ここでは、マネージャーのアップグレードについて説明します。
マネージャーをクラスタで運用している場合、アップグレードインストールによる移行はできません。手動でアップグレードしてください。
ポイント
以降の手順の中で旧バージョンのServerView Resource Coordinator VEのマニュアルを参照している箇所は、旧バージョンのServerView Resource Orchestratorのマニュアルに読み替えてください。
移行資産
マネージャー上で移行の対象になる資産は以下のとおりです。
本製品の設定情報(旧バージョン環境で構築された本製品の設定情報)
証明書
システムイメージとクローニングイメージ(イメージファイル格納フォルダー配下のファイル)
また、アップグレードインストールによる移行では、以下の資産も移行対象になります。
ポート番号の設定
消費電力データ
イベント連携のバッチファイル/スクリプトファイル
アップグレードインストールにより移行資産が以下のフォルダーに作成され、退避されます。アップグレードが完了するまで、以下のフォルダーは決して削除しないでください。
【Windowsマネージャー】
32bit(x86)の場合
ドライブ名\Program Files\RCVE-upgradedata
64bit(x64)の場合
ドライブ名\Program Files (x86)\RCVE-upgradedata
【Linuxマネージャー】
/var/opt/RCVE-upgradedata
/var/opt/backupscwdir
事前準備
アップグレードする前に、以下の準備と確認を行ってください。
本バージョンのマネージャーが動作可能な環境であるか確認してください。
動作環境については、「設計ガイド VE」の「2.4 ソフトウェア環境」と「2.5 ハードウェア環境」を参照してください。
特にメモリ容量は注意してください。
何らかの原因でアップグレードが異常終了した場合の復旧に備え、システムボリュームのバックアップを行ってください。
管理対象サーバの管理LANのNICをGLSによって冗長化している場合、プライマリーインターフェースで管理LANを活性化してください。
アップグレード完了後の確認のため、VMゲストが存在するVMホストを登録している場合、事前にRORコンソールからすべてのVMゲストが表示されているか確認、記録してください。
サーバ切替えの設定を行っている場合、予備サーバに切り替わった状態ではアップグレードできません。アップグレード作業を開始する前に復旧させてください。復旧方法については、「ServerView Resource Coordinator VE 運用ガイド」のサーバ切替えの記事を参照してください。
ETERNUS SF Storage Cruiser ManagerまたはETERNUS SF AdvancedCopy Manageを使用している場合、サービスまたはデーモンを停止してください。停止方法については、各製品のマニュアルを参照してください。
アップグレードインストールによるアップグレード
RCVE V2.2.2以降から本バージョンへのアップグレードは、本製品のインストーラによるアップグレードインストールを利用できます。以下の手順で、アップグレードを行ってください。
注意
アップグレード作業が完了するまで、マネージャー、エージェント、その他機器のハードウェア設定、および構成を変更しないでください。
システムイメージ、クローニングイメージが存在する場合、アップグレード時に一時的に退避(コピー)するため、管理サーバに、システムイメージ、クローニングイメージと同容量の空きスペースが必要です。アップグレード前に、ディスク容量を確認してください。
アップグレードインストール時は、旧バージョンのインストールフォルダー、および配下のフォルダーやファイルを、コマンド プロンプト、エクスプローラまたはエディタなどで参照しないでください。
参照している場合、アップグレードインストールが失敗します。
アップグレードインストールに失敗した場合、参照を中止して再度アップグレードインストールを実行してください。
アップグレードインストールに失敗した場合、事前準備でバックアップしたシステムボリュームをリストアして、再度アップグレードインストールを実行してください。
再度アップグレードインストールを実行しても問題が解決しない場合、当社技術員に連絡してください。
アップグレード前の状態に復旧する場合、事前準備でバックアップしたシステムボリュームをリストアしてください。
アップグレードインストールにより、旧バージョンに適用されていた修正は削除されます。
【Linuxマネージャー】
UpdateAdvisor(ミドルウェア)のコマンドを任意の場所で実行するためにPATH変数を設定していない場合、旧バージョンに適用されていた修正は削除されますが、製品情報とコンポーネント情報が削除されません。UpdateAdvisor(ミドルウェア)のマニュアルを参照し、修正適用管理簿から製品情報とコンポーネント情報を削除してください。
マネージャーをクラスタで運用している場合、アップグレードインストールによる移行はできません。手動でアップグレードしてください。
アップグレードインストール時に使用済みのポートが存在していると以下のメッセージが表示され、アップグレードインストールに失敗します。その場合は、当社技術員に連絡してください。
【Windowsマネージャー】
ServerView Resource Orchestratorで利用するポート番号:ポート番号はすでに使用されています。
【Linuxマネージャー】
The specified port number Port Number selected for ServerView Resource Orchestrator is already used.
