監視対象ノードにSNMPエージェントをインストールするとしないでは、監視内容に以下の違いがあります。
SNMPエージェントをインストールする場合
MIB情報を採取することができます。このため、“ノード検出”時にベンダー名やOS種別を自動判別したり、MIB情報を利用した性能監視を行うことができます。また、SNMPトラップを監視することができます。
ノード検出
IPアドレスやホスト名に加え、ベンダー名やOS種別、インタフェースの詳細情報等が追加されます。
稼働状態の監視
ノードの起動/停止の状態確認に加え、一部インタフェースの停止までの状態が確認できます。
MIBの監視
MIB情報を利用した監視ができます。
性能監視
ネットワーク/サーバの性能監視ができます。
SNMPトラップ監視
管理サーバに通知されるSNMPトラップを監視することができます。
SNMPエージェントをインストールしない場合
IPアドレスだけの管理となります。“稼働状態の監視”の設定を行うことにより、SNMPエージェントがインストールされていないノードの状態の変化(UP/DOWN)を監視することができます。
ノード検出
IPアドレスやホスト名だけが追加されます。
稼働状態の監視
ノードの起動/停止の状態が確認できます。
SNMPエージェントをインストールする場合の作業を以下に示します。
注意
監視対象のコード系がUTF-8の場合の注意事項
監視対象のSNMPエージェントでコード系としてUTF-8を使用した場合、以下の機能で文字化け等が発生する可能性があります。
ノード検出
MIB監視
MIB取得
簡易MIB取得
SNMPトラップの受信
詳細については、“UTF-8環境を利用する場合の注意事項【UNIX版】”を参照してください。
SNMPエージェントから採取するMIB情報
SNMPエージェントから採取するMIB情報は機能ごとに異なります。各機能を使用する場合は、以下のMIB情報をSNMPエージェントから採取できることが前提となります。
ノード検出
MIB名 | OID | 説明 |
---|---|---|
sysName | 1.3.6.1.2.1.1.5.0 | システム名(ホスト名) |
sysObjectID | 1.3.6.1.2.1.1.2.0 | ベンダ固有のエージェント装置識別名 |
sysDescr | 1.3.6.1.2.1.1.1.0 | システムのハードウェア・OS・SNMPエージェントの名称やバージョン |
ipForwarding | 1.3.6.1.2.1.4.1.0 | IPゲートウェイとして受信データをフォワーディングするかどうか |
rptrGroupDescr | 1.3.6.1.2.1.22.1.2.1.1.2.0 | リピータMIB |
ifIndex | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.1.(*1) | インタフェースの番号 |
ipAdEntAddr | 1.3.6.1.2.1.4.20.1.1.(*1) | IPアドレス |
ipAdEntIfIndex | 1.3.6.1.2.1.4.20.1.2.(*1) | IPアドレスの識別番号 |
ipAdEntNetMask | 1.3.6.1.2.1.4.20.1.3.(*1) | IPアドレスのサブネットマスク |
ifPhysAddress | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.6.(*1) | インタフェースのMACアドレス |
ifDescr | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.2.(*1) | インタフェース名 |
ifType | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.3.(*1) | インタフェースのタイプ |
ifSpeed | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.5.(*1) | インタフェースの現在の帯域幅(ビット/秒) |
ipNetToMediaType | 1.3.6.1.2.1.4.22.1.4.(*1) | マッピングのタイプ |
ipNetToMediaPhysAddress | 1.3.6.1.2.1.4.22.1.2.(*1) | MACアドレス(物理アドレス) |
*1) 採取可能なインデックスすべてを採取します。
稼働状態の監視
MIB名 | OID | 説明 |
---|---|---|
ifAdminStatus | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.7.(*1) | IP通信を行うインタフェースの現在の状態(管理上) |
ifOperStatus | 1.3.6.1.2.1.2.2.1.8.(*1) | IP通信を行うインタフェースの現在の状態(運転上) |
*1) 採取可能なインデックスすべてを採取します。
SNMPエージェントのインストール方法
SNMPエージェントのインストール方法をOS別に説明します。
【Windows(R) 2000】
注意
サービスパックの適用についての注意事項
