名前
r3exec - SAP R/3 システムへのR/3 システムジョブ投入/実行
形式
r3exec [-c a|b|c|A|B|C][ -d destin ] [ -e exit ] [-g group-name] [ -h server-name] |
利用方法
r3exec コマンドは、[登録-ジョブ]ウィンドウの[コマンド名]欄に指定します。[登録-ジョブ]ウィンドウは、[ジョブネットの新規作成]ウィンドウのアイコン選択域で、R/3 スケジュールジョブを選択して起動されたものに限ります。それ以外では使用できません。
機能説明
r3exec コマンドは、SAP R/3 システムへR/3 システムジョブを投入するコマンドです。完了すると標準出力にSAP R/3 システム内でのR/3 システムジョブのログ(XMI ログ)を出力します。
以下に、r3exec コマンドのオプションおよび引数について説明します。
-c a|b|c|A|B|C
ジョブクラスを指定します。ジョブクラスとは、R/3システムジョブの実行優先度です。本オプションを省略した場合は、ジョブクラスはCとなります。
a または A : 優先度高
b または B : 優先度中
c または C : 優先度低
-d destin
SAP R/3 システム内のトランザクションSPAD で定義した出力先のプリンタ名の略称名を指定します。指定可能なバイト数は、4バイトです。本オプションにより指定された出力は、即時印刷を行いません。一旦、プリンタのスプールに出力されます。
-e exit
ユーザ出口を指定します。ユーザ出口には、プログラムまたはシェルスクリプトを指定します。プログラムまたはシェルスクリプトは、環境変数PATH で検索可能な場所にあるものを指定するか、フルパスで指定してください。フルパスで指定した文字列の中に空白がある場合は、パス全体をダブルクォーテーション(”)で囲んでください。exit で指定できる文字列の最大値は、1024バイトです。
ユーザ出口は、r3exec コマンドが終了する前に呼び出されます。呼び出されたユーザ出口は、呼び出された時に標準入力から、R/3 システムジョブのログ(XMI ログ)を受け取ります。また、ユーザ出口では、以下の環境変数が参照できます。
R3_JOBNAME R/3システムジョブの名前が設定されます。
R3_JOBSTAT R/3システムジョブの終了状態が設定されます。
R3_LOGIN SAP R/3システムへの接続先定義名が設定されます。
ユーザ出口では、必ず終了コードを設定してください。ユーザ出口の終了コードが、r3exec コマンドの終了コードになります。ユーザ出口の終了コードが[正常終了コード上限値]で指定した値以下の場合、Systemwalker Operation Manager は、R/3 システムジョブが正常終了したと見なします。[正常終了コード上限値]で指定した値よりも大きい場合は、R/3 システムジョブが異常終了したと見なします。
-g group-name
R/3システムジョブのABAP/4ステップを実行するサーバグループのグループ名を指定します。group-nameの長さは最大18バイトです。group-nameには、空白とTABコード以外の印刷可能なASCII文字列を指定します。日本語コードは使用しないでください。
本オプションは、ABAP/4ステップに対して有効な機能です。サーバグループの指定は、ステップでなくジョブに対して有効となりますが、外部プログラムの場合は、-xオプションで実行するサーバを指定する必要があります。したがって、外部プログラムが実際に実行されるサーバは、-xオプションで指定したサーバとなります。
本オプションは、-hオプションと併用することはできません。
-h server-name
R/3システムジョブを実行するサーバ名を指定します。
server-nameには、<ホスト名>_<SID>_<インスタンスNo>であらわされるサーバ名を指定します。<SID>、<インスタンスNo>は、R/3の名称です。server-nameの長さは、最大32バイトです。
server-nameには、空白とTABコード以外の印刷可能な文字列を指定します。印刷可能な文字列とは、英数字などの文字列のことです。
Systemwalker Operation Manager によって投入されたR/3 システムジョブは、“-h”オプションで指定したSAP R/3 システムに転送され、そこで実行されます。本オプションを省略した場合、R/3 システムジョブは、SAP R/3 によって自動的に負荷の低いアプリケーションサーバ上で実行されます。
-i
SAP R/3 システムにワークプロセスの空きがある場合にのみ実行します。ワークプロセスについては、SAP R/3 のドキュメントを参照してください。
-j job-name
