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Symfoware Server V10.0.0/V10.0.1 アプリケーション開発ガイド(埋込みSQL編)

6.1.2 コンパイル・リンクのための環境設定

アプリケーションをコンパイル・リンクするためには、作業に先立って必要な環境を設定しておく必要があります。設定すべき環境には、以下のものがあります。

環境変数の設定

アプリケーションをコンパイル・リンクするために必要な環境変数を以下に示します。

表6.1 アプリケーションをコンパイル・リンクする場合に必要な環境変数

環境変数名

意味

LANG(必須項目)

アプリケーションのロケールを指定します。アプリケーションの言語や文字コード系に何を使いたいかによってロケールを決めます。ロケールは具体的には、以下に影響を与えます。

  • アプリケーションのソースコード

  • アプリケーションの入出力ファイル

  • クライアント用の動作環境ファイル

  • SQLメッセージ(SQLMSG)

SQLメッセージは、以下の環境変数の強度にしたがってロケールが決まります。

(強い)LC_ALL > LC_MESSAGE > LANG(弱い)

Symfoware/RDBは、ロケールの言語がjaで始まる場合は日本語のメッセージを出力し、それ以外のロケール(Cロケールなど)の場合は英語でメッセージを出力します。

環境変数“LANG”の設定の例を以下に示します。

Solaris[Cシェルの場合]

setenv LANG ja

[bash、Bシェル、Kシェルの場合]

LANG=ja; export LANG

Linux[TCシェルの場合]

setenv LANG ja_JP.UTF-8

[bashの場合]

LANG=ja_JP.UTF-8; export LANG

アプリケーションのロケールと文字コード系の関係を示します。

表6.2 アプリケーションのロケールと文字コード系の関係

対象OS

文字コード系

ロケール

Solaris

EUCコード

ja

シフトJISコード

ja_JP.PCK

UNICODE

ja_JP.UTF-8

Linux

UNICODE

ja_JP.UTF-8

備考) メッセージを英語で出力したい場合は、ロケールにCを指定してください。その際の文字コード系の指定については、“2.3.1 文字コード系の決定”を参照してください。

アプリケーションをコンパイルするときに必要に応じて設定する環境変数を以下に示します。これらの環境変数を設定しておくことにより、コンパイル時にsqlcc、sqlfccまたはsqlcobolでオプションを指定する必要がなくなります。

表6.3 アプリケーションをコンパイル・リンクする場合に必要に応じて設定する環境変数

環境変数名

意味

RDBDB

アプリケーションで指定するデータベース名を指定します。

環境変数“RDBDB”の設定の例を以下に示します。

Solaris[Cシェルの場合]

setenv RDBDB DB1

[bash、Bシェル、Kシェルの場合]

RDBDB=DB1; export RDBDB

Linux[TCシェルの場合]

setenv RDBDB DB1

[bashの場合]

RDBDB=DB1; export RDBDB

SQLPC

(Cプログラム時)

コンパイル時の起動オプションを指定します。起動オプションには、以下のものがあります。

  • -I:インクルードファイルのディレクトリ

  • -d:データベース名

  • -R:SQL文の予約語とSQL機能のレベルをSQL88でコンパイルする場合に指定

  • -W:SQL文の予約語とSQL機能のレベルを指定(注)

  • -C:固定長文字列型のホスト変数に対してアプリケーションの実行時に、NULL文字(\0)を意識した処理をする場合に指定

  • -v9:64ビットで実行するSQL埋込みCプログラムをコンパイルする場合に指定

  • -T:マルチスレッド環境で動作するまたはセションを操作する関数を利用するSQL埋込みCプログラムをコンパイルする場合に指定

  • -K:選択リストに“*”を指定したカーソル宣言または単一行SELECT文や、挿入列リストを省略したINSERT文が、アプリケーションに記述されていないかチェックする場合に指定

環境変数“SQLPC”の設定の例を以下に示します。

Solaris[Cシェルの場合]

setenv SQLPC '-I /sqlapp/include '

[bash、Bシェル、Kシェルの場合]

SQLPC='-I /sqlapp/include '; export SQLPC

Linux[TCシェルの場合]

setenv SQLPC '-I /sqlapp/include '

[bashの場合]

SQLPC='-I /sqlapp/include '; export SQLPC

SQLPCOB

(COBOLプログラム時)

コンパイル時の起動オプションを指定します。起動オプションには、以下のものがあります。

  • -I:インクルードファイルのディレクトリ

  • -d:データベース名

  • -R:SQL文の予約語とSQL機能のレベルをSQL88でコンパイルする場合に指定

  • -W:SQL文の予約語とSQL機能のレベルを指定(注)

