを割り当てるため、HBAに記載されているポート番号順と一致しない場合があります。

詳細は、「C.2 HBA address rename設定時のWWNの割当て順序」を参照してください。

決定したWWNは、サーバ側の設計とストレージ側の設計で使用します。

使用するWWNの決定(VIOM利用時)

VIOMを利用する場合、VIOMの設定を先に行います。それによって決定したWWNと同じ値をストレージ側にも設定します。


4.3.1.3 iSCSIインターフェース・ストレージ装置の設定値(iSCSI)

サーバ側では物理サーバとiSCSIアダプターのIQN、ストレージ側ではiSCSIアダプターのIQNとストレージのボリュームとの関係を定義し、システムを設計します。
以下にiSCSIインターフェースの2ポートを使い、マルチパスでストレージに接続するときの例を示します。
詳細は、各ストレージ製品のマニュアルを参照してください。

図4.10 IQNのシステム設計


使用するIQNの決定

iSCSIを利用するには、使用するIQNを決定します。
iSCSIで使用するIQNを決定し、サーバ側にはOS(業務)と物理サーバを関連付け、ストレージ側にはボリュームを関連付けます。
IQNは以下で構成されます。

IQNは、一意である必要があります。
サーバ名や、"I/O仮想化オプション"で提供された該当するサーバのネットワークインターフェースに割り当てる予定のMACアドレスなどを、IQNの一部として使用することで、一意のIQNを作成してください。
IQNが重複している状態で、同時にアクセスを行うとデータが破損する危険性があります。
"I/O仮想化オプション"で提供された仮想MACアドレスを使用する場合の例を以下に示します。

MACアドレスが00:00:00:00:00:FFの場合

IQN iqn.2010-04.com.fujitsu:0000000000ff

決定したIQNは、サーバ側の設計とストレージ側の設計で使用します。