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Interstage Application Server ディレクトリサービス運用ガイド

1.2.2 LDAPとは

  ディレクトリサービスは、国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ(ITU-T : International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)によって、「X.500」という形で、標準化され、規格が規定されています。

  このX.500は汎用性の高いプロトコルですが、ソフトウェアの規模が大きくなり、また、開発コストが高くなります。そこで、インターネット技術で簡単に使えるように、必要不可欠な機能を取り出したものがLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)です。

  LDAPは、TCP/IP上で動作するインターネット標準のディレクトリアクセスプロトコルで、WebブラウザなどのLDAPクライアントから、直接、ディレクトリサービスを検索・参照することができます。

ディレクトリのデータモデル

  ディレクトリは階層型のデータベースと考えると理解しやすいでしょう。
  ディレクトリでは、人や組織などの情報の集まりをエントリと呼びます。
  エントリは、階層的に(ツリー型)管理しています。

  エントリの階層構造を表したものを、「ディレクトリ情報ツリー(DIT:Directory Information Tree)」と呼び、これを格納したデータベースを「ディレクトリ情報ベース(DIB:Directory Information Base)」と呼びます。

  エントリは、ディレクトリ情報ツリー内の位置などにより以下のように表現します。

  トップエントリ(ルートエントリ)

  DITの最上位(トップ)に位置するエントリです。トップエントリはディレクトリサーバ固有のエントリで、各ディレクトリサーバで異なった属性値を持つ特別なエントリです。

  上位エント

  あるエントリから見て、上位に位置するエントリです。

  下位エントリ

  あるエントリから見て、下位に位置するエントリです。

  リーフエントリ

  下位にエントリを持たないエントリです。

  サブツリー

  DITのあるエントリとその下位エントリを含む部分です。

オブジェクトとオブジェクトクラス

  エントリでは、その情報がどのような属性を持つかという、「オブジェクトクラス」によって、オブジェクトの特徴を表します。
  エントリは、オブジェクトクラスに従って分類されます。オブジェクトおよびオブジェクトクラスについて以下に示します。

属性型と属性値

  オブシェクトには、その詳細な項目名である「属性型」と、その項目の実際の値(内容)である「属性値」があります。「属性型」と「属性値」は必ず組み合わせて指定してください。

エントリの識別名

  エントリには識別名があり、エントリの識別名としてRDNとDNがあります。

  RDN(相対識別名

  上位のエントリから見て、直接下位のエントリを識別するために使用される名称です。各RDNは、その兄弟関係において、一意でなければなりません。
  例)“o=fujitsu”

  DN(識別名

  そのオブジェクトを表すエントリおよびその上位エントリのRDNの列として定義されたものです。DIT中で一意です。
  例)“cn=user001,o=fujitsu,dc=com”

  

  Interstage ディレクトリサービスには、リポジトリを管理するための管理者用DNという特別なDNもあります。

スキーマ

  ディレクトリに格納するデータの形態(DITの構造、オブジェクトクラス、属性)に関する定義の集まりを「スキーマ」と呼びます。