  • -Z:COBOLソース単位がクラス定義(オブジェクト指向プログラミング機能)の場合に指定

  • -A:SQL埋込みCOBOLプログラム中に単一の引用符を記述する場合に指定

  • -f:SQL埋込みCOBOLプログラムが固定形式の場合に指定

  • -n:SQL埋込みCOBOLプログラム中の英小文字を英大文字として扱わない場合に指定

  • -G:SQL埋込みCOBOLプログラム中に集団項目を使用する場合に指定

  • -E1:SQL埋込みCOBOLプログラム中に集団項目繰り返しを使用する場合に指定

  • -g:エラーメッセージにSQL埋込みプログラムの行番号を出力する場合に指定

  • -T:マルチスレッド環境で動作するSQL埋込みCOBOLプログラムをコンパイルする場合に指定

  • -K:選択リストに“*”を指定したカーソル宣言または単一行SELECT文や、挿入列リストを省略したINSERT文が、アプリケーションに記述されていないかチェックする場合に指定

  • -v9:64ビットで実行するSQL埋込みCOBOLプログラムをコンパイルする場合に指定

Linux

  • -RCS:アプリケーションの文字コード系がUNICODEの場合に、日本語項目の表現形式を指定

    • -RCS BE:日本語項目の表現形式をUCS-2のビッグエンディアン形式とする場合に指定

    • -RCS LE:日本語項目の表現形式をUCS-2のリトルエンディアン形式とする場合に指定

  本オプションは、アプリケーションの文字コード系がUNICODEの場合のみ指定できます。本オプションを省略した場合は、UCS-2のリトルエンディアン形式でコンパイルします。

環境変数“SQLPCOB”の設定の例を以下に示します。

Solaris[Cシェルの場合]

setenv SQLPCOB '-I /sqlapp/include '

[bash、Bシェル、Kシェルの場合]

SQLPCOB='-I /sqlapp/include '; export SQLPCOB

Linux[TCシェルの場合]

setenv SQLPCOB '-I /sqlapp/include '

[bashの場合]

SQLPCOB='-I /sqlapp/include '; export SQLPCOB

INCDIR

インクルードファイルのディレクトリを指定します。

環境変数“INCDIR”は、アプリケーション中にINCLUDE文を記述した場合に、Cプログラムの場合は環境変数“SQLPC”と、COBOLプログラムの場合は環境変数“SQLPCOB”と併用して設定できます。環境変数の指定がない場合は、Cプログラム時は環境変数“SQLPC”およびコンパイル時のみ有効となり、COBOLプログラム時は環境変数“SQLPCOB”およびコンパイル時のみ有効となります。

環境変数“INCDIR”の設定の例を以下に示します。

Solaris[Cシェルの場合]

setenv INCDIR /sqlapp/include:/splapp2/include:/use/include

[bash、Bシェル、Kシェルの場合]

INCDIR=/sqlapp/include:/splapp2/include:/use/include;

export INCDIR

Linux[TCシェルの場合]

setenv INCDIR /sqlapp/include:/splapp2/include:/use/include

[bashの場合]

INCDIR=/sqlapp/include:/splapp2/include:/use/include;

export INCDIR

注) -Wオプションに指定する値と、その値で利用可能なSQLの機能の関係は以下のとおりです。

-Wオプション

SQL機能

-W2007

XMLQUERY関数

述語

XMLEXISTS述語

ROWNUM

-W2000および-W2007

ファンクションルーチン

ロール

プロシジャ例外事象

条件宣言

ハンドラ宣言

SIGNAL文

RESIGNAL文

-W96、-W2000および-W2007

トリガ

行識別子

並列指定

-W95、-W96、-W2000および-W2007

プロシジャルーチン

-W92、-W95、-W96、-W2000および-W2007

定数

日時定数

時間隔定数

データ型

日時型

時間隔型

BLOB型

順序定義

一時表定義

数値関数

POSITION

EXTRACT

CHAR_LENGTH

CHARACTER_LENGTH

OCTET_LENGTH

データ列値関数

SUBSTRING

UPPER

LOWER

TRIM

日時値関数

CURRENT_DATE

CURRENT_TIME

CURRENT_TIMESTAMP

CAST指定

CASE式

NULLIF

COALESCE

CASE

結合表

カーソルのSCROLL指定

ただし、環境変数RDBDBを指定した場合、またはSQLPCおよびSQLPCOBでコンパイル時の起動オプションに-dを指定した場合、そのアプリケーションからCONNECT文を実行することはできません。

アプリケーションをCOBOLで作成する場合は、COBOLプログラムのコンパイルのための環境変数の定義も必要となります。

参照

COBOLプログラムのコンパイルのために必要な環境変数の定義については、“Sun日本語COBOL使用手引書”、“NetCOBOL使用手引書”または“COBOL97使用手引書”を参照してください。

作業用のディレクトリ構成

アプリケーションのコンパイル・リンクで参照あるいは作成するファイルを格納するための、作業用のディレクトリ構成を決めます。ディレクトリ構成は、開発および保守のしやすさを考慮して作成してください。

本章でアプリケーションのコンパイル・リンクの例を示す場合、作業用のディレクトリは以下の構成で作成されているものとします。

図6.2 作業用のディレクトリ構成の例