PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.2 (Linux版)
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第6章 バックアップとリストア> 6.6 ドメイン外サーバからのバックアップとリストア> 6.6.2 スライス切離しによるスナップショットを使用したバックアップとリストア

6.6.2.6 バックアップ手順

2) バックアップ対象スライスの切離し

業務用ボリューム Volume1 のスライスのうち、バックアップ対象となるディスク Disk1 上のスライスを Volume1 から一時的に切り離します。以下の作業を運用ドメインのノード Node1 または Node2 で実施します。


ここでは、スライスを切り離す際に、業務を停止することによってデータの整合性を確保します。ボリュームのデータを管理しているファイルシステムやデータベースシステムといったソフトウェアが、切り離されたスライスのデータの整合性を保証する機能や整合性を修復する機能を備えている場合は、手順 2-1) および 2-3) を実施する必要はありません。その代わりに、それらのソフトウェア固有の方法で、整合性を確保する操作を行います。「スナップショットデータの整合性」を参照してください。

2-1) 業務の停止

切り離すスライス上のデータの整合性を確保するため、ノード Node1 および Node2 において、業務用ボリューム Volume1 を使用しているアプリケーションを停止します。

Volume1 をファイルシステムとして使用している場合は、アンマウントします。

2-2) スライスの切離し

ディスク Disk1 上のスライスをボリューム Volume1 から一時的に切り離します。切り離したスライスへの不当な書込みを防ぐため、スライスのアクセスモードは ro (読取り専用) に設定します。

# sdxslice -M -c Class1 -d Disk1 -v Volume1 -a jrm=off,mode=ro

スライス用の高速等価性回復モード
バックアップサーバ Node3 において、ディスク Disk1 のデータをテープにバックアップする際に、Node3 から Disk1 への書込みが行われる場合があります。運用ドメインの GDS は Node3 からの書込みを認識できないため、切り離すスライスの高速等価性回復モードをオンに設定した場合、Node3 から更新された部分がスライスの再組込み時に等価性回復コピーの対象とならないことがあります。この場合、ボリューム Volume1 の等価性が保証できなくなります。このため、切り離すスライスの高速等価性回復モードをオフに設定しておく必要があります。

2-3) 業務の再開

手順 2-1) でファイルシステムをアンマウントした場合は、再度マウントします。

手順 2-1) で停止したアプリケーションを再開します。

 

3) 業務用ボリュームの構成の確認

運用ドメインのノード Node1 または Node2 において、バックアップの対象となる業務用ボリューム Volume1 の構成を確認します。

# sdxinfo -c Class1
OBJ    NAME    TYPE     SCOPE       SPARE
------ ------- -------- ----------- -----
class  Class1  shared   Node1:Node2     0
OBJ    NAME     TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT       STATUS
------ -------  ------ ------- ------- ------- -------- ---------------- -------
disk   Disk1   mirror Class1  Group1   sda     8380800 Node1:Node2      ENABLE
disk   Disk2    mirror Class1  Group1   sdb     8380800 Node1:Node2      ENABLE
OBJ    NAME    CLASS   DISKS               BLKS     FREEBLKS SPARE
------ ------- ------- ------------------- -------- -------- -----
group  Group1  Class1  Disk1:Disk2          8290304  7176192     0
OBJ    NAME    CLASS   GROUP   SKIP JRM  1STBLK   LASTBLK   BLOCKS   STATUS
------ ------- ------- ------- ---- ---  -------- --------  -------- --------
volume *       Class1  Group1  *    *           0    65535     65536 PRIVATE
volume Volume1 Class1  Group1  off  on     65536  1114111  1048576 ACTIVE
volume *       Class1  Group1  *    *     1114112  8290303   7176192 FREE
OBJ    CLASS   GROUP   DISK     VOLUME  STATUS
------ ------- ------- -------  ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 TEMP
slice  Class1  Group1  Disk2    Volume1 ACTIVE

 

4) バックアップ用シャドウボリュームの作成

バックアップサーバ Node3 において、ディスク sda 上にバックアップ用のボリューム (シャドウボリューム) を作成します。以下の設定をバックアップサーバ Node3 で実施します。


不適切な構成のシャドウボリュームに書込みを行うと、業務用ボリュームのデータが破損することがあります。手順 4-4) において、シャドウボリュームの構成が適切であることを必ず確認してください。

4-1) シャドウディスクの登録

ディスクsdaをシャドウクラス Class2 に登録し、Disk1 というディスク名を付けます。

# sdxshadowdisk -M -c Class2 -d sda=Disk1

4-2) シャドウグループの作成

シャドウディスク Disk1 をミラータイプのシャドウグループ Group1 に接続します。

# sdxshadowdisk -C -c Class2 -g Group1 -d Disk1

4-3) シャドウボリュームの作成

シャドウグループ Group1 に、シャドウボリューム Volume1 を作成します。

# sdxshadowvolume -M -c Class2 -g Group1 -v Volume1 -s 1048576

4-4) シャドウボリュームの構成の確認

sdxinfo コマンドを実行し、グループ情報の DISKS フィールド、ボリューム情報の 1STBLK フィールドおよび BLOCKS フィールドなどから、グループ構成やボリューム構成が適切であることを確認します。

