Interstage Application Server 高信頼性システム運用ガイド
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第2章 高信頼化システムの設計

2.2 クラスタサービス機能を利用した高信頼化システム

■高信頼化の方式

 業務運用中のサーバに対して、同様の環境を備えたサーバを待機として準備し、業務運用中のサーバが故障時に待機していたサーバで業務を引き継ぎます。

■高信頼化の目的

 システム全体を堅牢化したい。

■特徴

 サーバマシン異常以外にシステムループやInterstageダウンなどの監視が可能で、システム全体の高信頼化を行うことができます。ただし、クラスタシステムの環境が必要になるため、通常よりも設備費が多くかかります。

■業務復旧までの時間

 クラスタサービス機能を利用しない場合、システムに何らかの異常(ハードウェアの故障など)が発生した場合、一般的には業務復旧まで2〜3時間ぐらいの時間が必要ですが、クラスタサービス機能を利用した場合、以下の時間ぐらいで業務を復旧することができます。

約2〜5分
約10〜15分

■運用方法

 Interstage Application Server Enterprise Editionのクラスタサービス機能を使用する場合、クラスタシステムが必要です。クラスタシステムとは、システムを構成するノードの監視を行い異常を検出すると、他のノードに引き継ぐ仕組みを提供するシステムです。Interstage Application Server Enterprise Editionのクラスタサービス機能では、クラスタシステムの機能を利用し、高信頼化システムを構築します。

■システム構築における選択肢

 Interstage Application Server Enterprise Editionのクラスタサービス機能を利用した高信頼化システムを構築する場合、以下の選択肢があります。

 SafeCLUSTERを使用した場合、InterstageのTCP/IPによる通信にはポート番号指定でのみ設定可能です。IPアドレス(またはホスト名)の設定はできません。クラスタシステムの設定方法については、"クラスタサービスの環境設定手順"を、マルチシステム機能を使用した相互待機については"マルチシステム運用ガイド"を参照してください。

 以下に組み合わせを示します。

使用クラスタ製品

PRIMECLUSTER
SafeCLUSTER

MSCS

Sun Cluster

クラスタ形態

1:1運用待機

相互待機

1:1運用待機

1:1運用待機

使用DBMS

クラスタシステムに対応したDBMS製品

パターン

パターン1

パターン2

パターン3

パターン4

■必須製品

必須製品

使用するクラスタシステム製品と、クラスタシステム製品が必要とする製品

Interstage Traffic Director

クラスタシステムに対応したDBMS製品

■パターン1 (SafeCLUSTER +1:1運用待機 + DBMS)の構成図

 以下に、使用クラスタシステムに当社クラスタ製品であるSafeCLUSTERの1:1 運用待機、DBMSを組み合わせた場合を示します。

 データベース資源を共用ディスクに設定することにより、切り替え時にデータの引き継ぎを行います。ネーミングサービス、インタフェースリポジトリはローカルディスクに設定します。

■パターン2 (SafeCLUSTER + 相互待機 + DBMS)の構成図

 以下に、使用クラスタシステムに当社クラスタ製品であるSafeCLUSTERの相互待機と、DBMSを組み合わせた場合の、クラスタサービス機能について説明します。

 相互待機は、データベース連携サービスは使用できません。

■パターン3 (MSCS + 1:1運用待機 + DBMS)の構成図

 以下に、使用クラスタシステムにMicrosoftのクラスタ製品であるMSCSと、DBMSとを組み合わせた場合の、クラスタサービス機能について説明します。

 データベース資源を共用ディスクに設定することにより、切り替え時にデータの引き継ぎを行います。ネーミングサービス、インタフェースリポジトリはローカルディスクに設定します。

■パターン4 (Sun Cluster + 1:1運用待機 + DBMS)の構成図

 以下に、使用クラスタシステムにSUNのクラスタ製品であるSun Clusterの1:1運用待機と、DBMSを組み合わせた場合の、クラスタサービス機能について説明します。

 資源(データベース連携サービスのログなど)を共用ディスクに設定することにより、切り替え時にデータの引き継ぎを行います。


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