サービスパックを適用済みのシステムの場合、SNMPサービスをインストールした後、サービスパックを再度適用する必要があります。
SNMPエージェントを、すでにWindows(R) 2000が実行されているコンピュータにインストールする方法を以下に示します。
[コントロールパネル]の[アプリケーションの追加と削除]を選択します。
[アプリケーションの追加と削除]ダイアログボックスで[Windowsコンポーネントの追加と削除]をクリックし、[Windows コンポーネントウィザード]を表示します。
[Windows コンポーネントウィザード]の[コンポーネント]で、一覧から[管理とモニタツール]を選択し、[詳細]ボタンをクリックします。
[管理とモニタツール]ダイアログボックスで[簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)]を選択し、[OK]ボタンをクリックします。
[アプリケーションの追加と削除]ダイアログボックスで[次へ]ボタンをクリックし、画面の指示に従ってWindows(R) 2000のCD-ROMをセットするとインストールを開始します。
【Windows(R) 2000以外】
この手順は、以下のWindows OSに適用されます。
Windows Server 2003 STD/Windows Server 2003 DTC/Windows Server 2003 EE
Windows Server 2008 STD/Windows Server 2008 DTC/Windows Server 2008 EE/Windows Server 2008 for Itanium-Based Systems/Windows Server 2008 Foundation/Windows Server 2008 R2
SNMPエージェントを、すでにWindows OSが実行されているコンピュータにインストールする方法を以下に示します。
[コントロールパネル]の[プログラムの追加と削除]を選択します。
[プログラムの追加と削除]ダイアログボックスで[Windowsコンポーネントの追加と削除]をクリックし、[Windows コンポーネントウィザード]を表示します。
[Windows コンポーネントウィザード]の[コンポーネント]で、一覧から[管理とモニタツール]を選択し、[詳細]ボタンをクリックします。
[管理とモニタツール]ダイアログボックスで[簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)]を選択し、[OK]ボタンをクリックします。
[プログラムの追加と削除]ダイアログボックスで[次へ]ボタンをクリックし、画面の指示に従ってWindows OSのCD-ROMをセットするとインストールを開始します。
【Windows Server 2008 Server Core】
SNMPエージェントのインストール方法
Server Core環境にSNMPエージェントがインストールされていることを確認します。コマンドプロンプトから以下のコマンドを実行します。
> oclist |
→ SNMPエージェントは、“SNMP-SC”と言うコンポーネント名で表示されます。
SNMPエージェントがインストールされていない場合は、コマンドプロンプトから以下のコマンドを実行し、SNMPエージェントをインストールします。
> Start /wait ocsetup SNMP-SC |
Windowsファイアウォールが有効になっている場合は、SNMPエージェントが使用するポート番号に対するブロックを解除してください。
ブロックを解除する際に実行するコマンドの例を以下に示します。
> netsh firewall add portopening protocol = UDP port = 161 name = snmp mode = ENABLE scope = ALL |
Server Core環境にインストールされているSNMPサービスの設定を変更する場合は、他のWindowsのコンピュータ(以下、設定用のコンピュータと表記します)からネットワーク経由で行う必要があります。
Server Core環境のコンピュータ上での作業
設定用のコンピュータがServer Core環境のコンピュータに接続できるようにファイアウォールの設定をします。
Server Core環境のコンピュータで、次のとおりポートのブロックの解除を行います。
> netsh firewall set service FILEANDPRINT enable SUBNET |
設定用のコンピュータ上での作業
Server Core環境のコンピュータに対して、ネットワークドライブ接続を行い、セッションを確立します。
[管理ツール]の[サービス]を起動します。
[操作]メニューより[別のコンピュータへ接続]を選択します。
[別のコンピュータ]欄にServer Core環境のコンピュータのホスト名、またはIPアドレスを入力します。
Server Core環境のコンピュータにインストールされているサービスの一覧が表示されます。一覧から[SNMP Service]のプロパティを編集することで、SNMPサービスの設定を行ってください。
【Solaris】
SNMPエージェントをインストールする場合、以下のパッケージをインストールします。
