クラスタシステムとは、2台以上のサーバマシンを1台の仮想サーバマシンとして運用することで、高可用性(High Availability)を実現するシステムです。
1台のサーバマシンでの運用では、サーバマシンや、その上で動作するサーバアプリケーションが停止した場合、再立ち上げが必要となるため、その間、運用が停止してしまいます。
クラスタシステムでは、2台以上のサーバマシンを使用して、一方のサーバマシンやその上で動作しているアプリケーションにトラブルが発生した場合、そのマシン上で動作していたアプリケーションを他方のマシンで再起動することによって、業務をすぐに再開でき、業務の停止時間を短縮できます。このような異常が発生したサーバから正常なサーバへ業務の制御を切り替えることをフェイルオーバといいます。
なお、クラスタシステムではこのような2台以上のサーバマシンをクラスタ、クラスタを構成するサーバマシンをノードといいます。
クラスタの運用形態は次のいずれかに分類されます。Fujitsu PRIMECLUSTERの名称で説明します。
スタンバイクラス
業務を行う運用系のノードに対して、その業務を引き継ぐための待機を行う待機系のノードが存在するクラスタです。
1:1運用待機
1台の運用系ノードと1台の待機系ノードからなるクラスタです。運用ノードが業務を行い、待機ノードがその待機を行います。
図1.1 1:1運用待機
相互待機型
2台以上のノードから構成されるクラスタです。一般的には2ノードが「運用」として使用されます。2台のノードはそれぞれが別の業務を行い、同時に相手の業務の待機を行います。どちらかがダウンした場合は、残っている側のノードが両方の業務を行います。
図1.2 相互待機型
n:1運用待機型
n台の運用系ノードと1台の待機系ノードからなるクラスタです。n台の運用ノードはそれぞれ別の業務を行い、これらとは別の待機ノードがすべての運用ノードの待機を行います。
図1.3 n:1運用待機型
カスケード型
3台以上のノードからなるクラスタです。1台のノードが運用ノードになり、残りのノードが待機ノードになります。
図1.4 カスケード型
移動待機型
3台以上のノードからなるクラスタです。1台のノードが運用ノード、1台のノードが待機ノード、残りのノードが停止ノードになります。
図1.5 移動待機型
スケーラブルクラス
複数台のサーバマシンを用いて並列に作業を行うことにより、性能向上と故障発生時の縮退を目的としたクラスタです。スタンバイ型と異なり、運用系・待機系という分け方はされません。クラスタ内の1台がダウンすると、残りのサーバに縮退して業務を継続します。
図1.6 スケーラブルクラス
参照
クラスタシステムによりサポートする運用形態、名称が異なります。詳細についてはクラスタソフトウェアのマニュアルを参照してください。