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Interstage Application Server 高信頼性システム運用ガイド

B.3.1 ロードバランスの運用手順

  ロードバランスを利用する場合の運用手順について説明します。なお、各コマンドの詳細については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。

  運用手順には、ロードバランス対象のオブジェクトの登録方法によって、以下の2つがあります。

  それぞれの運用手順について説明します。なお、ロードバランスは、ネーミングサービスを使用してオブジェクト名を管理しています。ロードバランスを利用する場合には、ネーミングサービスが起動されていることを確認してください。


  以降の運用手順を行う前に、サーバアドレスの設定をする必要があります。その際、以下の点に注意してください。

  オブジェクトリファレンスでは、アドレス情報として以下の3つの形態を利用できます。

  ロードバランスでは、ロードバランス対象の各オブジェクトがどのサーバ上で動作しているかを、IP アドレスで管理します。このため、ロードバランスが動作するサーバで、各オブジェクトのアドレス情報をIPアドレスに変換する必要があります。したがって、アドレス情報としてホスト名または DNS 名を使用する場合は、以下の対処を行います。

ホスト名の場合

  ロードバランスが動作するサーバに、サーバオブジェクトが動作するサーバと同一のホスト名およびIPアドレスの対応を定義します。


  \%SystemRoot%\system32\drivers\etc\HOSTSファイルに、ホスト名とIPアドレスの対応を記述します。
  注)%SystemRoot%は、Windows(R) 2000の場合のインストールフォルダです。


  /etc/hostsファイルに、ホスト名とIPアドレスの対応を記述します。

DNSの場合

  ロードバランスが動作するサーバマシンにDNSを設定します。
  なお、トランザクションアプリケーションでロードバランスを使用する場合は、アドレス情報としてホスト名を使用してください。この場合のホスト名には、大文字と小文字が区別されるため、各サーバで同一の文字列を使用するように注意してください。

B.3.1.1 固定登録する場合

  ロードバランス運用の対象となるオブジェクトが固定の場合には、システム環境構築時に1回だけ、ロードバランスを利用して登録を行います。

  以下に、運用手順とその詳細について説明します。

1.ロードバランスの環境設定

  odsetlboコマンドまたはisinitコマンドを使用して、ロードバランスの環境を設定します。


  odsetlboコマンドまたはisinitコマンドは、ロードバランスが動作するマシンまたはロードバランスにアクセスするマシンの全マシン上で1回行う必要があります。コンポーネントトランザクションサービスにおいてロードバランス運用を行う場合、業務運用するサーバにはネーミングサービスを配置しないでください。すなわち、業務運用するサーバ(ロードバランスにアクセスするマシン)では、isinitコマンドのオペランドとして、必ずTYPE3を指定してください。

2.ネーミングサービス・ロードバランスの起動


  コントロールパネルの「サービス」を使用して、以下のネーミングサービスおよびロードバランスのサービスを起動します。
    ネーミングサービス:“Naming Service”サービス
    ロードバランス:“NS LoadBalancingOption”サービス


  CosNaming_sコマンドおよびodstartlboコマンドを使用して、ネーミングサービスおよびロードバランスを起動します。

3.ロードバランスオブジェクトグループを作成してネーミングサービスへ登録

  OD_or_admコマンドを使用して、ロードバランスオブジェクトグループを作成します。なお、このときに-g lbオプションを指定してください。-g lbオプションを指定すると、ロードバランスオブジェクトグループの作成と同時にネーミングサービスへ登録します。
  ロードバランス機能インタフェースのアプリケーションを使用して、ロードバランスオブジェクトグループの作成、およびネーミングサービスへの登録を行うことができます。ロードバランス機能インタフェースのアプリケーション作成については、“アプリケーション作成ガイド(CORBAサービス編)”の“ロードバランス機能のプログラミング”を参照してください。
  なお、トランザクションアプリケーションを使用する場合は、ロードバランスオブジェクトグループの名前として、ネーミングサービスへ登録するロードバランスオブジェクトグループのモジュール名とインタフェース名を“::”(2つのコロン)で区切った名前を使用してください。

