ファイルシステムの前後処理とは、ファイルシステムのアンマウント/マウント処理です。複製元ボリュームに対する前後処理は、複製元データを保証するためのものです。複製先ボリュームに対する前後処理は、同期処理実行中やスナップショットコピー時に他プロセスからのアクセスを不可能にするためのものです。ボリュームがマウントされていない場合は、前後処理は実施されません。
複写元/複写先ボリュームがLogical Unit(ディスク)である場合、Logical Unit(ディスク)に含まれるスライスに対する前後処理は行われません。そのため複製作成前にあらかじめにLogical Unit(ディスク)に含まれるスライスをアンマウントし、複製作成後アンマウントしたスライスをマウントする必要があります。
ファイルシステムの前後処理の実施状況を以下に示します。この表は、前後処理が実行されるかどうかは、コマンド種別によって異なり、さらに、そのコマンドを実行したときのコピー状態によっても異なることを示しています。
コマンド | コピー状態 | 複製元/複製先 | 前処理 | 後処理 |
---|---|---|---|---|
複製開始コマンド | 未コピー状態または 複製確立状態 | 複製元 | × | × |
複製先 | ○--(1) | × | ||
複製作成コマンド(同期型レプリケーションの場合) | 等価性維持状態 | 複製元 | ○ | ○ |
複製先 | × | ○--(2) | ||
複製解除コマンド | 等価性維持状態 | 複製元 | ○ | ○ |
複製先 | × | ○--(2) | ||
複製確立状態 | 複製元 | × | × | |
複製先 | × | × | ||
コピー中 | 複製元 | × | × | |
複製先 | × | × | ||
複製作成コマンド(スナップショット型レプリケーションの場合) | 未コピー状態 | 複製元 | ○ | ○ |
複製先 | ○ | ○ |
○:実施する、×:実施しない
(1)で行った前処理に対する後処理は(2)で行われます。(2)の後処理では、(1)の前処理でアンマウントしたマウントポイントに再マウントを行います。
ファイルシステムの前後処理は、カスタマイズ可能なようにシェルスクリプトになっています。レプリケーション管理コマンドを実施した際に、上の表にしたがって起動されます。また、サーバ間レプリケーションの場合、接続されていないボリュームの前後処理は、TCP/IPによるリモート実行でこれらのシェルスクリプトが実行されます。
以下に、前後処理の動作イメージを示します。
図C.1 同期型レプリケーションの処理方法
前後処理で標準の前後処理以外で必要な処理がある場合はそれぞれのシェルスクリプトをカスタマイズしてください。
シェルスクリプトをカスタマイズする場合、エラーコードは以下の規約に従ってください。
エラーコード | 用途 |
---|---|
0-99 | 使用不可(AdvancedCopy Managerが予約) |
100-255 | 使用可能 |
注意
データベースの前後処理については、AdvancedCopy Managerでは機能を提供しませんので、AdvancedCopy Managerコマンド実行の前後で独自に実施する必要があります。