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ETERNUS SFAdvancedCopy Manager 13.4 運用手引書

A.2.3 シェルスクリプトのカスタマイズ

バックアップの前後処理のシェルスクリプトについて、カスタマイズ方法を以下に説明します。

業務ボリュームをアンマウントしたくない場合

マウントされているがアンマウントしたくない業務ボリュームに対しては、バックアップ実行時の前処理のシェルスクリプト(OpcBackup.pre)の90~100、104、137行目のコメント(“#”)をエディタ等で消去し、90行目のif文で対象となるデバイスを指示してください。

この操作は、ファイルシステムが以下の場合のみ可能です。

カスタマイズしたシェルスクリプトによる前処理の動作は、以下のようになります。

表A.4 カスタマイズしたシェルスクリプトによる前処理の動作

業務ボリュームの状態

前処理

マウントされている

業務ボリュームへの更新を抑止します

カスタマイズしたシェルスクリプトによる後処理の動作は、以下のようになります。

表A.5 カスタマイズしたシェルスクリプトによる後処理の動作

前処理

後処理

業務ボリュームへの更新を抑止した

業務ボリュームへの更新抑止を解除します
バックアップボリュームの整合性を確認します

注意

標準のシェルスクリプトを使用した運用では、アドバンスト・コピー(EC/OPC)の前にファイルシステムをアンマウントすることにより、ファイルシステムのキャッシュの書き出しと、その後の更新が抑止されるため、ファイルシステム全体のデータの整合性が保証されます。

シェルスクリプトをカスタマイズして、ファイルシステムのアンマウントを行わない場合は、lockfs -wを使用してファイルシステムのキャッシュのフラッシュと、その後の更新を抑止しますが、Write Open中のファイル(オンラインバックアップをサポートしているOracleのデータベーススペースは除きます)については、ファイル内容の保証はされません。

また、メタデータ更新中のプロセスがある場合は、lockfsの仕様上、ファイルシステム自体のデータ整合性も保障されません。

したがって、ファイルシステムのアンマウントを行わない場合のデータ整合性については、運用で考慮・対処する必要があります。

注意

SDXオブジェクトをスライス単位で運用する場合は、バックアップ実行時の前処理のシェルスクリプト(OpcBackup.pre)で、90行目にはスライス名(/dev/sfdsk/(クラス名)/dsk/(ボリューム名):(sdxinfoのDEVNAMの値))ではなく、論理ボリューム名(/dev/sfdsk/(クラス名)/dsk/(ボリューム名))を指定してください。

VERITAS Cluster Serverでクラスタ運用する場合

VERITAS Cluster Serverでクラスタ運用を行う場合で、業務ボリュームのマウントポイントがクラスタ業務に登録されている場合は、前後処理のシェルスクリプトのカスタマイズが必要となります。

前後処理のシェルスクリプト内のマウント/アンマウント処理を、マウントポイントリソースのオフライン/オンライン処理に変更してください。

また、マウントポイントリソースのオフライン/オンラインを行ってから、実際にボリュームがアンマウント/マウントされるまでに時間差があります。そのため実際にアンマウント/マウントされるまで待ち合わせる処理(sleepやdfコマンドの結果を監視するなど)をオフライン/オンラインの成否を判定する個所の後に追加してください。

以下に前後処理のシェルスクリプトのカスタマイズ例を示します。

[例] バックアップ前処理のシェルスクリプト(OpcBackup.pre)のアンマウント処理変更

[106、115行目]

(変更前)

/usr/sbin/umount $mount_point

(変更後)

/opt/VRTSvcs/bin/hares -offline リソース名 -sys システム名

[例] バックアップ前処理のシェルスクリプト(OpcBackup.pre)のアンマウント待ち処理追加

[135行目]

(追加)

while /usr/sbin/df -l "$device">/dev/null 2>&1; do :; done

[例] バックアップ後処理のシェルスクリプト(OpcBackup.post)のマウント処理変更

[112、116、118、131、135、137行目]

(変更前)

/usr/sbin/mount $device $mount_point または
/usr/sbin/mount -F $fs $device $mount_point

(変更後)

/opt/VRTSvcs/bin/hares -online リソース名 -sys システム名

[例] バックアップ後処理のシェルスクリプト(OpcBackup.post)のマウント待ち処理追加

[157行目]

(追加)

until /usr/sbin/df -l "$device">/dev/null 2>&1; do :; done