【Solaris 9】
SUNWsacom
SUNWsasnm
SUNWsadmi
SUNWmibii
【Solaris 10】
SUNWsmmgr
SUNWsmagt
SUNWsmcmd
インストール時に選択したソフトウェアグループが以下のどれかの場合、OSと共にインストールされるため、別途、インストールする必要はありません。
“エンドユーザーシステムサポート”ソフトウェアグループ
“開発者システムサポート”ソフトウェアグループ
“全体ディストリビューション”ソフトウェアグループ
“全体ディストリビューションと OEM サポート”ソフトウェアグループ
使用するコマンドについて
パッケージをインストールするときは、pkgaddコマンドを使います。
パッケージを削除するときは、pkgrm コマンドを使います。
パッケージがインストールされていることを確認するためには、pkginfo コマンドを使います。
【Linux】
注意
Update Releaseについての注意事項
Update Releaseを適用済みのシステムの場合、SNMPサービスをインストールした後、Update Releaseを再度適用する必要があります。
SNMPエージェントをインストールする場合、以下のrpmパッケージをインストールします。
net-snmp(またはucd-snmp)
使用するコマンドについて
rpmパッケージをインストールするときは、rpm コマンドの -i オプションを使います。
rpmパッケージを削除するときは、rpm コマンドの -e オプションを使います。
rpmパッケージがインストールされていることを確認するためには、rpm コマンドの -q オプションを使います。
[設定ファイル]
/etc/snmp/snmpd.conf |
以下にSNMPエージェントの設定ファイルの編集例を記述します。
詳細はmanコマンドを参照してください。
変更前
# sec.name source community com2sec notConfigUser default public # groupName securityModel securityName group notConfigGroup v1 notConfigUser group notConfigGroup v2c notConfigUser # Make at least snmpwalk -v 1 localhost -c public system fast again. # name incl/excl subtree mask(optional) view systemview included .1.3.6.1.2.1.1 view systemview included .1.3.6.1.2.1.25.1.1 # group context sec.model sec.level prefix read write notif access notConfigGroup "" any noauth exact systemview none none
変更後
# sec.name source community com2sec systemwalker default public # groupName securityModel securityName group RWGroup v1 systemwalker group RWGroup v2c systemwalker group RWGroup usm systemwalker # Make at least snmpwalk -v 1 localhost -c public system fast again. # name incl/excl subtree mask(optional) view all included .1 80 # group context sec.model sec.level prefix read write notif access RWGroup "" any noauth exact all none none
設定ファイルを編集後はSNMPエージェントを再起動します。
# /etc/init.d/snmpd stop |
コミュニティ名の変更
コミュニティ名を変更する場合、以下のとおり編集します。
ここでは、SNMPエージェントに設定されているコミュニティ名を、“FUJITSU”と仮定して説明します。
設定ファイル
/etc/snmp/snmpd.conf |
変更前
com2sec systemwalker default public |
変更後
com2sec systemwalker default FUJITSU |
アクセス許可するホストの設定
SNMPパケットの受け付けを許可するホストの IPアドレスを「*.*.*.*」と仮定して説明します。
ネットワークの性能監視、サーバの性能監視機能を利用する場合は、運用管理サーバ、部門管理サーバ、運用管理クライアントからのSNMPパケットを許可する設定にしてください。
設定ファイル
/etc/snmp/snmpd.conf |
変更前
com2sec systemwalker default public |
変更後
com2sec systemwalker *.*.*.* public |
設定ファイルを編集後はSNMPエージェントを再起動します。
