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ETERNUS SFAdvancedCopy Manager 13.4 運用手引書

8.9.2 ディスクグループを構成する物理ディスク単位のバックアップ運用

VxVMボリュームの構成が、論理ボリュームが存在する物理スライス単位での運用条件を満たしていない場合は、VxVMボリュームを構成する物理ディスク単位で操作することによりレプリケーション運用を行うことができます。

物理ディスク単位に運用する場合は、ディスクグループとしての整合性を保つ必要があることから、ディスクグループ内のすべての物理ディスクを同期をとって操作しなければなりません。

ポイント

同期を取る必要がある物理ボリュームを確認する方法については、「10.3.10 デバイス情報表示コマンド(stgxfwcmdispdev)」または『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』の「同一のコピー領域を使用するデバイスの表示」を参照してください。

注意

noprivタイプのVMディスクのみ、物理スライスが管理単位となります。

注意

通常ボリュームの基本的運用を理解した上でご利用ください。

注意

物理ディスク単位の運用では、スナップショット型での運用を推奨します。同期型での運用の場合、全面コピー中および差分コピー中は複写先に対しVxVMのコマンド等のディスクへのアクセスが発生するコマンドは実行できません。

注意

クラスタ構成で運用する場合、クラスタを構成する全てのサーバにおいて、ディスクグループを構成する物理ディスクのデバイス名(/dev/(r)dsk/c#t#d#)が同じであり、デバイス名が指すETERNUSのディスクも同じである必要があります。

なお、SunCluster環境下で運用する場合、クラスタを構成する全てのサーバにおいて、VxVMのエンクロージャ名が同じであり、エンクロージャ名が指すETERNUSのディスクも同じである必要があります。

8.9.2.1 運用設計

以下の点に注意して、複製元/複製先のディスクグループを設計します。

8.9.2.2 事前準備

8.9.2.2.1 ディスクグループ構成情報ファイルの確認

レプリケーションの後処理として、ディスクグループの再構成を行う必要があります。ディスクグループの再構成に必要な構成情報ファイルが退避されていることを確認してください。

/etc/vx/cbr/bk/<ディスクグループ名>.<ディスクグループID>
8.9.2.2.2 複製元ボリューム/複製先ボリュームの設定

複製元ボリューム/複製先ボリュームを設定する際は、ディスクグループ内のすべての物理ディスクを設定します。

[複製元ボリューム/複製先ボリュームの設定例]

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
swsrpsetvol completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
swsrpsetvol completed
#

8.9.2.3 レプリケーションの実行

ディスクグループ内のすべての物理ディスクを同期をとって操作します。

必要な前後処理は、レプリケーションの操作を行う前後にディスクグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際には、前後処理を動作させないようにします。

[スナップショット型レプリケーションの例]

(複写元/複写先に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20s2@SV1 swsrpmake completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21s2@SV1 swsrpmake completed
#

(複写元/複写先に対する後処理を行う)

[同期型レプリケーションの例]

(複写先に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20s2@SV1 swsrpstartsync completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21s2@SV1 swsrpstartsync completed

(等価性維持状態後)

(複写元に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20s2@SV1 swsrpmake completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21s2@SV1 swsrpmake completed
#

(複写元/複写先に対する後処理を行う)

レプリケーションの前後で実施する前後処理は以下。

表8.7 レプリケーションの前後処理

  

前処理

後処理

複写元

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合は、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. サーバ内レプリケーションで、ディスクグループがimportされていない場合、ディスクグループをimportします。

ファイルシステムが含まれる場合は、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

複写先

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合は、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. ディスクグループをdeportします。

  4. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ファイルシステムが含まれる場合は、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

ディスクグループの再構成(サーバ内レプリケーションの場合)

ディスクグループの再構成は、以下の手順で行います。

  1. リストアのプリコミット分析

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -p dstdg
    Diskgroup dstdg configuration restoration started ......
    
    Installing volume manager disk header for c1t0d20s2 ...
    Installing volume manager disk header for c1t0d21s2 ...
    -
    dstdg's diskgroup configuration is restored (in precommit state).
    Diskgroup can be accessed in read only and can be examined using
    vxprint in this state.
    
    Run:
      vxconfigrestore -c dstdg ==> to commit the restoration.
      vxconfigrestore -d dstdg ==> to abort the restoration.
    #
  2. コピー先のディスクグループ構成のリストアに必要な変更をコミットする。

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -c dstdg
    Committing configuration restoration for diskgroup dstdg ....
    
    dstdg's diskgroup configuration restoration is committed.
    #

ディスクグループの再構成(サーバ間レプリケーションの場合)

  1. 複製元サーバのディスクグループsrcdgを複製先サーバのディスクグループdstdgとしてインポートします。

    # /usr/sbin/vxdg -C -n dstdg import srcdg
    #

    注意

    複写元サーバのディスクグループ名と複写先サーバのディスクグループ名が同じである場合には、-nオプションは指定しません。

  2. 複製先サーバのディスクグループdstdg内のボリュームに対し、リカバリ処理を実施します。

    # vxrecover -g dstdg -sb
    #
  3. VxVM5.0以降の場合、複写先ディスクのudidが不整合となっているため、これを復旧します。

    # vxdisk updateudid c1t0d20s2 c1t0d21s2
    #

注意

ディスクグループをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ディスクグループのimport/deport処理の代わりにディスクグループリソースのonline/offline処理を行ってください。
マウントポイントをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ファイルシステムのmount/umount処理の代わりにマウントリソースのonline/offline処理を行ってください。

注意

システムでディスク交換等が行われている場合、1つのディスクグループについて競合する構成情報バックアップが複数存在する場合があります。
その際は、上記コマンド実行後に表示されるディスクグループIDをディスクグループの代わりに指定して実行する必要があります。

注意

この操作の後、ディスクグループ内のボリュームがバックグラウンドで同期されるため、ボリュームの構成によっては同期処理に時間がかかる場合があります。
なお、その場合でもボリュームを使用することは可能です。