企業情報システムを構築するうえで、開発コストと開発期間を考えると、これまで構築してきたシステムやデータなどのリソースを活用したいと考えるのは当然のことです。インターネット技術を基本とした統合的なWebサービスが、これからの企業情報システムに不可欠であるのは、既存のリソースを活用するためにも最適であるからです。
しかし、そのためには、以下のような問題をクリアする必要があります。
部門システムの統合など統合的管理が困難
利用者の多様化に対する対応が困難
セキュリティの確立
運用管理コストの増大
部門システムの統合など統合的管理が困難
Webサービスのもとでは、異なる部門システムも統合されます。ところが、たとえば人事情報システムと、営業管理システムでは、利用者も異なり、また、そのアクセス権限も、部門や役職など、個々人によって異なります。
しかも、激変する市場に対して、必要な情報サービスは増大し、利用者も増加していきます。
これらの異なるシステムに対する、利用者の管理を個々に行っていては、システム統合の意味はない、と言えるでしょう。
利用者の多様化に対する対応が困難
企業の経営環境が大きく変化する中で、従来の部課制から、プロジェクトチーム制に変わり、関連会社への出向やパート、契約、派遣など雇用形態は大きく変化しています。
また、インターネットにより、顧客に情報を公開することも多くなっています。
従来情報システムに比べると、システムの利用者の種類とレベルは非常に細分化され、それに応じた利用者管理が必要となっています。しかし、従来の考え方では、細分化された利用者の管理は非常に困難でしょう。
セキュリティの確立
社内情報や顧客情報など、情報に対するセキュリティが非常に求められています。情報の漏洩は社会的に糾弾されるなど、企業のセキュリティに対する態度が、社会的に注目されています。
その中で、多様化する利用者に対して、レベルに応じたセキュリティを確保するためには、従来の方法ではほとんど不可能になっていると言えます。
運用管理コストの増大
一方では、増大し変化する利用者の利便性を確保し、一方ではセキュリティを確立するという、2つの要素を満たすためには、膨大な開発コストを必要とします。また、運用管理についても、人的資源、コストの両面で大きな問題となっています。