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ETERNUS SFAdvancedCopy Manager 13.4 運用手引書

4.9.2 ディスクグループを構成する物理ディスク単位のバックアップ運用

VxVMボリュームの構成が、論理ボリュームが存在する物理スライス単位での運用条件を満たしていない場合は、VxVMボリュームを構成する物理ディスク単位で操作することによりバックアップ運用を行うことができます。

物理ディスク単位に運用する場合は、ディスクグループとしての整合性を保つ必要があることから、ディスクグループ内のすべての物理ディスクを同期をとって操作しなければなりません。

ポイント

同期を取る必要がある物理ボリュームを確認する方法については、「10.3.10 デバイス情報表示コマンド(stgxfwcmdispdev)」または『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』の「同一のコピー領域を使用するデバイスの表示」を参照してください。

注意

noprivタイプのVMディスクのみ、物理スライスが管理単位となります。

注意

通常ボリュームの基本的運用を理解した上でご利用ください。

注意

物理ディスク単位の運用では、スナップショット型での運用を推奨します。同期型での運用の場合、全面コピー中および差分コピー中は複写先に対しVxVMのコマンド等のディスクへのアクセスが生じるコマンドは実行できません。

注意

クラスタ構成で運用する場合、クラスタを構成する全てのサーバにおいて、ディスクグループを構成する物理ディスクのデバイス名(/dev/(r)dsk/c#t#d#)が同じであり、デバイス名が指すETERNUSのディスクも同じである必要があります。

なお、SunCluster環境下で運用する場合、クラスタを構成する全てのサーバにおいて、VxVMのエンクロージャ名が同じであり、エンクロージャ名が指すETERNUSのディスクも同じである必要があります。

4.9.2.1 運用設計

以下の点に注意して、業務ボリューム/バックアップボリュームのディスクグループを設計します。

4.9.2.2 事前準備

4.9.2.2.1 ディスクグループ構成情報ファイルの確認

バックアップの後処理として、ディスクグループの再構成を行う必要があります。ディスクグループの再構成に必要な構成情報ファイルが退避されていることを確認してください。

/etc/vx/cbr/bk/<ディスクグループ名>.<ディスクグループID>
4.9.2.2.2 業務ボリューム/バックアップボリュームの設定

業務ボリューム/バックアップボリュームを設定する際は、ディスクグループ内のすべての物理ディスクを設定します。

[例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
swstdevinfoset completed
#
4.9.2.2.3 デバイスマップファイルの準備

VxVMボリュームのバックアップ運用では、業務ボリュームと同一のボリューム構成をもつバックアップボリュームを指定する必要があるため、デバイスマップファイルを作成する必要があります。

[デバイスマップファイルの例]

# 業務ボリューム名             出力先バックアップボリューム名
/dev/vx/dmp/c1t0d10s2          /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
/dev/vx/dmp/c1t0d11s2          /dev/vx/dmp/c1t0d21s2

デバイスマップファイルの詳細については、「4.4.11 デバイスマップファイルの準備」を参照してください。

4.9.2.3 バックアップの実行

ディスクグループ内のすべての物理ディスクを同期をとって操作します。

必要な前後処理は、バックアップの操作を行う前後にディスクグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際には、前後処理を動作させないようにします。

[スナップショット型バックアップの例]

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/vx/dmp/c1t0d10s2 swstbackup completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/vx/dmp/c1t0d11s2 swstbackup completed
#

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する後処理を行う)

[同期型バックアップの例]

(バックアップボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swststartsync /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/vx/dmp/c1t0d10s2 swststartsync completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swststartsync /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/vx/dmp/c1t0d11s2 swstsstartsync completed

(等価性維持状態後)

(業務ボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dmp/c1t0d10s2
/dev/vx/dmp/c1t0d10s2 swstbackup completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dmp/c1t0d11s2
/dev/vx/dmp/c1t0d11s2 swstbackup completed
#

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する後処理を行う)

バックアップの前後で実施する前後処理は以下。

表4.8 バックアップの前後処理

  

前処理

後処理

業務
ボリューム

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合は、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. ディスクグループがimportされていない場合、ディスクグループをimportします。

ファイルシステムが含まれる場合は、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

バックアップ
ボリューム

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合は、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. ディスクグループをdeportします。

  4. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ファイルシステムが含まれる場合は、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

ディスクグループの再構成

ディスクグループの再構成は、以下の手順で行います。

  1. リストアのプリコミット分析

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -p dstdg
    Diskgroup dstdg configuration restoration started ......
    