アップグレードインストール
【Windowsマネージャー】
「2.1.2 インストール【Windowsマネージャー】」のインストールの手順1.から手順5.を参照して、本製品のインストーラを実行します。
本製品のセットアップ画面が表示されます。使用許諾契約などの内容を確認し、<次へ(N)>ボタンをクリックしてください。
旧バージョンから引き継ぐ設定内容が表示されるので確認し、<確認>をクリックしてください。アップグレードインストールが開始されます。
【Linuxマネージャー】
「2.1.3 インストール【Linuxマネージャー】」のインストールの手順1.から手順5.を参照して、本製品のインストーラを実行します。
使用許諾契約などの内容を確認し、"y"を入力してください。
旧バージョンから引き継ぐ設定内容が表示されるので確認し、"y"を入力してください。アップグレードインストールが開始されます。
アップグレードインストール終了後の再起動【Windowsマネージャー】
アップグレードインストールが終了したあと、アップグレードを完了させるためにシステムを再起動します。
注意
エージェントのアップグレードを行わずに、システムイメージのバックアップ、およびクローニングイメージの採取を使用する場合、マネージャーのアップグレード完了後に管理対象サーバを再起動するか、関連サービスを再起動してください。
管理対象サーバと関連サービスの再起動については、「ServerView Resource Coordinator VE 導入ガイド」の「5.2 エージェント」を参照してください。
手動によるアップグレード
クラスタで運用しているRCVEのマネージャーから、ROR VEへのアップグレードは、一括設定の構成定義ファイルの読込み(インポート)、および構成定義ファイルの書出し(エクスポート)を利用して行います。
以下の手順で、アップグレードを行ってください。
参照
一括設定については、以下のマニュアルを参照してください。
「操作ガイド VE」
「第12章 リソース登録および変更のための一括設定」
「付録B 一括設定用の構成定義ファイル(CSV形式)」
注意
アップグレード作業が完了するまで、マネージャー、エージェント、その他機器のハードウェア設定、および構成を変更しないでください。
保守モードの設定
旧バージョンのRORコンソールから、すべての管理対象サーバを保守モードに設定してください。
構成定義ファイルの書出し(エクスポート)
旧バージョンの一括設定を利用し、構成定義ファイルをCSV形式で出力します。エクスポート中は、本製品のほかの操作を実行しないでください。
出力方法については、「ServerView Resource Coordinator VE 導入ガイド」を参照してください。
移行資産の退避(コピー)
旧バージョンの証明書の退避(コピー)を行ってください。
以下のフォルダーまたはディレクトリを退避(コピー)してください。
【Windowsマネージャー】
RCVE V2.2.2の場合
インストールフォルダー\Manager\etc\opt\FJSVssmgr\current\certificate
インストールフォルダー\Manager\etc\opt\FJSVrcxdm\certificate
インストールフォルダー\Manager\sys\apache\conf\ssl.crt
インストールフォルダー\Manager\sys\apache\conf\ssl.key
ROR VE V3.0.0以降の場合
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\opt\FJSVssmgr\current\certificate
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\opt\FJSVrcxdm\certificate
インストールフォルダー\SVROR\Manager\sys\apache\conf\ssl.crt
インストールフォルダー\SVROR\Manager\sys\apache\conf\ssl.key
【Linuxマネージャー】
/etc/opt/FJSVrcvmr/opt/FJSVssmgr/current/certificate
/etc/opt/FJSVrcvmr/sys/apache/conf/ssl.crt
/etc/opt/FJSVrcvmr/sys/apache/conf/ssl.key
旧バージョンのシステムイメージ、クローニングイメージが格納されているフォルダーをインストールフォルダーとイメージファイル格納フォルダー配下以外の場所に退避(コピー)してください。
デフォルトのイメージファイル格納フォルダーを使用している場合は以下のフォルダーまたはディレクトリを退避(コピー)してください。
【Windowsマネージャー】
RCVE V2.2.2の場合
インストールフォルダー\ScwPro\depot\Cloneimg
ROR VE V3.0.0以降の場合
インストールフォルダー\SVROR\ScwPro\depot\Cloneimg
【Linuxマネージャー】
/var/opt/FJSVscw-deploysv/depot/CLONEIMG
デフォルトから変更している場合、変更先の"Cloneimg"フォルダーまたは"CLONEIMG"ディレクトリを退避(コピー)してください。
以下の情報を退避(コピー)してください。
ポート番号の設定
