Interstage Application Server J2EE ユーザーズガイド
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第4部 JTS/JTA編> 第34章 JTS/JTAの概要> 34.1 JTSによる分散トランザクション処理

34.1.1 分散トランザクション処理とは

 データベースを更新する処理は、データの整合性を保持するためにも、切り離すことのできない一貫した処理を行う必要があります。

 このような処理のことをトランザクション処理と言います。

 単一のオブジェクトやリソースで発生するトランザクションをローカルトランザクションと言います。

 これに対して、複数のオブジェクトや複数のリソースで発生するローカルトランザクションを一元管理し、一つのトランザクションとして連携させることをグローバルトランザクションと言います。

 つまり、複数のローカルトランザクションを一つのトランザクションとして扱うことができるのがグローバルトランザクションです。

 JTSが提供する分散トランザクション機能は、分散した環境下でのグローバルトランザクションの制御を可能とします。

 JTSはX/OPENの分散トランザクション処理モデル(DTPモデル)を採用したObjectTransactionService(OTS)のJavaマッピングです。

 よって、JTSにおいてもDTPモデルのトランザクション管理が可能であり、分散トランザクションにおけるACID特性を保証します。

ACID特性

Atomicity

原子性

トランザクションはすべて完了するか、または元の状態かのいずれかであり、データベースなどのデータは更新されているか、されていないかのいずれかの状態であることを保証します。

Consistency

一貫性

トランザクションが完了するかどうかに関わらず、データベースなどデータに矛盾がないことを保証します。

Isolation

独立性

複数のトランザクションが同時並行的に処理されたとしても、それらはお互いに干渉せず、データの内容にも影響を与えないことを保証します。

Durability

耐久性

一度、完了したトランザクション処理は、どのような障害があっても、結果を維持することを保証します。

DTPモデルを構成するコンポーネント

AP(Application Program)

アプリケーション開発者によって実装されるコンポーネントです。

APは、TMやRMから提供されるサービスを利用して、トランザクションの制御を行ないます。

EJBなどのJ2EEアプリケーションが該当します。

TM(Transaction Manager)

トランザクションの管理を行なうトランザクションサービスです。

Interstageではトランザクションサービスとして、JTSを提供しています。

RM(Resource Manager)

リソースのトランザクション管理をするプログラムです。

データベース管理システムなどが該当します。

cRM(Communication RM)

トランザクション制御可能な通信基盤を提供するサービスです。

InterstageではcRMとしてCORBAサービスを提供しています。


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