R/3 システムジョブの名前を指定します。job-name の長さは、最大32バイトです。33バイト目以降は無視されます。job-name には、空白とTAB コード以外の印刷可能な文字列を指定します。job-name の先頭に数字が指定された場合、R/3 システムジョブの名前の先頭に“J”を付加します。
印刷可能な文字列とは、英数字などの文字列のことです。
本オプションを省略した場合、環境変数JC_JOBNAME に設定されている文字をR/3 システムジョブの名前とみなします。
この環境変数も設定されていない場合、パス名および、拡張子を取り除いたjobfile 名を、R/3 システムジョブの名前とみなします。
-l login
セション開設用情報名を指定します。セション開設用情報名は、前もって、r3usradd を使用し、登録しておく必要があります。“-l”オプションは、必須オプションですので、コマンド行もしくは、jobfile のどちらかに必ず記述してください。さらに、r3exec コマンドを実行するユーザは、システム管理者かセション開設用情報名と同じ名称のグループに所属している必要があります。
-m mail-address
スプール情報をメール配信するときの、E-Mailアドレスを指定します。指定可能なバイト数は最大240バイトです。mail-addressには、空白とTABコード以外の印刷可能なASCII文字列を指定します。E-Mailアドレスを複数指定することはできません。
-n
R/3 システムジョブの投入だけを行います。R/3 システムジョブは実行されませんので、R/3 システムジョブのログ(XMI ログ)の標準出力への出力はありません。その代わりにジョブ名、ジョブ番号が標準出力に出力されます。また、ユーザ出口は、呼び出しません。保留中のR/3 システムジョブの実行は、5.2.3 r3mgr コマンドで行います。
-p periodic-time
SAP R/3 システムにR/3 システムジョブの終了を監視する間隔を指定します。単位は、秒です。periodic-time には、0 から2147483647 の値を指定します。“-p”オプションを指定しなかった場合、r3exec は、1 秒間隔でR/3 システムジョブの終了を監視します。
r3exec は、R/3 システムジョブの終了を確認すると、XMI ログからジョブログを取り出し、標準出力に出力した後に終了します。
-x host-name
R/3 システムジョブのEXTPGM ステップを実行するアプリケーションサーバの名前を指定します。host-name の長さは、最大32バイトです。host-name には、空白とTAB コード以外の印刷可能な文字列を指定します。
印刷可能な文字列とは、英数字などの文字列のことです。
本オプションは、EXTPGM ステップが指定されたR/3 システムジョブを実行する場合に指定します。本オプションを指定せずに、EXTPGM ステップが指定されたR/3 システムジョブを実行した場合は、エラーとなります。
jobfile
jobfile とは、SAP R/3 システムに投入するR/3 システムジョブのことです。jobfile には、コメント、ABAP/4 ステップおよびEXTPGM ステップを記述します。以下にジョブファイルの記述例を示します。なお、#はコメントを表します。
# ジョブファイルの例: # # @$-l SAP -x extpgm-target # ・ セション開設用情報名として SAP を指定します。 # ・ EXTPGMステップを実行するアプリケーションサーバ名と # して extpgm-target を指定します。 AB: ABAP/4プログラム名 引数 # ステップ1 EX: EXTPGMプログラム名 引数1 引数2 # ステップ2
jobfile の最初のコメントブロックには、r3exec コマンドのオプションを記述できます。オプションは、“@$”に続いて記述します。jobfile に記述したオプションと同じオプションをコマンド行に指定した場合、コマンド行に指定したオプションの引数が優先します。
ABAP/4 ステップ
ABAP/4 ステップとは、SAP R/3 システムのコマンド群であるABAP/4 プログラムの実行を行うステップです。jobfile にABAP/4 ステップを記述する時は、行の先頭に“AB:”を指定します。ABAP/4 プログラムと共に引数を記述する場合には、プログラムと引数の間は1 つ以上の空白を挿入してください。
例) AB: ABAP/4プログラム名 引数
一度に指定できるABAP/4 ステップの数に制限はありませんが、1 ステップにつき1 行で記述してください。引数は、複数指定しても、第一引数以外は無視されます。ABAP/4 プログラム名は、最大40バイトです。引数は、最大14バイトです。
