Interstage Application Server OLTPサーバ運用ガイド
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第2章 OLTPサーバの設計> 2.2 各種ワークユニット> 2.2.3 トランザクションアプリケーションのワークユニット

2.2.3.6 セション情報の管理

 トランザクションアプリケーションでは、セション情報管理機を使用することで、業務システムを構築する場合にセション情報を管理できます。なお、セション情報とは、クライアントとサーバのオブジェクト間で、複数回の要求と応答がある場合に、サーバ側でクライアントごとに保持する任意の情報のことです。

 また、セション情報の管理のためには、プロセスバインド機能を使用した方法もあります。プロセスバインド機能については、“アプリケーション作成ガイド(コンポーネントトランザクションサービス編)”で説明されています。

セション情報管理機能の用途

 セション情報管理は、複数の要求と応答により1つの業務が完結するアプリケーションで、複数要求間で任意のデータを処理要求元ごとにサーバ側で一時的に保持する目的で使用します。なお、長期的な情報の保持のためには、データベースなどへの情報の記録が必要です。

セション情報の管理単位

 セション情報管理機能では、セション情報をSMO(セション情報管理オブジェクト:Session information Management Object)で管理します。SMOではクライアントを識別する以下の3つの識別子ごとにセション情報を管理できます。

 セションIDは、コンポーネントトランザクションサービスがセションを識別するために使用する識別子です。
 セションIDは、トランザクションアプリケーションのサーバオブジェクトで、コンポーネントトランザクションサービスが提供するセションID採番APIにより採番します。採番したセションIDは、セション情報を保持する任意の範囲で、クライアントからサーバにオペレーションのパラメタとして渡すことにより使用します。これにより、サーバは、処理要求元のクライアントを一意に識別できます。
 セションIDは、プロセスバインド機能およびAIM連携のセション継続でも使用されます。(AIM連携はWindows(R)版、Solaris OE版のみです。)

 WWWサーバ(InfoProvider Pro)のクライアントIDは、HTMLページ編集サービス(WebGateway)を使用してWWW連携する場合にWWWサーバのセション管理機構で使用する処理要求元のWWWブラウザを特定する識別子です。WWWサーバのクライアントIDは、HTMLページ編集サービス(WebGateway)のクライアントID通知機能により、トランザクションアプリケーションに通知されます。WWW連携を行う場合、WWWサーバのクライアントIDは、セションIDと全く同様に使用できます。
 HTMLページ編集サービスのクライアントID通知機能については、“WebGateway ユーザーズガイド”で説明されています。
 WWWサーバのクライアントIDは、プロセスバインド機能およびAIM連携のセション継続でも使用されます。
 なお、サーブレットを使用して、WWWブラウザからトランザクションアプリケーションを呼び出す場合は、サーブレットがCORBAクライアントとなるため、セションIDを使用してください。サーブレットがWWWブラウザとの間のセションを管理するオブジェクトにセションIDを記録することにより、要求元のWWWブラウザとコンポーネントトランザクションサービスのセションIDを対応づけることが可能です。

 クライアント識別子は、CORBAクライアントを使用する場合に、処理要求元のCORBAクライアントのプロセスを一意に識別するための識別子です。クライアント識別子は、CORBAサービスにより自動的に採番されます。トランザクションアプリケーションでは、クライアント識別子獲得APIを使用して取得できます。

識別子

採番方式

サーバでの取得方法

利点

使用機能

セションID

サーバオブジェクトでのAPI

クライアントからのパラメタ渡し

アプリケーションごとの任意の範囲をセションとできる。
1スレッド単位でもクライアントを識別可能。

・セション情報管理
・プロセスバインド

・AIM連携のセション継続


WWWサーバのクライアントID

WWWサーバによる自動採番

クライアントからのパラメタ渡し

WWWクライアント連携でのクライアントの識別が可能。

・セション情報管理
・プロセスバインド
・AIM連携のセション継続

クライアント識別子

CORBAサービスによる自動採番

サーバでの取得APIの発行

パラメタによる識別子の持ち回りが不要。
クライアント側での識別子の持ち回りが不要。

・セション情報管理

 任意のオブジェクトが獲得したセション情報域は、同一サーバ内のほかのオブジェクトからもアクセスすることができます。ただし、サーバをまたいだセション情報の管理はできません。
 セション情報の管理を行う場合の詳細については、“アプリケーション作成ガイド(コンポーネントトランザクションサービス編)”で説明されています。


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