# /etc/init.d/snmpd stop |
NATを使用した環境で、SNMPパケット送信元のIPアドレスがNATによって変換される場合は、NATによる変換後のIPアドレス(このコンピュータから見える、SNMPパケット送信元のIPアドレス)を設定してください。
SNMPサービスの設定
SNMPエージェントをインストールしたコンピュータで[サービス]ウィンドウから[SNMP Serviceのプロパティ]ダイアログボックスを起動し、以下の項目の設定をします。
コミュニティ名
Systemwalker Centric ManagerとSNMPエージェントとの通信において、認証に使用するコミュニティ名を事前に設定します。
コミュニティ名には、全角文字、半角カナ、半角空白、および以下の記号は使用できません。
“!”、“*”、“"”、“+”、“=”、“#”、“>”の半角の各文字
“\^”、“\-”の連続した半角の2文字
“ノード検出”を行う場合や[Systemwalkerコンソール]にサブネットフォルダまたはノードを登録する場合に、SNMPエージェントで設定した値と同じコミュニティ名を指定します。
トラップ通知先アドレス
SNMPトラップを[Systemwalkerコンソール]で監視する場合は、以下の設定を行います。
運用管理サーバのIPアドレスを設定します。
部門管理サーバのIPアドレスを設定します。
NATを使用した環境で、トラップ通知先コンピュータのIPアドレスがNATによって変換される場合は、NATによる変換後のIPアドレス(このコンピュータから見える、トラップ通知先コンピュータのIPアドレス)を設定してください。
以下の監視機能では、代表インタフェースに対してSNMP要求を発行し監視を行います。
稼働状態の監視
MIB監視
MIBの取得/MIBの設定/MIB情報の表示/HUB接続状況の表示
仮想ノードの検出
そのため、SNMP要求に対する応答パケットの送信元IPアドレスは、代表インタフェースのIPアドレスと一致する必要があります。
SNMPパケットを受け付けるホスト【Windows】
この手順は、以下のWindows OSに適用されます。
Windows Server 2003 STD/Windows Server 2003 DTC/Windows Server 2003 EE
Windows Server 2008 STD/Windows Server 2008 DTC/Windows Server 2008 EE/Windows Server 2008 for Itanium-Based Systems/Windows Server 2008 Foundation/Windows Server 2008 R2
[セキュリティ]タブより以下の項目を設定します。
受け付けるコミュニティ名
SNMPパケットを受け付けるホストを以下のどちらかの方法で設定します。
[すべてのホストから SNMP パケットを受け付ける]を選択します。
[これらのホストから SNMP パケットを受け付ける]を選択し、以下の設定をします。
運用管理サーバのIPアドレスまたは、ホスト名を指定します。
部門管理サーバのIPアドレスまたは、ホスト名を指定します。
業務サーバのIPアドレスまたは、ホスト名を指定します。
操作を行う運用管理クライアントのIPアドレスまたは、ホスト名を指定します。
NATを使用した環境で、SNMPパケット送信元のIPアドレスがNATによって変換される場合は、NATによる変換後のIPアドレス(このコンピュータから見える、SNMPパケット送信元のIPアドレス)を設定してください。
その他
その他のOSやネットワーク機器のSNMPエージェントのインストール方法、セットアップ方法は、それぞれのマニュアルを参照してください。
Systemwalker Centric Managerをインストール後にSNMPエージェントをインストールした場合に必要な作業
Linux for Itanium版の場合、Systemwalker Centric Managerのインストール後にSNMPエージェントをインストール、または、再インストールした場合、以下のコマンドを実行してください。この作業は運用管理サーバ、および、部門管理サーバで必要な作業であり、業務サーバでは行う必要はありません。
/opt/FJSVfwnm/bin/swtrapd-relay.sh |
インストールオプションで“性能監視(システム性能収集)機能”を選択したSystemwalker Centric Managerをインストール後にSNMPエージェントをインストールした場合、以下のコマンドを実行する必要があります。
“性能監視(システム性能収集)機能”をインストールしていない場合は、以下のコマンドは存在しません。実行する必要もありません。
【Windows】
Systemwalkerインストールディレクトリ\MPWALKER.DM\MpTrfExA\bin\setupexa.exe -i |
【Solaris 9】
/opt/FJSVspmex/etc/rc/setupsea.sh |
【Solaris 10】
/opt/FJSVspmex/etc/rc/setupProxy.sh |
【Linux】
/opt/FJSVspmex/etc/rc/setupProxy.sh |