4.ロードバランス対象オブジェクトをロードバランスオブジェクトグループへ登録

  odadministerlbコマンドを利用して、各サーバで動作するロードバランス対象オブジェクトを、ロードバランスオブジェクトグループへ登録します。任意のサーバから一括して登録することも、各サーバから登録することもできます。
  なお、トランザクションアプリケーションでロードバランスを使用する場合、odadministerlbコマンドの-hオプションには、アドレス情報としてホスト名を指定してください。
  ロードバランス機能インタフェースのアプリケーションを使用して、ロードバランス対象オブジェクトを登録することもできます。ロードバランス機能インタフェースのアプリケーション作成については、“アプリケーション作成ガイド(CORBAサービス編)”の“ロードバランス機能のプログラミング”を参照してください。


  1つのロードバランスオブジェクトグループには、ロードバランス対象のオブジェクトとして、必ず同一のインタフェースで同一の機能を提供するオブジェクトを登録してください。

5.ネーミングサービスの起動


  コントロールパネルの「サービス」を使用して、以下のネーミングサービスのサービスを起動します。
    ネーミングサービス:“Naming Service”サービス


  CosNaming_sコマンドを使用して、ネーミングサービスを起動します。

6.各業務サーバの起動

  各業務サーバを起動して、起動完了したサーバの復旧をロードバランスに通知します。全サーバが起動した時点で、システム全体の起動が完了となります。
  なお、トランザクションアプリケーションを使用する場合は、ワークユニット定義でネーミングサービスの手動登録を指定してください。

7.各業務サーバの停止

  サーバマシン状態監視機構などにより、ロードバランスにサーバの停止を通知することで、停止したサーバへの振り分けを停止できます。

B.3.1.2 サーバオブジェクトの起動時に毎回登録する場合

  ロードバランス対象のオブジェクトを、サーバオブジェクトの起動時に毎回登録する場合の運用手順とその詳細について説明します。なお、1.~3.の作業については、固定登録の場合と同じ作業を行ってください。

4.ロードバランス対象オブジェクトをロードバランスオブジェクトグループへ登録

  各業務サーバでサーバオブジェクトを起動した後、サーバオブジェクトから、ロードバランス対象オブジェクトをロードバランスオブジェクトグループへ登録します。登録作業については、固定登録の場合と同じ作業を行ってください。
  なお、トランザクションアプリケーションを使用する場合は、ワークユニット定義でネーミングサービスの自動登録を指定してください。この場合、ワークユニット定義にあて先名として指定されたオブジェクト名の“/”(スラッシュ)を、“::”(2つのコロン)に置き換えたロードバランスオブジェクトグループにオブジェクトが自動的に登録されます。

5.ロードバランスオブジェクトグループよりロードバランス対象オブジェクトの削除

  odadministerlbコマンドを利用して、ロードバランスオブジェクトグループからロードバランス対象オブジェクトを削除します。
  ロードバランス機能インタフェースのアプリケーションを使用して、ロードバランス対象オブジェクトを削除することもできます。ロードバランス機能インタフェースのアプリケーション作成については、“アプリケーション作成ガイド(CORBAサービス編)”の“ロードバランス機能のプログラミング”を参照してください。
  なお、トランザクションアプリケーションでロードバランスを使用する場合は、ワークユニットの停止により、ロードバランスオブジェクトグループからオブジェクトが自動的に削除されます。

6.ロードバランスオブジェクトグループの削除

  OD_or_admコマンドを使用して、ロードバランスオブジェクトグループを削除します。
  ロードバランス機能インタフェースのアプリケーションを使用して、ロードバランスオブジェクトグループを削除することもできます。ロードバランス機能インタフェースのアプリケーション作成については、“アプリケーション作成ガイド(CORBAサービス編)”の“ロードバランス機能のプログラミング”を参照してください。