    Installing volume manager disk header for c1t0d20 ...
    Installing volume manager disk header for c1t0d21 ...
    -
    dstdg's diskgroup configuration is restored (in precommit state).
    Diskgroup can be accessed in read only and can be examined using
    vxprint in this state.
    
    Run:
      vxconfigrestore -c dstdg ==> to commit the restoration.
      vxconfigrestore -d dstdg ==> to abort the restoration.
    #
  2. コピー先のディスクグループ構成のリストアに必要な変更をコミットする。

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -c dstdg
    Committing configuration restoration for diskgroup dstdg ....
    
    dstdg's diskgroup configuration restoration is committed.
    #

注意

ディスクグループをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ディスクグループのimport/deport処理の代わりにディスクグループリソースのonline/offline処理を行ってください。
マウントポイントをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ファイルシステムのmount/umount処理の代わりにマウントリソースのonline/offline処理を行ってください。

注意

システムでディスク交換等が行われている場合、1つのディスクグループについて競合する構成情報バックアップが複数存在する場合があります。
その際は、上記コマンド実行後に表示されるディスクグループIDをディスクグループの代わりに指定して実行する必要があります。

注意

この操作の後、ディスクグループ内のボリュームがバックグラウンドで同期されるため、ボリュームの構成によっては同期処理に時間がかかる場合があります。
なお、その場合でもボリュームを使用することは可能です。

4.9.2.4 リストアの実行

ディスクグループ内のすべての物理ディスクを同期をとって操作します。

必要な前後処理は、リストアの操作を行う前後にディスクグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際には、前後処理を動作させないようにします。

[リストアの例]

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/vx/dmp/c1t0d10s2
/dev/vx/dmp/c1t0d10s2 swstrestore completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/vx/dmp/c1t0d11s2
/dev/vx/dmp/c1t0d11s2 swstrestore completed
#

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する後処理を行う)

リストアの前後で実施する前後処理は以下。

表4.9 リストアの前後処理

  

前処理

後処理

バックアップ
ボリューム

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ディスクグループがimportされていない場合、ディスクグループをimportします。

後処理の必要はありません。

リストア先
ボリューム

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合は、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. ディスクグループをdeportします。

  4. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ファイルシステムが含まれる場合は、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

ディスクグループの再構成

ディスクグループの再構成は、以下の手順で行います。

  1. リストアのプリコミット分析

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -p srcdg
    Diskgroup srcdg configuration restoration started ......
    
    Installing volume manager disk header for c1t0d10 ...
    Installing volume manager disk header for c1t0d11 ...
    -
    srcdg's diskgroup configuration is restored (in precommit state).
    Diskgroup can be accessed in read only and can be examined using
    vxprint in this state.
    
    Run:
      vxconfigrestore -c srcdg ==> to commit the restoration.
      vxconfigrestore -d srcdg ==> to abort the restoration.
    #
  2. コピー先のディスクグループ構成のリストアに必要な変更をコミットする。

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -c srcdg
    Committing configuration restoration for diskgroup srcdg ....
    
    srcdg's diskgroup configuration restoration is committed.
    #

注意

ディスクグループをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ディスクグループのimport/deport処理の代わりにディスクグループリソースのonline/offline処理を行ってください。
マウントポイントをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ファイルシステムのmount/umount処理の代わりにマウントリソースのonline/offline処理を行ってください。

注意

システムでディスク交換等が行われている場合、1つのディスクグループについて競合する構成情報バックアップが複数存在する場合があります。
その際は、上記コマンド実行後に表示されるディスクグループIDをディスクグループの代わりに指定して実行する必要があります。

注意

この操作の後、ディスクグループ内のボリュームがバックグラウンドで同期されるため、ボリュームの構成によっては同期処理に時間がかかる場合があります。
なお、その場合でもボリュームを使用することは可能です。