【Windowsマネージャー】
ドライブ名\WINDOWS\system32\drivers\etc\services
【Linuxマネージャー】
/etc/services
イベント連携のバッチファイル/スクリプトファイル
【Windowsマネージャー】
RCVE V2.2.2の場合
インストールフォルダー\Manager\etc\trapop.bat
ROR VE V3.0.0以降
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\trapop.bat
【Linuxマネージャー】
/etc/opt/FJSVrcvmr/trapop.sh
注意
マネージャーをクラスタで運用している場合、上記のフォルダーまたはディレクトリは共有ディスク上に配置されています。配下のファイル、フォルダーまたはディレクトリが正しく退避(コピー)されているか確認してください。
なお、退避(コピー)先は共有ディスク上のフォルダーまたはディレクトリでも問題ありませんが、マネージャーのクラスタサービスのセットアップ時に作成した、"RCoordinator"配下以外の場所を指定してください。
マネージャーをクラスタで運用している場合、フォルダーまたはディレクトリの退避(コピー)はプライマリーノードで実行してください。
システムイメージ、クローニングイメージを退避(コピー)する前に、ディスク容量を確認してください。システムイメージ、クローニングイメージのディスク容量については、「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」を参照してください。システムイメージ、クローニングイメージが格納されているフォルダーが存在しない場合、この手順は必要ありません。
マネージャーをクラスタで運用している場合、旧バージョンの「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」の「B.4 設定解除」を参照し、クラスタサービスの削除、および旧バージョンのマネージャーをアンインストールしてください。
注意
マネージャーをアンインストールすると、ユーザーアカウントの情報も削除されます。手順7.を参照してRORコンソールから再設定してください。
旧バージョンのマネージャーのアンインストール
旧バージョンのマネージャーをアンインストールしてください。詳細は、「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」を参照してください。
マネージャーをクラスタで運用している場合、旧バージョンの「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」の「B.4 設定解除」を参照し、クラスタサービスの削除、および旧バージョンのマネージャーをアンインストールしてください。
注意
「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」の事前準備に記載されている「サーバの削除」は行わないでください。HBA address renameを利用している管理対象サーバを削除した場合、マネージャーのアップグレード完了後に管理対象サーバの再起動が必要です。
マネージャーをアンインストールすると、ユーザーアカウントの情報も削除されます。手順7.を参照してRCコンソールから再設定してください。
本バージョンのマネージャーのインストール
本バージョンのマネージャーをインストールします。
インストールについては、「2.1 マネージャーのインストール」を参照してください。
マネージャーをクラスタで運用している場合、「付録D マネージャーのクラスタ運用設定・削除」を参照し、マネージャーのインストール、およびクラスタサービスのセットアップを行ってください。
注意
マネージャーインストール時の[管理LANの選択]画面では、旧バージョンと同一の管理LANを指定してください。
マネージャーのインストール後、以下の手順で、手順3.で退避(コピー)した証明書とイメージファイル格納フォルダーを復元してください。
マネージャーを停止します。
退避(コピー)したイメージファイル格納フォルダーをインストール時に指定したフォルダーに復元します。
デフォルトのイメージファイル格納フォルダーを使用している場合、以下のフォルダーまたはディレクトリに復元してください。
【Windowsマネージャー】
インストールフォルダー\SVROR\ScwPro\depot\Cloneimg
【Linuxマネージャー】
/var/opt/FJSVscw-deploysv/depot/CLONEIMG
デフォルトから変更している場合、変更先のフォルダーに復元してください。
イメージファイル格納フォルダーを退避していない場合、この手順は必要ありません。
退避(コピー)した証明書を、マネージャーのインストールフォルダーに復元します。
以下のフォルダーまたはディレクトリに復元してください。
【Windowsマネージャー】
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\opt\FJSVssmgr\current\certificate
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\opt\FJSVrcxdm\certificate
