◆C言語、C++言語の例
サーバのメソッド部をIDLファイルのインタフェース定義単位で分割し、ライブラリ化する場合、以下の点に注意してください。
1つのモジュール内に1つのインタフェースが定義されている場合を例に説明します。
[ X.idl ] module M { interface I1 { ... }; };
(1) IDLファイルのコンパイル
IDLファイルをコンパイルしてスタブ・スケルトンを生成する場合、以下のオプション指定が必要です。
IDLc -dy X.idl /* C言語の場合 */ IDLc -dy -cpp X.idl /* C++言語の場合 */
-dyオプションを指定することで、IDLファイルに定義されたインタフェースごとにスケルトンを生成します。ライブラリは、生成されたスケルトンファイルごとに作成します。
(2) アプリケーションコンパイル時の手順
IDLファイルから生成されたスケルトンをコンパイルして*.oファイルを作成した後、Cコンパイラのライブラリ作成オプション(-G等)を指定することで、ライブラリを作成します。
cc -I$OD_HOME/include -D_REENTRANT -DNeedFunctionPrototypes -lsocket -lnsl -lthread -L$OD_HOME/lib -lOM -o X_M_I1_skel.o -c X_M_I1_skel.c cc -G -Kpic -I$OD_HOME/include -D_REENTRANT -DNeedFunctionPrototypes -lsocket -lnsl -lthread -L$OD_HOME/lib -lOM -o libM_I1.so X_M_I1_skel.o |
gcc -I$OD_HOME/include -D_REENTRANT -DNeedFunctionPrototypes -Wl -E -lnsl -lpthread -L$OD_HOME/lib -lOM -o X_M_I1_skel.o -c X_M_I1_skel.c gcc -shared -fPIC -I$OD_HOME/include -D_REENTRANT -DNeedFunctionPrototypes -Wl -E -lnsl -lpthread -L$OD_HOME/lib -lOM -o libM_I1.so X_M_I1_skel.o |
(3) OD_impl_instでの登録
IDLファイルから作成したライブラリをOD_impl_instコマンドの定義ファイルで指定します。
OD_impl_inst -ax X_def (X_def:定義ファイル)
定義ファイルX_defには、IDL:M/I1:1.0 = /user/libM_I1.soの記述を行うことで実際にクライアントからの要求時に/user/libM_I1.soが読み込まれサーバメソッドの呼出しが行われます。
(4) 継承を使用する場合のOD_impl_instでの登録
継承機能を使用する場合、OD_impl_instコマンドの定義ファイルに以下の指定を行います。
モジュール名:M, インタフェース名:I1, 継承名:I2の場合
IDL:M/I1:1.0 = /user/lib/libM_I1.so |
◆COBOLの例
COBOLの場合、サーバのメソッド部をIDLファイルのインタフェース定義単位で分割し、ライブラリ化する必要があります。そのとき、以下の点に注意してください。
1つのモジュール内に1つのインタフェースが定義されている場合を例に説明します。
[ X.idl ] module M { interface I1 { ... }; };
(1) IDLファイルのコンパイル
IDLファイルをコンパイルしてスタブ・スケルトンを生成する場合、以下のオプション指定が必要です。
IDLc -cobol IDLファイル名 /* COBOLの場合 */
(2) アプリケーションコンパイル時の手順
IDLファイルから生成されたスケルトンをコンパイルして*.oファイルを作成した後、COBOLコンパイラのライブラリ作成オプション(-G等)を指定することで、ライブラリを作成します。
cobol -G -o libX_cdr.so X_cdr.cbl cobol -G -o libX_skel.so X_skel.cbl cobol -G -o libX_M_I1_skel.so X_M_I1_skel.cbl cobol -G -lcobol -L$OD_HOME/lib -lOMcbl -o libM-I1.so -lX_cdr -lX_skel -lX_M_I1_skel M_I1.cbl
注1) 環境変数LD_LIBRARY_PATHに、COBOLのランタイムlibcobol.soの場所およびアプリケーション作成時のカレントディレクトリを指定する必要があります。
注2) 本製品の提供する登録集を参照するため、あらかじめ環境変数CORBAに以下の設定を行うとCOBOLソースのコンパイルが容易になります。
CORBA = $OD_HOME/include/COBOL
