テープバックアップを行うために考慮すべき事項と設定手段を、以下に示します。
テープサーバの台数および運用分散
全管理対象サーバ(Storageサーバ)の業務ボリューム数に応じて、テープサーバを複数台導入して、テープサーバの負荷を分散させます。全体のバックアップスケジュールを考慮して、どの管理対象サーバの要求をどのテープサーバ上で実行させるのかを決定します。
「3.2 管理対象サーバとテープサーバの対応付け」により設定します。
バックアップ先媒体
ディスクおよびテープの両方、またはテープだけにバックアップするのかを決定します。
バックアップ先ディスクを確保できるか、業務の停止可能時間はどれだけか(停止可能時間が短い場合はディスクが必要)を考慮して決定します。
「19.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)」のオプションで指定します。
ディスクおよびテープの両方にバックアップする場合、「19.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)」の-mオプションには“BOTH”を指定してください。
テープだけにバックアップする場合、「19.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)」の-mオプションには“TAPE”を指定してください。
ディスクだけにバックアップした後、ディスクに採取したバックアップデータをテープへコピーする場合、「19.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)」の-mオプションには“DISK”を指定してください。
その後、「19.2.2.2 acmtphistcopy(テープコピー実行コマンド)」を実行してください。
ディスクだけにバックアップする場合は、swstbackupコマンドを使用しないでください。
ポイント
テープにバックアップする場合は、テープの種類によって記憶容量が異なるため、必要となるテープ数の見積りには、以下の値を参考にしてください。
LTO Generation 1 ≒ 100GB
LTO Generation 2 ≒ 200GB
LTO Generation 3 ≒ 400GB
LTO Generation 4 ≒ 800GB
保存世代数
保存するバックアップデータの最大数を決めます。バックアップ先のディスクおよびテープをどれだけ準備できるかにより決まります。保存世代数と必要なバックアップ先ディスク(バックアップボリューム)の容量は、管理対象サーバのOSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド』の各バックアップ運用の「運用設計」を参照してください。
「3.5.2.1 テープバックアップ管理クラス」および「3.5 バックアップポリシー」により行います。
保存日数
テープに採取したバックアップデータをいつまで保存しておくかを決めます。
「3.5.2.1 テープバックアップ管理クラス」により行います。保存日数は、ディスクのデータに対して設定できません。
TOCの見積り
NASディレクトリ単位/NASファイル単位リストアを実現するためには、NASのバックアップ時にNAS装置からバックアップされた目次情報(以降、“TOC”と略します)のデータを、ディスクまたはテープに保存しておく必要があります。
このため、ディスク、またはテープに保存するTOCの容量の見積りについて説明します。
ファイルおよびディレクトリの名前に日本語を含まない場合
TOCサイズ = 700byte×(総バックアップファイル数+総バックアップディレクトリ数) |
ファイルおよびディレクトリの名前に日本語を含む場合
TOCサイズ = 2000byte×(総バックアップファイル数+総バックアップディレクトリ数) |
バックアップの多重度と使用するドライブ数
バックアップを多重に実行する運用では、ドライブの割当てに偏りが生じないよう、使用するドライブ数を制限できます。
全体のバックアップスケジュールを考慮して決定します。例えば、複数の管理対象サーバのバックアップを同時に実行する場合、ある管理対象サーバのバックアップが先に全ドライブを使用してしまうと、他の管理対象サーバのバックアップ完了時間が遅延して、業務の開始時間に影響が出ることが考えられます。各管理対象サーバで同時に使用するドライブ数を制限することにより、使用ドライブ数のバランスを図ることができ、このような遅延を防ぐことができます。
ドライブ数の制限は、「3.3 デバイス・クラス」の設定で行います。また、このデバイス・クラスを使用するストレージ・プールを作成し、業務ボリュームのバックアップポリシーで、このストレージ・プールを設定します。
ポイント
テープへのバックアップ運用では、同時に実行するバックアップ数がドライブ数より多い場合、後から動作したバックアップがドライブ空き待ちとなります。(バックアップコマンドは、この時点では復帰しません。)
この場合、先に動作したバックアップが完了すると、自動的にテープへの書込みが開始されます。
スナップショット型か同期型か
ディスクへのバックアップにおいて、スナップショット型か同期型のどちらを使用するかを決めます。
スナップショット型、同期型の詳細は、管理対象サーバのOSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド』の各バックアップ運用の「概要」を参照してください。