インストールフォルダー\SVROR\Manager\sys\apache\conf\ssl.crt
インストールフォルダー\SVROR\Manager\sys\apache\conf\ssl.key
【Linuxマネージャー】
/etc/opt/FJSVrcvmr/opt/FJSVssmgr/current/certificate
/etc/opt/FJSVrcvmr/sys/apache/conf/ssl.crt
/etc/opt/FJSVrcvmr/sys/apache/conf/ssl.key
事前準備で退避した情報を復元します。
ポート番号の設定
退避した情報に従って、ポート番号を変更してください。
ポート番号の変更方法については、「操作ガイド VE」の「8.2 ポート番号の変更」を参照してください。
ポート番号をデフォルトから変更していない場合、この手順は必要ありません。
イベント連携のバッチファイル/スクリプトファイル
以下のファイルを置き換えて復元してください。
【Windowsマネージャー】
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\trapop.bat
【Linuxマネージャー】
/etc/opt/FJSVrcvmr/trapop.sh
マネージャーを起動します。
マネージャーの起動方法と停止方法については、「運用ガイド VE」の「2.1 マネージャーの起動と停止」を参照してください。
注意
マネージャーをクラスタで運用している場合、以下に注意してください。
イメージファイル格納フォルダーと証明書の復元は、共有ディスクがマウントされた状態で、かつプライマリーノードで行ってください。
イベント連携のバッチファイル/スクリプトファイルの復元は、両ノードで行ってください。
ユーザーアカウントの設定
事前準備で記録した情報に従って、RORコンソールから、ユーザーアカウントの設定を行います。
ユーザーアカウントの設定については、「操作ガイド VE」の「第5章 ユーザーアカウントの設定」を参照してください。
構成定義ファイルの編集
旧バージョンで構築していた環境に応じて、手順2.でエクスポートした構成定義ファイル(CSV形式)を編集します。
すべてのリソースの操作欄を"new"に変更してください。
RCVE V2.2.2以降からアップグレードする場合は、以下のセクションに含まれるリソースの操作欄は"new"に変更しないでください。
ServerAgent
ServerVMHost
Memo
構成定義ファイル(CSV形式)の編集方法については、「ServerView Resource Coordinator VE 導入ガイド」、を参照してください。
注意
予備サーバ情報が設定されている場合、以下の方法で予備サーバ情報の設定を削除してください。
[SpareServer]セクションで、[operation]をハイフン("-")にしてください。
本バージョン環境の構築
構成定義ファイルの読込み(インポート)を行い、本バージョンの環境を構築します。
以下の手順で、本バージョン環境の構築を行ってください。
構成定義ファイルの読込み(インポート)
編集が完了した構成定義ファイルの読込み(インポート)を行います。
読込み方法については、「操作ガイド VE」の「12.2 構成定義ファイルの読込み(インポート)」を参照してください。
エージェントの登録
RORコンソールから、事前準備で記録した情報に従って、エージェントを登録します。エージェントの登録は、管理対象サーバのOSが起動した状態で行ってください。
エージェントの登録については、「第7章 管理対象サーバに対するソフトウェアのインストールとエージェントの登録」を参照してください。
エージェントの登録完了後、RORコンソールからすべての物理OS、VMホストが表示されているか確認してください。VMゲストが存在するVMホストを登録している場合、すべてのVMゲストが表示されているか確認してください。
予備サーバ情報の設定
RORコンソールから、事前準備で記録した情報に従って、予備サーバ情報を登録します。
予備サーバ情報の登録については、「操作ガイド VE」の「18.2 サーバ切替えの設定」を参照してください。
ラベル、コメントおよび連絡先情報の登録
ラベル、コメント、および連絡先情報を登録していた場合、手順6.で"new"に変更した構成定義ファイル(CSV形式)の操作欄をハイフン("-")に戻し、[Memo]セクションに含まれるリソースの操作欄を"new"に変更してください。
構成定義ファイル(CSV形式)の編集方法については、「操作ガイドVEを参照してください。
編集が完了したら、構成定義ファイルの読込み(インポート)を行います。
読込み方法については、「操作ガイド VE」の「12.2 構成定義ファイルの読込み(インポート)」を参照してください。
保守モードの設定
事前準備で記録した情報に従って、アップグレードを行う前に保守モードに設定していた管理対象サーバを、保守モードに設定してください。
保守モードの設定については、「操作ガイド VE」の「付録C 保守モード」を参照してください。
注意
エージェントのアップグレードを行わずに、システムイメージのバックアップ、およびクローニングイメージの採取を使用する場合、マネージャーのアップグレード完了後に管理対象サーバを再起動するか、関連サービスを再起動してください。
関連サービスの再起動については、「運用ガイド VE」の「2.2 エージェントの起動と停止」を参照してください。