レプリケーションの前後処理のシェルスクリプトについて、カスタマイズ方法を以下に説明します。
レプリケーション対象ボリュームをアンマウントしたくない場合
マウントされているがアンマウントしたくない複写元ボリュームに対しては、複写元ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepSrc.pre)の68~72、75、107行目(物理ボリュームの場合)または123~128行目(ボリュームグループの場合)のコメント(“#”)をエディタ等で消去し、68行目または123行目のif文で対象となる複写元ボリュームを指示してください。なお、70行目または125行目のsyncコマンドを実施してから複写元ボリューム後処理を実施するまでの間は、複写元ボリュームのファイルシステム更新操作は行わないようにしてください。もし、この間にファイルシステム更新操作が行われると、ファイルシステムが不完全な状態で複写が行われるか、または複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)で実施するfsckコマンドがエラーとなる可能性があります。
マウントされている複写先ボリュームに対しては、必ずアンマウントする必要があります。
レプリケーション対象がボリュームグループの場合
ファイルシステムが構築された論理ボリュームを含むボリュームグループがレプリケーション対象の場合は、前後処理のシェルスクリプトを修正する必要があります。
複写元ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepSrc.pre)の133~166行目のコメント(“#”)および複写元ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepSrc.post)の144~184行目のコメント(“#”)をエディタ等で消去し、ファイルシステムが構築された全ての論理ボリュームに対して、アンマウント/マウント処理が行われるようにコメント内の記述を適宜修正してください。(“X”で示す箇所は実際の環境に合わせて変更してください。また、複写元ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepSrc.pre)の136~164行目の処理および、複写元ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepSrc.post)の151~183行目の処理をボリューム数分記述してください。)
複写先ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepDst.pre)の117~150行目のコメント(“#”)および複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)の210、211、214~251行目のコメント(“#”)をエディタ等で消去し、ファイルシステムが構築された全ての論理ボリュームに対して、アンマウント/マウント処理が行われるようにコメント内の記述を適宜修正してください。(“X”で示す箇所は実際の環境に合わせて変更してください。また、複写先ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepDst.pre)の120~149行目の処理および、複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)の218~250行目の処理をボリューム数分記述してください。)
複写元ボリュームをアンマウントしない場合は、複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)で複写先ボリューム内のファイルシステムが構築された全ての論理ボリュームに対してfsckを実施する必要があります。
シェルスクリプトに対して必要な修正を実施後、複写元ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepSrc.pre)の118行目および複写先ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepDst.pre)の112行目のexit文をコメント(“#”)化してください。
注意
カスタマイズをしていない状態では、ボリュームグループに対する前処理はエラーとなります。
複写先ボリュームがボリュームグループの場合は、後処理のシェルスクリプトにおいて、複写先ボリュームをLVMとして使用可能にするためにvgcfgrestoreコマンドによってボリュームグループ構成情報のリストアを実施しています。記載のシェルスクリプトでは、標準のバックアップファイル「/etc/lvmconf/“ボリュームグループ名”.conf」からボリューム構成情報のリストアを行っています。ボリュームグループ構成情報が別ファイルにバックアップされている場合は、シェルスクリプトをカスタマイズしてください。
クラスタ運用している場合は、クラスタを構成する各ノードにボリュームグループ構成情報が存在している必要があります。
mountコマンドやfsckコマンドなどのOSコマンドのパラメーターやオプションなどは運用に合わせて、適宜修正してください。
共有モードのボリュームグループの場合
共有モードのボリュームグループの再構成は、複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)の78-118、121、122および152をコメント化して、複写先ボリューム後処理のシェルスクリプトではボリュームグループの再構成を実施しないようにしてください。
レプリケーション実行後に手動で以下の操作を行い、ボリュームグループの再構成を行ってください。
ボリュームグループの停止(業務を構成している全ノードで実行します)
# /usr/sbin/vgchange -a n <vg_name> # |
ボリュームグループ構成情報のリストア(ボリュームグループを作成したノードで実行します)
# /usr/sbin/vgcfgrestore -n <vg_name> <pv_path> # |
共有可能なボリュームグループのマーク(ボリュームグループを作成したノードで実行します)
# /usr/sbin/vgchange -S y -c y <vg_name> # |
ボリュームグループの起動(業務を構成している全ノードで実行します)
# /usr/sbin/vgchange -a s <vg_name> # |
ファイルシステム名
複写元ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepSrc.post)の150行目、複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)の127、139、217行目のファイルシステム名は、運用に合わせて適宜修正してください。
VERITAS Cluster Serverでクラスタ運用する場合
VERITAS Cluster Serverでクラスタ運用を行う場合で、複写先、複写元ボリュームのマウントポイントがクラスタ業務に登録されている場合は前後処理のシェルスクリプトのカスタマイズが必要となります。
前後処理のシェルスクリプト内のアンマウント/マウント処理を、マウントポイントリソースのオフライン/オンライン処理に変更してください。
また、マウントポイントリソースのオフライン/オンラインを行ってから、実際にボリュームがアンマウント/マウントされるまでに時間差があります。そのため実際にアンマウント/マウントされるまで待ち合わせる処理(sleepやdfコマンドの結果を監視するなど)をオフライン/オンラインの成否を判定する個所の後に追加してください。
以下に前後処理のシェルスクリプトのカスタマイズ例を示します。
[例] 複写元ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepSrc.pre)のアンマウント処理変更
[77、87、137、146行目]
(変更前) | /usr/sbin/umount $mount_point |
(変更後) | /opt/VRTSvcs/bin/hares -offline リソース名 -sys システム名 |
[例] 複写元ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepSrc.pre)のアンマウント待ち処理の追加
[106、165行目]
(追加) | while /usr/bin/df -l "$device">/dev/null 2>&1; do :; done |
[例] 複写先ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepDst.pre)のアンマウント処理変更
[71、81、121、130行目]
(変更前) | /usr/sbin/umount $mount_point |
(変更後) | /opt/VRTSvcs/bin/hares -offline リソース名 -sys システム名 |
[例] 複写先ボリューム前処理のシェルスクリプト(RepDst.pre)のアンマウント待ち処理追加
[100、149行目]
(追加) | while /usr/bin/df -l "$device">/dev/null 2>&1; do :; done |
[例] 複写元ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepSrc.post)のマウント処理変更
[98、102、104、117、121、123、157、166行目]
(変更前) | /usr/sbin/mount $device $mount_point |
(変更後) | /opt/VRTSvcs/bin/hares -online リソース名 -sys システム名 |
[例] 複写元ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepSrc.post)のマウント待ち処理追加
[143、185行目]
(追加) | while ! /usr/bin/df -l "$device">/dev/null 2>&1; do :; done |
[例] 複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)のマウント処理変更
[165、169、171、188、190、224、233行目]
(変更前) | /usr/sbin/mount $device $mount_point |
(変更後) | /opt/VRTSvcs/bin/hares -online リソース名 -sys システム名 |
[例] 複写先ボリューム後処理のシェルスクリプト(RepDst.post)のマウント待ち処理追加
[210、252行目]
(追加) | while ! /usr/bin/df -l "$device">/dev/null 2>&1; do :; done |