分散トランザクション連携を行うCORBAサーバアプリケーションをマルチスレッド環境で使用する場合、以下のアプリケーション構成で運用することができるようになります。
■1つのアプリケーションプロセス内でデータベースアクセスする場合
上図は、1つのアプリケーションプロセス内で、スレッド多重3で動作する場合の例です。
3つのプロセスで行うことを、3つのスレッドで制御するため、資源削減となります。なお、同じデータベースにアクセスする場合は、アクセスの内容によって、データベース側で排他制御されることがあります。例では、同じサーバ環境にOTSシステムも動作していますが、別サーバにOTSシステムを動作させても問題ありません。
■サーバアプリケーションのコンパイル・リンクについて
C言語/C++言語用サーバアプリケーションソースを、Visual C/C++コンパイラを使用してコンパイルする場合、[プロジェクト]-[設定]-[C/C++]-[カテゴリ]を“コード生成”にし、[使用するランタイムライブラリに“マルチスレッド(DLL)”を選択してください。
COBOL用サーバアプリケーションソースをコンパイルする場合、翻訳オプションに“THREAD(MULTI)”を指定してください。
C言語/C++言語用サーバアプリケーションソースをコンパイルする場合は、-mtオプションを付加してください。
COBOL用サーバアプリケーションソースを、PowerCOBOL97 V6.0系以降を使用してコンパイルする場合、-Tmオプションを付加してください。
■コンパイル・リンク方法の例(C言語の場合)
C言語でSymfoware/RDBを使用した場合のリンクパラメタを以下に示します。
% cc -mt -O -o test1_s test1_s.o test1_skel.o /opt/FSUNots/program/xa/libotsxasym_mt.o \ -L/opt/FSUNots/lib -lservapl_mt -ltacebase -L/opt/FSUNrdb2b/lib -lsqldrvm -lrdbxam \ -L/opt/FSUNod/lib -lOM -lOMcn -I/opt/FSUNod/include -I/opt/FSUNots/include test1_s.c
Symfoware/RDBのインストールバス:“/opt/FSUNrdb2b”
データベース連携サービスのインストールパス:“/opt/FSUNots”
CORBAサービスのインストールパス:“/opt/FSUNod”
\:継続行
■コンパイル・リンク方法の例(COBOLの場合)
COBOLでSymfoware/RDBを使用した場合のリンクパラメタを以下に示します。
% cobol -M -Tm -c test1_s.cbl % cobol -dy -Tm -L. -L/opt/FSUNots/lib -lservaplcbl_mt -lservapl_mt -ltacebase \ -L/opt/FSUNrdb2b/lib -lsqldrvm -lrdbxam -lsocket -lnsl -lm -ldl \ -L/opt/FSUNod/lib -lOM -lOMcn -L/opt/FSUNod/lib -lOMcblMT \ -o test1_s test1_s.o /opt/FSUNots/program/xa/libotsxasym_mt.o
Symfoware/RDBのインストールパス:“/opt/FSUNrdb2b”
データベース連携サービスのインストールパス:“/opt/FSUNots”
% cobol -dy -G -Tm -o libtest1_cdr.so test1_cdr.cbl
% /opt/FSUNrdb2b/FSUNrdbco/bin/sqlpcob -T test1_s_wit.ecob % cobol -Tm -WC,”NOALPHAL” -c test1_s_wit.cobol % /opt/FSUNrdb2b/FSUNrdbco/bin/sqlpcob -T test1_s_dep.ecob % cobol -Tm -WC,”NOALPHAL” -c test1_s_dep.cobol
% cobol -dy -G -Tm -o libtest1_test1_account1_skel.so test1_test1_account1_skel.cbl
% cobol -dy -G -Tm -lrcobol -L/opt/FSUNod/lib -lOM -lOMcn -lOMcblMT \ -o libTEST1-ACCOUNT1.so -L. -ltest1_cdr \ -ltest1_test1_account1_skel test1_s_wit.o test1_s_dep.o
■サーバアプリケーション情報のインプリメンテーションリポジトリへの登録
OD_impl_instコマンドを使用して、インプリメンテーションリポジトリにサーバアプリケーション情報を登録します。登録の方法は、サーバアプリケーションのプロセス、スレッド関係なく同一ですが、インプリメンテーション情報定義ファイル内の情報は異なります。OD_impl_instコマンドの詳細については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
% OD_impl_inst -ax defname
OD_impl_instコマンドに指定するインプリメンテーション情報定義ファイルの内容例を以下に示します。
rep_id = IDL:ODdemo/calculator:1.0 type = persistent proc_conc_max = 1 thr_conc_init = 3 mode = SYNC_END data = "RESOURCE:resourcedef1"
rep_id = IDL:ODdemo/calculator:1.0 type = persistent proc_conc_max = 1 thr_conc_init = 3 env = LD_LIBRARY_PATH=/opt/FSUNots/lib:/opt/FSUNod/lib;OTS_HOME=/opt/FSUNots mode = SYNC_END data = "RESOURCE:resourcedef1"
マルチスレッド環境で運用する場合は、thr_conc_initパラメタにスレッド多重度を設定してください。スレッド多重度の制限値、およびパラメタの詳細な意味や設定値については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”のOD_impl_instコマンドを参照してください。
CORBAサービスから提供されるlibOM.soファイルは、サーバアプリケーションの言語に関係なくCORBAサービスのインストールディレクトリ/libが有効になるように環境変数LD_LIBRARY_PATHに設定してください。
OD_impl_instコマンドは、サーバアプリケーション情報を削除することもできます。
削除処理の例を以下に示します。
% OD_impl_inst -d -r IDL:ODdemo/calculator:1.0