AdvancedCopy Managerは、ETERNUS ディスクアレイのディスクボリュームに配置されたSymfowareのデータベーススペースを、業務ボリュームとして管理します。
そのため、AdvancedCopy Managerでは、Symfowareのデータベースの格納構造を意識せずに、データベーススペースという物理的に配置された構造で、バックアップ/リカバリを行うことができます。
Symfowareは、Storageサーバ内に配置されたデータベーススペースやロググループを、いろいろな業務の用途に合わせて、複数の動作環境を作成することができます。この動作環境を、RDBシステム名という名前で区別します。AdvancedCopy Managerは、このRDBシステム名を元に、動作環境内のデータベースの表間のリレーションの整合性を破壊することなく、バックアップ/リカバリを行います。
Symfowareの概要全般については、『Symfoware Server RDB運用ガイド』を参照してください。
図5.1 機能概要
AdvancedCopy Managerでは、Symfowareのデータベーススペースを、データベーススペース単位またはロググループ単位で、バックアップを行うことができます。
AdvancedCopy Managerでは、バックアップ対象とするデータベーススペースが配置されているスライスを業務ボリュームとします。
データベーススペース単位のバックアップでは、その業務ボリュームをバックアップ退避先ボリューム(バックアップボリューム)にバックアップします。
ロググループ単位のバックアップでは、ロググループに含まれるすべてのデータベーススペースをそれぞれ業務ボリュームとして定義し、そのすべての業務ボリュームをバックアップします。
注意
ロググループ単位でバックアップする場合、ロググループに含まれるすべてのデータベーススペースが配置されているスライスを、それぞれ業務ボリュームとして登録しておく必要があります。1つでも登録から漏れると、AdvancedCopy Managerは登録から漏れたデータベーススペースをバックアップすることができず、データベースのリカバリ時に表間のリレーションの整合性が保てなくなります。
AdvancedCopy Managerは、バックアップ時に、データベースのリカバリに必要なデータを格納したリカバリ制御ファイルを作成し、バックアップした世代毎に管理します。
AdvancedCopy Managerでは、Symfowareのデータベーススペース単位またはロググループ単位でのデータベーススペースのリカバリが行えます。
AdvancedCopy Managerのリカバリは、次のように処理が行われます。
適切なリカバリ制御ファイルとバックアップボリュームを選択します。
バックアップボリュームを業務ボリュームへ複写します。
最新の状態、または特定の時点へ復旧する場合は、リカバリ制御ファイルを元に、アーカイブログを適用します。
ポイント
アーカイブログファイルに、アーカイブログがいっぱいになると、Symfowareのコマンドや、データベーススペースを使用する利用者のアプリケーションが無応答になるため、アーカイブログを外部媒体に退避することがありますが、AdvancedCopy Managerは、外部媒体に保管したアーカイブログ退避ファイル名を書いたファイル(アーカイブログ退避先名が列挙されたファイル)を指定してリカバリすることができます。
注意
「アーカイブログ退避先名が列挙されたファイル」に指定したファイルに、MT(テープ装置)に退避されたアーカイブログ退避ファイルを記述した場合は、リカバリを行うことができません。
また、リカバリ時には、10.2.1.1 Storageサーバ構成情報設定コマンド(swstsvrset)で指定した作業ディレクトリを使用します。
ポイント
AdvancedCopy ManagerでバックアップしたSymfowareのデータベーススペースは、AdvancedCopy Managerでリカバリする必要があることから、バックアップボリュームをテープなどの二次媒体に退避しても二次媒体から直接リカバリすることはできません。
そのため、Symfowareのデータベーススペースをテープにバックアップする場合は、テープサーバを導入したバックアップ運用を行うことを推奨します。
アーカイブログの退避運用
アーカイブログを退避する運用の場合、データベーススペースのリカバリに必要な退避アーカイブログの対応を知る必要があります。 AdvancedCopy Managerは、そのために必要なロググループ単位に行われるアーカイブログ退避処理と、データベーススペース単位に行われるバックアップ/リカバリの対応管理を行います。データベースの管理者は、単純にアーカイブログ退避状況の記録のみを行えばよくなります。具体的な運用としては、アーカイブログの退避作業をシェルスクリプト化し、Storageサーバ上のファイルに履歴を記録する形態を推奨します。
図5.2 アーカイブログ退避運用