Suspend/Resume機能とは、ECによる等価性維持状態を一時中断(Suspend)/再開(Resume)する機能です。当機能を使用し、一時中断状態からの差分コピーを行うことによって、より高速な同期型バックアップ運用が可能です。
Suspend/Resume機能は、ECを利用する同期型高速バックアップの1つです。
通常の同期型高速バックアップでは、acmstartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)でECによるコピーを開始し、コピー完了後に等価状態を保持します。その後、acmbackup(バックアップ実行コマンド)を実行してECを解除することでバックアップを行います。テープへのコピーでは、通常の同期型高速バックアップと同様に、バックアップボリュームからコピーします。
Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップでは、サスペンド指定をしてacmbackup(バックアップ実行コマンド)を実行すると、ECを一時停止してバックアップ完了となりますが、ECセッションは保持されます。次回のacmstartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)によるEC再開時は、一時停止以降に更新されたデータだけをコピーするので、バックアップ準備時間の短縮を図ることが可能となります。
通常の同期型高速バックアップとSuspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップの比較を、以下に示します。
図10.5 通常の同期型高速バックアップとSuspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップの比較
Suspend/Resume機能を使用して同期型高速バックアップを行うには、同期処理開始後、等価性維持状態に達したら、acmbackup(バックアップ実行コマンド)をサスペンド指定で実行し、同期処理を一時停止(Suspend)します。その後、世代溢れや履歴情報削除の実行によって履歴が削除されると、バックアップボリュームは履歴のないサスペンド状態になります。このとき、新たに同期処理を開始すると、履歴のないサスペンド状態のバックアップボリュームが優先的に選択され、差分コピーが開始されます。前回サスペンド時からの変更データだけをコピーするため、高速に等価性維持状態に達します。
Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップ運用の流れを、以下に示します。
図10.6 Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップ運用