1 行は、コメントも含め、1024 バイト以内で記述します。
複数のステップを同時に指定した場合には、記述した順にABAP/4 ステップが実行されます。EXTPGM ステップと混在して指定することも可能です。
ただし、あるステップのプログラムで異常が発生すると、それより後に記述したステップは実行されずに、R/3スケジュールジョブは異常終了します。異常が発生した時に、異常が発生したステップを特定したり、そのステップ以降を再実行するのに手間がかかることが予想されるため、1つのR/3スケジュールジョブに1つのステップのみを実行することをお薦めします。
EXTPGM ステップ
EXTPGM ステップとは、SAP R/3 システム以外のコマンドを実行するステップです。jobfile にEXTPGM ステップを記述する時は、行の先頭に“EX:”を指定します。EXTPGM プログラムと共に引数を記述する場合には、プログラムと引数の間は1 つ以上の空白を挿入してください。
例) EX: EXTPGMプログラム名 引数1 引数2
一度に指定できるEXTPGM ステップの数に制限はありませんが、1 ステップにつき1 行で記述してください。EXTPGM プログラム名と引数は、それぞれ128バイトが最大値となります。1 行は、コメントも含め、1024 バイト以内で記述します。
複数のステップを同時に指定した場合には、記述した順にEXTPGM ステップが実行されます。ABAP/4 ステップと混在して指定することも可能です。
ただし、あるステップのプログラムで異常が発生すると、それより後に記述したステップは実行されずに、R/3スケジュールジョブは異常終了します。異常が発生した時に、異常が発生したステップを特定したり、そのステップ以降を再実行するのに手間がかかることが予想されるため、1つのR/3スケジュールジョブに1つのステップのみを実行することをお薦めします。
障害調査
以下に、r3exec コマンドの障害調査用オプションおよび引数について説明します。通常は、以下のオプションを使用することはありません。富士通SE からの依頼があった時のみ使用してください。
-o logfile
SAP R/3 システムとのインタフェースであるRFC ファンクションの呼び出しログをlogfile で指定したファイルに格納します。指定したファイルが既に存在する場合には、追加書きを行います。
-t
SAP R/3 システムとのインタフェースであるRFC のトレースを行うようにSAP R/3 システムに依頼します。トレース情報は、SAP R/3 システム内に格納されます。
r3exec の注意事項
r3exec コマンドは、SAP R/3 システム内でR/3 システムジョブが完了するまで復帰しません。
r3exec コマンドは、r3stat コマンドで参照するR/3 システムジョブの情報を、r3job ファイルに格納しています。ファイルサイズの制限を超えたなどの理由でr3job ファイルへの書き込みが失敗した場合、メッセージが出力されますが、r3exec コマンドの処理はそのまま継続します。
Systemwalker Operation Manager からR/3 スケジュールジョブを強制終了できないなどの理由で、R/3 システムジョブを直接強制終了する場合は、SAPGUI を使って、該当するR/3 システムジョブを直接確認してから削除してください。SAPGUI の使い方については、SAP R/3 のドキュメントを参照してください。
停止依頼により停止した場合にも、標準出力にR/3 システムジョブのログ(XMI ログ)を出力します。さらに、ユーザ出口も呼び出します。そのため、実際に停止するまでに多少の時間がかかります。
コマンド格納場所
Windows/Windows for Itanium | Systemwalker Operation Managerインストールディレクトリ\MpWalker.JM\bin |
Solaris/ Linux/Linux for Itanium | /usr/bin |
ファイル
データが格納されているファイルを以下に示します。
UNIX版の場合
/etc/mjes/r3/r3passwd
セション開設用情報ファイル
/var/spool/mjes/r3/r3job
R/3 システムジョブの管理情報ファイル
Windows版の場合
Systemwalker Operation Manager インストール先ディレクトリ¥MPWALKER.JM¥Mpmjessv¥R3¥R3passwd
セション開設用情報ファイル
Systemwalker Operation Manager インストール先ディレクトリ¥MPWALKER.JM¥Mpmjessv¥R3¥R3job
R/3 システムジョブの管理情報ファイル
関連項目
SAP R/3 ジョブ連携のr3stat、r3mgr、r3del