受信アプリケーション(サーバシステム側のアプリケーション)の呼び出し処理で異常が発生した場合、送信アプリケーション(クライアントシステム側のアプリケーション)が受信する返信メッセージにFault情報が設定されます。受信した返信メッセージにFault情報が設定されているかどうかを判定するにはSOAPBody.hasFaultメソッドを使用します。このメソッドの返り値が真(true)の場合、返信メッセージにFault情報が設定されています。
Fault情報は、通常のSOAPメッセージと同様にSOAPボディの子要素として設定されます。Fault情報はSOAPFaultオブジェクトとして表され、SOAPBody.getFaultメソッドで取得できます。返信メッセージの受信からFault情報の取り出しは以下のようなプログラムコードになります。
import javax.xml.soap.*; ..... // レスポンスデータ受信 SOAPMessage response = conn.call( msg, endPoint ); SOAPEnvelope env = response.getSOAPPart().getEnvelope(); // SOAPBodyの取り出し SOAPBody body = env.getBody(); // Fault情報が設定されているかを判定 if( body.hasFault()) { // Fault情報の取り出し SOAPFault fault = body.getFault(); // Faultコードの取得 String faultCode = fault.getFaultCode(); // Fault説明の取得 String faultString = fault.getFaultString(); // Fault詳細の取得 Detail detail = fault.getDetail(); Iterator it = detail.getDetailEntries(); ..... } else{ // Fault情報は設定されていない(正常系) ..... }
Fault情報には以下の情報が含まれています。
情報種別 | 説明 |
---|---|
Faultコード | 異常の分類です。以下の文字列が設定されています。
それぞれの意味については下記の“Faultコードの分類”を参照してください。 |
Fault説明 | 異常の内容を説明する文字列が設定されています。 |
Faultアクタ | エラーの発生した場所(受信アプリケーションなど)を表すURIです。 |
Fault詳細 | Webサービスアプリケーション固有のエラー情報が設定されています。 |
FaultコードはSOAPFaultオブジェクトの以下のメソッドを使用して取り出します。
java.lang.String getFaultCode()
Faultコードの分類
Faultコード | 説明 |
---|---|
Server | Webサービス・コンテナや受信アプリケーションの処理過程で問題を検出したことを示します。 |
Client | 送信アプリケーションが送信したメッセージ内容に誤りを検出したことを示すコードです。 |
VersionMismatch | Webサービスが、受信したメッセージのSOAPのバージョンに対応していないことを示します。 |
MustUnderstand | Webサービスが、受信したメッセージのSOAPヘッダの処理必須である子要素の処理に失敗したことを示します。 |
その他のFaultコード値 | 以下のような場合に上記以外のFaultコードが返されることがあります。 |
Fault説明の取得
Fault説明はSOAPFaultオブジェクトの以下のメソッドを使用して取り出します。
java.lang.String getFaultString()
Faultアクタの取得
FaultアクタはSOAPFaultオブジェクトの以下のメソッドを使用して取り出します。
java.lang.String getFaultActor()
Fault詳細の取得
Fault詳細は、任意の数のFault詳細項目で構成されたWebサービス固有の情報項目です。
Fault詳細はSOAPFaultオブジェクトの以下のメソッドを使用して取り出します。
javax.xml.soap.Detail getDetail()
またFault詳細に含まれる個々の詳細項目はjavax.xml.soap.DetailEntryオブジェクトとして表され、Detailオブジェクトの以下のメソッドを使用して取り出します。
java.util.Iterator getDetailEntries()
それぞれのFault 詳細項目は、java.util.Iteratorオブジェクトにjavax.xml.soap.DetailEntryオブジェクトとして保持されています。Fault詳細項目の取り出し方は、以下のようなプログラムコードになります。
import javax.xml.soap.*; ..... if( body.hasFault()) { SOAPFault fault = body.getFault(); String faultCode = fault.getFaultCode(); String faultString = fault.getFaultString(); // Fault詳細の取得 Detail detail = fault.getDetail(); // Fault詳細項目の取得 Iterator it = detail.getDetailEntries(); while(it.hasNext()) { DetailEntry entry = (DetailEntry)it.next(); ..... } } else{ ..... }
javax.xml.soap.DetailEntryインタフェースはjavax.xml.soap.SOAPElementインタフェースを継承しています。よってFault詳細に含まれる個々の詳細項目は純粋なSOAPElementオブジェクトとして操作できます。
注意
SOAPElement.getChildElements(Name name)メソッドを使用する場合、パラメタのNameオブジェクトは、必ずプレフィックスとURIを指定して取得してください。