Interstage Application Server アプリケーション作成ガイド （CORBAサービス編）

D.2.1 実行手順

　本項では、Portable-ORBのJava連携機能で使用できるサンプルプログラムの実行手順について説明します。
　Java言語のCORBAアプリケーションをコンパイル、実行するための環境設定については、“CORBAアプリケーションの実行”を参照してください。また、アプレットを実行する場合は、事前に“クライアント環境でのアプレット運用時の注意事項”を参照してください。
　サンプルプログラムは、以下のフォルダ配下に格納されています。

  PORB_SAMPLES : %PORB_HOME%\src\samples
  PORB_HOME: ここではPortable-ORBのインストールフォルダとします。

種別	フォルダ
各種データ型	complex\samplelist.Java\data\*
POAインタフェース	POA\java\*
	POA\java_1_4\*　(JDK/JRE1.4用)
四則演算	%PORB_SAMPLES%\CalcSample\java

(1) 各種データ型、POAインタフェース

　各種データ型、POAインタフェースのサンプルプログラムの実行方法として、complex\samplelist.Java\data\arrayの実行例を説明します。ここでは、同一システムにCORBAサービスとPortable-ORBをインストールして、サーバアプリケーションはJavaサーバアプリケーションで、クライアントアプリケーションがPortable-ORBを使用する場合の実行例を示します。

1. 環境変数CLASSPATHを設定します。
   　set CLASSPATH=.;C:\Interstage\ODWIN\etc\Class\ODjava4.jar;%CLASSPATH%
   注) 環境変数CLASSPATHは、インストール時にODjava4.jarが設定されます。使用するJDK,JREを変更した場合は、環境変数CLASSPATHも変更してください。
2. 以下のフォルダへ現フォルダを移動します。
   　cd C:\Interstage\ODWIN\src\SAMPLE\COMPLEX\samplelist.Java\DATA\ARRAY
3. サーバ、およびクライアントアプリケーションを作成します。
   　make.bat
4. サンプルプログラムを実行するために必要なインプリメンテーションリポジトリIDとオブジェクトリファレンスを登録します。
   　register.bat
5. サーバアプリケーションを実行します。
   　exec-SV.bat
6. 別のDOSウィンドウを起動して、Portable-ORBを動作させるための環境変数CLASSPATHを指定します。
   CLASSPATH=.;%PORB_HOME%\lib\ODporb4.jar;%PORB_HOME%\lib\CosNaming4.jar;%CLASSPATH%
   注)使用するJDK,JREを変更した場合は、環境変数CLASSPATHも変更してください。
7. 以下のフォルダへ現フォルダを移動します。
   　cd C:\Interstage\ODWIN\src\SAMPLE\COMPLEX\samplelist.Java\DATA\ARRAY
8. クライアントアプリケーションを実行します。
   　exec-CL.bat
   <実行結果が表示されます>
9. サーバアプリケーションを終了させます。
10. 不要となったサンプルプログラムのインプリメンテーションリポジトリIDとオブジェクトリファレンスを削除します。
    　unregister.bat

(2) 四則演算

　四則演算のサンプルプログラムの実行方法としてCalcSample\javaの実行例を説明します。

　ここでは、同一システムにCORBAサービスとPortable-ORBをインストールして、サーバアプリケーションはCまたはC++言語のサンプルプログラムを使用し、Javaアプレットを同一システム上のWebサーバ上に格納して、マシン上にJavaアプレットとPortable-ORBをダウンロードして使用する場合の実行例を示します。

　なお、クライアントマシン上にはJBKプラグインをインストールしておいてください。
　サーバアプリケーションの実行方法は、Microsoft(R) Visual C++(R) .NET Standardを使用した場合の例として説明しています。

