リストア前処理では、他アプリケーションとの一時的なアクセス競合を回避するために、リストア先ボリュームのロック処理に失敗した場合、ロック処理のリトライを実施します。標準のリトライ動作は以下のとおりです。
ロック処理に失敗した場合は、1秒間待った後、再度、ロック処理を実施します。
ロック処理のリトライを20回(初回と合わせて計21回)実施しても、ロックが取得できない場合は、処理を中断してコマンドを異常終了させます。
リトライ上限(デフォルト値=20回)とリトライ間隔(デフォルト値=1秒)は、リストア先ボリュームロック動作指定ファイルと呼ばれる設定ファイルを作成することにより変更できます。また、この設定ファイルでは、リストア先ボリュームのリストア前処理に対して、以下の動作を指示することもできます。
ロック処理のリトライを行う前に、そのボリューム内の全てのファイルハンドルを無効にすることを指定する(強制ロック機能)。
注意
リストア先ボリュームロック動作指定ファイルは、12.2.3.2 swstresback(資源バックアップコマンド)ではバックアップされません。リストア先ボリュームロック動作指定ファイルを使用する運用の場合は、copyコマンド等を使用してバックアップしておく必要があります。
リストア先ボリュームロック動作指定ファイルは以下のファイル名で作成してください。
ファイル名 | [クラスタ運用でない場合] |
リストア先ボリュームロック動作指定ファイルの設定例を以下に示します。
[g1d1p1] LockForceMode=on LockRetryNumber=10 LockRetryInterval=10 [ANY] LockForceMode=off LockRetryNumber=20 LockRetryInterval=100 |
リストア先ボリュームロック動作指定ファイルの作成方法は以下のとおりです。
ロック動作を変更するボリュームのセクションを作成し、パラメーターを記述します(上記の例ではg1d1p1のセクションが作成されています)。変更可能なパラメーターは下表に示された3つのパラメーターですが、3つ全てを記述する必要はなく、変更したいパラメーターのみを記述してください。記述しなかったパラメーターについては、デフォルト値が使用されます。
また、デフォルトのロック動作を変更するためには「ANY」というセクションを作成し、パラメーターを記述します。これにより、リストア先ボリュームロック動作指定ファイルに明示的に記述されているボリューム以外の全てのボリュームのロック動作を変更することができます(上記の例ではg1d1p1以外の全てのボリュームのロック動作は「ANY」セクションの値にしたがって動作します)。
RDSTLOCK.INIの設定項目
キー | 説明 |
---|---|
LockForceMode | リストア先ボリュームのロックに失敗した場合、ロック処理のリトライを実施しますが、リトライを実施する前にボリュームのマウントを解除することを指定します。 off(デフォルト値)=ロックのリトライ前にマウント解除を実施しない on=ロックのリトライ前にマウント解除を実施する ボリュームのマウントが解除されると、そのボリュームに対して開いているハンドルは、全て無効となります。 ※マウント解除後にすぐにボリュームが使用中になってしまう場合には、ロックが取得できないことがあります。 |
LockRetryNumber | リストア先ボリュームのロックに失敗した場合、ロック処理のリトライを実施しますが、本パラメーターでリトライ回数を指定します。指定可能な数値は、1から10000までです。 デフォルトの設定値は20(回)です。 指定されたリトライ回数、リトライを実施してもリストア先ボリュームのロックができない場合は、処理を中断してコマンドを異常終了させます。 |
LockRetryInterval | リストア先ボリュームのロックに失敗した場合、ロック処理のリトライを実施しますが、本オプションでリトライの間隔(ミリ秒単位)を指定します。指定可能な数値は、1から600000(10分)までです。デフォルトの設定値は1000(1秒)です。 |