# sdxinfo -c Class2
OBJ    NAME    TYPE     SCOPE       SPARE
------ ------- -------- ----------- -----
class  Class2  local   Node3           0
OBJ    NAME     TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT       STATUS
------ -------  ------ ------- ------- ------- -------- ---------------- -------
disk   Disk1   mirror Class2  Group1   sda     8380800 Node3            ENABLE
OBJ    NAME    CLASS   DISKS               BLKS     FREEBLKS SPARE
------ ------- ------- ------------------- -------- -------- -----
group  Group1  Class2  Disk1                8290304  7176192     0
OBJ    NAME    CLASS   GROUP   SKIP JRM  1STBLK   LASTBLK   BLOCKS   STATUS
------ ------- ------- ------- ---- ---  -------- --------  -------- --------
volume *       Class2  Group1  *    *           0    65535     65536 PRIVATE
volume Volume1 Class2  Group1  off  off    65536  1114111  1048576 ACTIVE
volume *       Class2  Group1  *    *     1114112  8290303   7176192 FREE
OBJ    CLASS   GROUP   DISK     VOLUME  STATUS
------ ------- ------- -------  ------- --------
slice  Class2  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE

 

5) テープへのバックアップ

バックアップサーバ Node3 において、シャドウボリュームのデータをテープにバックアップします。シャドウボリューム Volume1 のデータをテープ装置 /dev/st0 のテープ媒体にバックアップする例を示します。


バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用する各コマンドのマニュアルを参照してください。

5a) dd(1) コマンドを使用してデータをバックアップする場合

# dd if=/dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 of=/dev/st0 bs=32768

5b) tar(1) コマンドを使用して ext3 ファイルシステムをバックアップする場合

5b-1) シャドウボリューム Volume1 を読書き用のアクセスモード (rw) で起動します。

# sdxshadowvolume -F -c Class2 -v Volume1
# sdxshadowvolume -N -c Class2 -v Volume1 -e mode=rw

5b-2) シャドウボリューム Volume1 上の、ext3 ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。

手順 2) においてスライスを切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。

# fsck -t ext3 -y /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1

5b-3) シャドウボリューム Volume1 上の ext3 ファイルシステムを、一時的なマウントポイント /mnt1 に読取り専用モードでマウントします。

# mkdir /mnt1
# mount -t ext3 -o ro /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 /mnt1

5b-4) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。

# cd /mnt1
# tar cvf /dev/st0 .

5b-5) 手順 5b-3) でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。

# cd /
# umount /mnt1
# rmdir /mnt1

 

6) シャドウボリュームの削除

バックアップが完了したら、シャドウボリュームへの不当なアクセスを防ぐため、シャドウボリュームを削除します。バックアップサーバ Node3 で以下の作業を実施します。

6-1) シャドウボリュームの停止

シャドウボリューム Volume1 を停止します。

# sdxshadowvolume -F -c Class2 -v Volume1

6-2) シャドウボリュームの削除

シャドウボリューム Volume1 を削除します。

# sdxshadowvolume -R -c Class2 -v Volume1

6-3) シャドウグループの削除

シャドウグループ Group1 を削除します。

# sdxshadowgroup -R -c Class2 -g Group1

6-4) シャドウディスクの削除

シャドウディスク Disk1 を削除します。

# sdxshadowdisk -R -c Class2 -d Disk1

 

7) バックアップ対象スライスの再組込み

業務用ボリュームから一時的に切り離していたスライスをボリュームに再度組み込みます。以下の作業を運用ドメインのノード Node1 または Node2 で実施します。

7-1) バックアップ対象スライスの再組込み

手順 2-2) で業務用ボリューム Volume1 から一時的に切り離したスライス Volume1.Disk1 を、Volume1 に再度組み込みます。

# sdxslice -R -c Class1 -d Disk1 -v Volume1

コマンドが復帰した後、ボリューム Volume1 の Disk2 上のスライスから Disk1 上のスライスへの等価性コピー処理が実行されます。

7-2) コピー状況の確認

等価性コピー処理の状況は、sdxinfo -S コマンドで確認することができます。コピー先のスライスは、コピー処理中は COPY 状態であり、コピー処理が正常に完了すると ACTIVE 状態 (ただし Volume1 が STOP 状態の場合は STOP 状態) になります。

# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume1
OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE
slice  Class1  Group1  Disk2   Volume1 COPY



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