注3) COBOLのサーバアプリケーションはライブラリの形態で利用されます。ライブラリの名称は以下のとおりです。(ライブラリファイル名のモジュール名とインタフェース名部分はIDL定義の内容にかかわらず大文字となります)
libモジュール名-インタフェース名.so
作成するライブラリを構成するモジュールを以下に示します。(IDLファイルがX.idlの場合)
libX_cdr.so
libX_skel.so
libX_MM_I1_skel.so
また、ユーザ作成のサーバ実装部から他の関数をCALLする場合、同様にライブラリ化し、環境変数LD_LIBRARY_PATH等に設定する必要があります。詳細については、COBOLのマニュアルを参照してください。
注4) COBOLソースコンパイル時に“-dy”オプションは指定しないでください。
(3) OD_impl_instでの登録
IDLファイルから作成したライブラリをOD_impl_instコマンドの定義ファイルで指定します。
OD_impl_inst -ax X_def (X_def:定義ファイル)
定義ファイルX_defには、IDL:M/I1:1.0=/user/libM-I1.soの記述を行うことで実際にクライアントからの要求時に/user/libM-I1.soが読み込まれサーバメソッドの呼出しが行われます。
定義ファイルに指定するライブラリのファイル名には“アプリケーションコンパイル時の手順”で作成したライブラリのファイル名を指定してください。このとき、大文字小文字も一致させてください。
(4) 継承を使用する場合のOD_impl_instでの登録
継承機能を使用する場合、OD_impl_instコマンドの定義ファイルに以下の指定を行います。
例) モジュール名:M, インタフェース名:I1, 継承名:I2の場合 IDL:M/I1:1.0 = /user/lib/libM-I1.so IDL:M/I2:1.0 = /user/lib/libM-I2.so,,IDL:M/I1:1.0
(5) COBOLでの“IDL:BAD_OPERATION:1.0”の発生条件について
以下にシステム例外として“IDL:BAD_OPERATION:1.0”が通知された場合のサーバアプリケーションの見直しのポイントを示します。
アプリケーションの誤り
存在しない関数を使用
ライブラリの作成時に存在しない関数を誤ってCALLしている場合、未決シンボルが残ったままでライブラリができます。通常は、他のライブラリによって未決シンボルが解決されますが、アプリケーション動作時に解決がされない場合、サーバアプリケーションのメソッド呼出しに失敗し、BAD_OPERATIONが通知されます。
COBOLコンパイルの指定方法誤り
コンパイルオプションの指定誤り
COBOLソースのコンパイル時に“-dy”を指定された場合、“-dy”指定で作成されたアプリケーションからlibOMcbl.so,libOMircbl.soの提供するObjectDirectorの各サービス関数が使用できず、COBOLランタイムから以下のメッセージが表示されサーバアプリケーションの各関数呼出しに失敗し、BAD_OPERATIONが通知されます。
例) libXXXX.soが見つかりません。(XXXX: ObjectDirectorの関数名)
OD_impl_instコマンドで指定した定義ファイルに記述したサーバメソッド用ライブラリを作成する際にIDLコンパイラから生成された以下のCOBOLソースから作成したライブラリが結合されていない場合、BAD_OPERATIONが通知されます。
IDLファイル名_インタフェース名_skel.so IDLファイル名_cdr.so (IDLファイル名_skel.so) struct,union等の領域獲得関数用ソース
環境設定の誤り
インプリメンテーション情報登録の誤り
OD_impl_instコマンドで指定する定義ファイルの記述に以下のような誤りがあり、サーバアプリケーションのメソッド呼出しに失敗し、BAD_OPERATIONが通知されます。
定義ファイルに記述するリポジトリID(rep_id)がIDLと不一致。
persistent以外の場合で、環境変数定義(env)に環境変数LD_LIBRARY_PATHが未設定。または、COBOLランタイムおよびサーバアプリケーションの格納先、サーバアプリケーション、メソッドのライブラリの検索パスが定義されていません。
継承するライブラリの定義が漏れています。
リポジトリIDとライブラリの対応付けに誤りがあります。
IDL:module/interface:1.0 = ライブラリ名
アプリケーション起動時の環境変数LD_LIBRARY_PATHの設定誤り
環境変数LD_LIBRARY_PATHにサーバアプリケーションの格納先、サーバアプリケーション、メソッドのライブラリが定義されていません。
スレッド用libOM.soが有効となっている場合、サーバアプリケーションの起動、メソッド呼び出しに失敗します。COBOL使用時には、以下のパス指定が必須です。
$OD_HOME/lib/ntの指定