＜サーバ＞

1. 以下のフォルダへ現フォルダを移動します。
   　cd C:\Interstage\ODWIN\src\SAMPLE\CalcSample\C_S(c++_sも可) (注1)
2. コマンドプロンプト上でIDLコンパイラを実行してスケルトンを作成します。
   　IDLc simple.idl (注2)
3. エクスプローラなどからソリューション(.sln)ファイルをダブルクリックしてVisual C++を起動します。
4. 起動されたVisual C++の画面から"ソリューション エクスプローラ"をクリックした後、メインプロジェクトフォルダ（実行例では"c_s"と表示）をクリックします。simple_s.c以外のファイルが表示されたときは、simple_s.cを除くすべてのファイルをメニューバーから「編集」-「削除」を選択して削除します（C++サンプルの場合はsimple_s.cpp）。
5. 起動されたVisual C++のメニューバーから「プロジェクト」-「既存項目の追加」を選択します。
6. ダイアログボックス中のファイルの種類から"すべてのファイル"を選択します。
7. ダイアログボックスに表示されたファイルの中から以下のファイルを追加します（C++サンプルの場合はxxx.cpp）。
   ・simple.h
   ・simple_cdr.c
   ・simple_cdr.h
   ・simple_skel.c
   ・simple_c++.cpp（C++サンプルの場合のみ）
8. 起動されたVisual C++のメニューバーから「ビルド」-「ソリューションのビルド」を選択してサーバアプリケーションを作成します。(注3)
9. サンプルプログラムを実行するために必要なインプリメンテーションリポジトリIDとオブジェクトリファレンスを登録します。
   　register.bat
10. サーバアプリケーションの作成が正常終了した後、メニューバーから「デバッグ」-「デバッグなしで開始」を選択します。
    　＜実行したサーバアプリケーションのコンソールが起動されます＞
11. 以下のフォルダへ現フォルダを移動します。
    　cd %PORB_SAMPLES%\CalcSample\java
12. クライアントアプリケーションを作成します。
    　set CLASSPATH=.;%PORB_HOME%\lib\ODporb4.jar;%PORB_HOME%\lib\CosNaming4.jar;%CLASSPATH%
    　IDLc -java simple.idl
    　javac -d . *.java
13. 作成したクライアントアプリケーションのjarアーカイブファイル（client2.jar）を作成します。
    　jar cvf client2.jar *class ODdemo\*.class ODdemo\calculatorPackage\*.class
14. 作成したクライアントアプリケーションのjarアーカイブファイルと使用するPortable-ORBのライブラリにデジタル署名を実施し、クライアントアプリケーションを実行するWindows(R)クライアントでデジタル署名を有効とするための環境設定を行います。
    デジタル署名の詳細については、“ダウンロードオブジェクトと署名対象オブジェクト”および“keytool/jarsigner/policytoolを使用した場合のデジタル署名”を参照してください。

＜Webサーバ＞

1. 作成したクライアントアプリケーションをWebサーバのドキュメントルート配下の任意のフォルダに複写します(APPLETDIR:アプレットを格納するフォルダです)。
   　mkdir %APPLETDIR%
   　copy %PORB_SAMPLES%\CalcSample\java\client2.jar %APPLETDIR%
   　copy %PORB_SAMPLES%\CalcSample\java\*.html %APPLETDIR%
2. Portable-ORBをダウンロード可能とするために、必要なファイルをコピーします。(注4)
   　cd %APPLETDIR%
   　copy %PORB_HOME%\lib\ODporb4_plugin.jar .
   　copy %PORB_HOME%\lib\CosNaming4_plugin.jar .
   　copy %PORB_HOME%\lib\InterfaceRep4_plugin.jar .
   　mkdir etc
   　copy %PORB_HOME%\etc\* etc
3. Portable-ORBの環境ファイルの設定を行います。
   porbeditenvコマンドを使用して、%APPLETDIR%\etcに格納される動作環境ファイルのホスト情報を設定します。

＜クライアント＞

1. ブラウザで、Webサーバに格納されたCalcSample4.htmlをHTTPプロトコルを使用して開きます。CalcSample4.htmlをダブルクリックした場合(fileプロトコル使用)は、セキュリティチェックの対象となり正常に動作しないことがあります。
2. 入力画面から数値や文字を入力して"OK"をクリックします。

＜サーバ＞

1. サーバアプリケーションを終了させます。
2. 不要となったサンプルプログラムのインプリメンテーションリポジトリIDとオブジェクトリファレンスを削除します。
   　unregister

注1) 本サンプルプログラムを実行するときは、以下のどちらかのサーバアプリケーションを使用します。
　・CalcSample\c_s
　・CalcSample\c++_s

注2) C++サンプルのIDLコンパイル時には-vcppオプションを付けてコンパイルします。
　例．IDLc -vcpp simple.idl

注3) サンプルプログラムのコンパイル時に警告メッセージが出力されることがありますが、動作上は問題ありません。

注4) アプレットと同一フォルダにコピーしないで使用する場合は、ダウンロード可能なようにHTML内のARCHIVE指定の変更、および動作環境ファイルの格納位置をPORB_HOMEによって指定します。
　PORB_HOMEの指定方法は、“Portable-ORB動作環境ファイルの指定”を参照してください。