ここでは、MQDのACM連携サービスを使用した場合に発生する、トラブルの事例およびその対処について説明します。
DPCF通信パス確立処理時に31210(理由コード:2)のメッセージが出力され、通信パスの確立に失敗する。
上記現象が発生した場合、以下の可能性があります。
自側システムと相手側システムのIDCMの状態が一致していない。
DPCF通信パスが確立済みの状態で片方のシステムだけ再起動した、などの理由により、双方のシステムにおけるDPCF通信パスの状態に不整合が発生しています。以下の方法で双方のシステムにおけるDPCF通信パスの状態を確認してください。
IDCM操作のGUIから「DPCF通信パス」の「状態表示」を選択し、対象となるDPCF通信パス名を選択して通信パスの状態を確認する。
「showpsys -n 対象となるDPCF通信パス名」のコマンドを投入し、通信パスの状態を確認する。
上記確認の結果、双方のシステムにおけるDPCF通信パスの状態に不整合が発生していた場合は、双方のシステムにおけるDPCF通信パスの状態をINACTIVE状態にしてから、再度DPCF通信パスの確立処理を実施してください。
DPCF通信パス確立後、データ送受信を行なうと、処理時に31202(理由コード:2)のメッセージが出力され、通信パスが解放されてしまう。
上記現象が発生した場合、以下の可能性があります。
ファイアウォールによる、無通信時間監視値異常のため、コネクションが使用できなくなっている。以下に示すいずれかの対処を行なうことをお薦めします。
無通信時間監視値の設定値を大きくし、監視値異常にかからないようにする。
無通信時間の監視対象から、IDCMで使用しているポート番号をはずす。
ネットワーク機器に何らかの異常が発生している。
→ 異常が発生している機器を特定し、対処を実施してください。
DPCF通信パス確立済み状態でLANケーブルを抜くと、IDCMが31103のメッセージを出力して異常終了する。その後、MQDのACM連携サービスがMQD3312のメッセージを出力して異常終了する。
上記現象がWindows2000以降のOSで発生した場合は、OSがネットワーク状態を監視していることが原因です。
上記現象が発生した場合は、Microsoft Corporationのサポート技術情報「Windows2000でTCP/IP用メディア検出機能を無効にする方法」(技術情報 No.239924)により、回避することが可能です。
なお、Windows NT までのOSでは、上記現象は発生しません。
DPCF通信パス確立に失敗する。または、確立処理時に31216のメッセージが出力され、通信パスの確立に失敗する。
上記現象が発生した場合、以下の可能性があります。
システム変更等により、自側システムのIPアドレスが変更になったが、hosts定義の内容を変更した後、IDCMの再起動をおこなっていない。
hostsファイルの内容を変更した後は、IDCMの再起動が必要になります。IDCMを再起動し、DPCF通信パスの確立処理を実施してください。
自側システムのIDCMネットワーク定義で指定したコネクションの定義と相手側システムのコネクションの定義が一致していない。
IDCMネットワーク定義については、それぞれ以下のファイルとなります。
IDCMインストールフォルダ\ETC\idcmdef.ini
IDCMインストールディレクトリ/etc/idcmdef
IDCMのコネクション定義値については、以下の式にあてはまる値となるように定義してください。
なお、以下の説明文で使用している用語は、次の意味となります。
・maxcont:最大会話コネクション数
・winicont:優先会話コネクション数
・linicont :非優先会話コネクション数
相手側システムがグローバルサーバの場合は、グローバルサーバのマニュアルを参照してください。
maxcont
maxcont ≧ (自側winicont + 自側linicont) + (相手側winicont + 相手側linicont)
かつ、
Σ(各DPCF通信パス名に対するmaxcont) ≦ 240
winicont・linicont
定義値が以下の式に当てはまる場合は、自側システムより通信パスを確立することができません。
(自側winicont + 自側linicont) = 0
maxcont
maxcont ≧ (自側winicont + 自側linicont) + (相手側winicont + 相手側linicont)
かつ、
Σ(各DPCF通信パス名に対するmaxcont) ≦ 240
winicont・linicont
定義値が以下の式に当てはまる場合は、自側システムより通信パスを確立することができません。
(自側winicont + 自側linicont) = 0
IDCM起動時に、「31180u:自側ホスト名が使用できないためIDCMの活性化に失敗しました」のメッセージが出力され、IDCMの起動に失敗する。
上記現象がWindows2000以降のOSで発生した場合は、OSがTCP/IPポートを自動割り当てしてしまい、servicesファイルに定義したポート番号をIDCMが使用できないことが原因です。上記現象が発生した場合は、servicesファイルに定義したIDCMが使用するポート番号を、1024~5000の範囲外の値に修正し、IDCMを再起動してください。
DPCF通信パスの確立処理に失敗する。
システムに2枚以上のLANカードが設置されており、プライマリ以外のLANカードを使用してDPCF通信パスの確立処理を実施した場合、上記現象が発生する場合があります。IDCMはプライマリ以外のLANカードによる通信をサポートしていませんので、プライマリLANカードを使用するよう環境を修正してください。
相手との通信中に、MQD3341、MQD3357、MQD3429、MQD3421のいずれかのメッセージが連続して何度も出力される。
上記現象が発生した場合、以下の可能性があります。
ACM連携サービスのサービス定義において、PSYSセクションのsesnoで指定する会話数(ACMセション数)の値が、IDCMネットワーク定義で定義されているコネクション数の値よりも大きい。
以下の式に当てはまる値を指定してください。
IDCMネットワーク定義の自側winicont + 自側linicont ≧ sesno
文字コード変換機能を使用する際、MQD3425のエラーメッセージ(原因コード=QMNG、復帰コード=46)を出力して、サーバ間のメッセージ受信処理が失敗する。または、文字コードの変換が正しく実行されていない。
上記現象が発生した場合、以下の可能性があります。
MQDを起動する環境変数(LD_LIBRARY_PATH)に標準コード変換機能のライブラリ格納パスを設定していない。(クラスタ運用時の場合は、状態遷移プロシジャに設定する環境変数となります)
MQDを停止して、シェルの環境変数(LD_LIBRARY_PATH)に標準コード変換機能のライブラリ格納パスを設定してからMQDを再起動してください。
JEFコード系における変換タイプが誤っている
JEFコードから他コード系へのコード変換、またはJEFコードへ他コード系から変換する場合において、2種類のコード変換仕様があり、以下のいずれかの形式を選択する必要があります。
字形を重視した変換
MQDを起動する際の環境変数(ICONV_CONVERT_TYPE)に“jef=jefaug”を指定します。
領域を重視した変換
MQDを起動する際の環境変数(ICONV_CONVERT_TYPE)に“jef=jefcore”を指定します。
EUCコードの種別指示が誤っている
EUCコードは同じ種類のコード系でありながら、利用者定義域の割当などが異なるものが2つ存在し、以下のいずれかの形式を選択する必要があります。
EUC(U90)の場合
MQDを起動する際の環境変数(ICONV_CONVERT_TYPE)に“euctype=u90”を指定します。
EUC(S90)の場合
MQDを起動する際の環境変数(ICONV_CONVERT_TYPE)に“euctype=s90”を指定します。
なお、環境変数(ICONV_CONVERT_TYPE)にJEFコード系における変換タイプとEUCコードの種別指示の両方を指定する場合は、環境変数の値を“:(コロン) ”または“ (空白) ”で区切ってください。
例) setenv ICONV_CONVERT_TYPE “jef=jefcore:euctype=s90”