転送処理(ファイル送受信、相手側ジョブ起動)を行うことによるシステムの回線の同時使用数のことを多重度と呼びます。Information Integratorは、この多重度を制限する機能を提供しています。多重度の上限値を設定しない場合、Information Integratorが動作するサーバの性能およびシステム設定により、サーバ自体が不安定になる可能性があります。このため、動作環境ファイルで最大多重度を指定することを推奨します。
動作環境ファイルについては、“セットアップガイド”を参照してください。
多重度数のカウントタイミング
多重度は、転送処理のコネクション数でカウントしていません。多重度をカウントアップするタイミングは、転送処理を受け付けた時点です。また、多重度をカウントダウンするタイミングは、転送処理で使用したリソースの開放後です。このため、多重度は、転送処理のリソースを管理する指標となります。
また、転送処理の起動側利用者が転送完了を認識したタイミングでは、応答側は、リソース開放できておらず多重度がカウントダウンできていないことがあります。このタイミングで、起動側から続けて転送要求を発行すると応答側では多重度オーバを検出する可能性があります。このため、多重度の見積り方法としては、起動側:1に対して、応答側:2の採用を推奨します。なお、多重度数が大きい場合は、応答側多重度は、起動側多重度×1.5などの値を採用してください。
定義方法
最大多重度の定義は、自システム全体の指定と、相手側システム単位の指定の2段階で行います。相手側システム単位の最大多重度は、起動側多重度と応答側多重度を別個に定義します。
自システム全体の最大多重度は、動作環境ファイルの「scale」に、1~256の値の範囲で指定します。相手側システム単位の最大多重度は、データソース定義シートの「多重度-起動側」、および「多重度-応答側」に、1~256の値の範囲で指定します。
動作環境ファイルについては、“セットアップガイド”を参照してください。
データソース定義シートの設定項目については、“デザインシート操作ヘルプ”を参照してください。
多重度の構成
多重度は、以下の2つの項目を足して算出します。
相手側システム数(データソース定義数)やデータ統合処理の内容など、運用方法に合わせて、自システムの多重度を指定します。
ファイル送受信、相手側ジョブ起動で使用する多重度
転送処理によって発生する多重度です
ジョブ結果通知で使用する多重度
転送処理で起動されたジョブ結果通知を相手側システムに転送するための多重度です
多重度の見積り方法
相手側システム(データソース定義)単位で必要となるファイル送受信、相手側ジョブ起動およびジョブ結果通知の最大多重度の見積り方法を以下に示します。
種類 | 多重度の構成 |
---|---|
起動側 | (自システムが行う転送処理の多重度)+(相手側システムから受けたジョブ結果通知の多重度) |
応答側 | (相手側システムから要求される転送処理の多重度)+(自システムが行うジョブ結果通知の多重度) |
最大多重度を指定した運用の実施
システム全体の多重度は、相手側システム単位に指定した多重度の総和か、またはそれ以下の値を指定することを推奨します。なお、システムおよび相手側システムの多重度が最大多重度を超えると多重度オーバが発生します。この場合は多重度の調整を行ってください。
Information Integratorは、多重度をコネクション単位ではなく、転送時に利用するリソースの獲得開放単位で計算しています。Information Integratorが転送完了通知を行った時点ではコネクションの切断が完了していないため、ファイル送受信で使用した多重度は使用中の多重度数に含まれています。なお、多重度が減少するのは、コネクションを切断し、該当するメモリ情報をすべて解放した後になります。
また、最大多重度はCPU、物理メモリなどのサーバ性能や、仮想メモリなどのシステム設定およびInformation Integratorと同時に動作する他のアプリケーションプログラムにより、大きく影響を受けます。Information Integratorおよび運用時同時に動作するアプリケーションプログラムを動作させる運用テストの実施を推奨します。
多重度オーバ時の動作と多重度の調整方法
ファイル送受信の多重度が最大多重度を超えた場合、多重度オーバにより、ファイル送受信を異常終了します。
相手側ジョブ起動を行う時に使用する多重度の見積り例は以下のとおりです。以下の例では、systemAからsystemBのジョブを最大5個同時に起動します。また、起動されたジョブはsystemAにジョブ結果通知を行います。
システムの構成
見積り結果
systemA(起動側システム)の場合 多重度-起動側:5多重 転送処理(相手側ジョブ起動) 多重度-応答側:10多重 制御情報(ジョブ結果通知) システム全体(scale)の加算値として15多重見積ります。 systemB(応答側システム)の場合 多重度-起動側:5多重 制御情報(ジョブ結果通知) 多重度-応答側:10多重 転送処理(相手側ジョブ起動) システム全体(scale)の加算値として15多重見積ります。 |
起動側システムがファイル送信を行う時に使用する多重度の見積り例は以下のとおりです。以下の例ではsystemAがsystemBに対して最大5多重でファイル送信します。
システムの構成
見積り結果
systemA(起動側システム)の場合 多重度-起動側:5多重 転送処理(ファイル送信) 多重度-応答側:0多重 システム全体(scale)の加算値として5多重見積ります。 systemB(応答側システム)の場合 多重度-起動側:0多重 多重度-応答側:10多重 転送処理(ファイル送信) システム全体(scale)の加算値として10多重見積ります。 |
起動側システムがファイル受信を行う時に使用する多重度の見積り例は以下のとおりです。以下の例ではsystemAがsystemBから最大5多重でファイル受信します。
システムの構成
見積り結果
systemA(起動側システム)の場合 多重度-起動側:5多重 転送処理(ファイル受信) 多重度-応答側:0多重 システム全体(scale)の加算値として5多重見積ります。 systemB(応答側システム)の場合 多重度-起動側:0多重 多重度-応答側:10多重 転送処理(ファイル受信) システム全体(scale)の加算値として10多重見積ります。 |