Any_varクラスはAny型データを扱うためのいくつかのメンバ関数を提供します。
class Any_var { public: Any_var(); // デフォルトコンストラクタ Any_var( Any *); // Any*コンストラクタ Any_var( const Any_var & ); // コピーコンストラクタ ~Any_var(); // デストラクタ Any_var &operator=( Any * ); // Any*代入演算子 Any_var &operator=( const Any_var & ); // 代入演算子 Any *operator->(); // ポインタ演算子 operator Any*() const; // 交換演算子 private: Any *_ptr; };
Any_varクラスのメンバ | 意味 |
---|---|
デフォルトコンストラクタ | インスタンス生成時、_ptrを0に初期化します。 |
Any*コンストラクタ | インスタンス生成時、パラメタで指定されたAnyポインタを_ptrに代入します。 |
コピーコンストラクタ | インスタンス生成時、指定されたパラメタの_ptrのデータのコピーを作成し、自身の_ptrに設定します。_ptrの領域を新規獲得します。メモリ不足により領域の獲得に失敗した場合、_ptrがNULLに設定されます。 |
デストラクタ | _ptrの指す領域を解放します。 |
Any* 代入演算子 | 右辺で指定されたAny*ポインタを_ptrに代入します。 |
代入演算子 | 右辺で指定されたAny_varの_ptrに設定されているデータのコピーを作成し、そのポインタを_ptrに設定します。_ptrの領域を新規獲得します。メモリ不足により領域の獲得に失敗した場合、_ptrがNULLに設定されます。 |
ポインタ演算子 | _ptrに設定されているデータを取り出します。 |
交換演算子 | _ptrに設定されているデータを取り出します。 |
デフォルトコンストラクタは、インスタンス生成時、_ptrに0を設定します。デフォルトコンストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。
CORBA::Any_var any; // デフォルトコンストラクタが起動されます。 CORBA::Any_var::CORBA::Any_var() { _ptr = 0; }
Any*コンストラクタは、インスタンス生成時、パラメタで指定されたAnyポインタを_ptrに代入します。Any*コンストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。
CORBA::Any *data = new CORBA::Any(); CORBA::Long x = 3; (*data) <<= x; CORBA::Any_var any(data); // Any*コンストラクタが起動されます。 CORBA::Any_var::Any_var( Any *p ) { _ptr = p; }
コピーコンストラクタは、インスタンス生成時、パラメタで指定されたAny_var変数に設定されている_ptrのコピーを作成し、自身の_ptrに代入します。コピーコンストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。
CORBA::Any *data = new CORBA::Any(); CORBA::Long x = 3; (*data) <<= x; CORBA::Any_var any(data); // Any*コンストラクタが起動されます。 CORBA::Any_var any2( any ); // コピーコンストラクタが起動されます。 CORBA::Any_var::Any_var( const CORBA::Any_var &r ) { ... // rの_ptrを取り出し、そのコピーを_ptrに設定します。 }
デストラクタは、インスタンス解放時、_ptrに設定されている領域を解放します。デストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。
func() { CORBA::Any *data = new CORBA::Any(); CORBA::Long x = 3; (*data) <<= x; CORBA::Any_var any(data); // Any*コンストラクタが起動されます。 CORBA::Any_var *any2 = new Any_var( any ); // コピーコンストラクタが起動されます。 delete any2; // デストラクタが起動されます。 } // 自動変数anyの解放時にデストラクタが起動されます。 CORBA::Any_var::~Any_var() { delete _ptr; }
Any*代入演算子は、右辺で指定されたAny*ポインタを_ptrに設定します。すでに_ptrにデータが設定されている場合には、解放した後、処理を行います。Any*代入演算子の使用例と処理内容を以下に示します。
CORBA::Any_var var_data; CORBA::Any *data = new CORBA::Any(); CORBA::Long x = 3; (*data) <<= x; var_data = data; // Any *代入演算子が起動されます。 CORBA::Any_var::operator=( Any *p ) { if( _ptr ) delete _ptr; _ptr = p; } CORBA::Any_var::operator=( const Any_var &r ) { if( _ptr ) delete _ptr; ... // rの_ptrを取り出し、そのコピーを_ptrに設定します。 }
代入演算子は、右辺で指定されたAny_varのptrに設定されているデータのコピーを作成し自身の_ptrに代入します。すでに_ptrにデータが設定されている場合には、解放した後、処理を行います。代入演算子の使用例と処理内容を以下に示します。
CORBA::Any_var var_data; CORBA::Any *data = new CORBA::Any(); CORBA::Long x = 3; (*data) <<= x; var_data = data; // Any *代入演算子が起動されます。 CORBA::Any_var var_data2 = var_data; // 代入演算子が起動されます。
ポインタ演算子は、_ptrに設定されているポインタを返します。ポインタ演算子の使用例と処理内容を以下に示します。
CORBA::Any_var var_data; CORBA::Any *data = new CORBA::Any(); CORBA::Long x = 3; (*data) <<= x; CORBA::Long *p = var_data->value(); // ポインタ演算子が起動され、CORBA::Any *データが取り出され、 // そのCORBA::Any*データに対してvalueメソッドを起動します。 CORBA::Any_var::operator->() { return _ptr; }