PRIMECLUSTER Wizard for NAS 導入運用手引書 4.2 - Linux for Itanium -
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付録B NAS クラスタ自動 takeover 機能のチューニング方法

PRIMECLUSTER Wizard for NAS では、ping コマンドにより NAS 装置へアクセス可能かどうか監視しています。そして、ping の応答がない (アクセス不能) 場合に自動 takeover 処理を行います。以下では、NAS クラスタ自動 takeover 実行開始時間、および環境設定 Wizard で設定可能な ping コマンドに対するパラメタのチューニング方法について説明します。

■自動 takeover 実行開始時間のチューニング

自動 takeover 処理の実行開始時間は、クラスタノード - HUB 間監視とクラスタノード - NAS 装置間監視を考慮する必要があります。

  1. クラスタノード - HUB 間では GLS リソースが監視を行っています。GLS 監視により、NIC 切替が完了するまでは自動 takeover が実行しないように設定しなければいけません。
    つまり、
    GLS 監視開始時間 (a) + NIC 切替時間 (b) < 自動 takeover 実行開始時間 (X)
    を満たす必要があります。
    よって、次式のようになります。

    (a) + (b) = 10 (秒)+ 約30 or 約60(秒) < X(秒)

    ※NIC切替の所要時間

    HUB-HUB監視なしの場合

    約30秒

    HUB-HUB監視ありの場合

    約60秒


    GLS 監視については、「PRIMECLUSTER Global Link Services 導入運用手引書 (伝送路二重化機能編)」 を参照してください。

  2. クラスタノード - NAS 装置間を監視している RemoteFileSystems (RFS) リソースは、障害を検知すると300秒 (推奨値) 経過後にリソース異常となります。
    よって、Wizard for NAS の自動 takeover 実行開始までの時間と takeover に要する時間の和が、300秒以内である必要があります。
    つまり、次式のようになります。

    自動 takeover の実行開始時間 (X) ≦
    RemoteFileSystems リソースタイムアウト時間 (300秒) − takeover に要する時間

1. と 2. より、以下の条件式 (1) が考えられます。(X = 自動 takeover 実行開始時間)

約40秒 or 約70秒 < X < 300(秒) − takeoverに要する時間 ・・・・・・(1)

次に、自動 takeover 処理の実行開始までの流れを以下の図に示します。

図より、(1) 式を満たす自動 takeover 処理実行開始時間は (m) の範囲となります。

■環境設定 Wizard で設定可能な ping コマンドのパラメタのチューニング

以上のことから、ping 処理は (m) の範囲内で完了することが必要です。
デフォルト値は以下のようになります。

A

NAS 装置への ping コマンドの発行回数

10回

B

NAS 装置への ping コマンドのタイムアウト時間

5秒

C

NAS 装置への ping コマンドの実行間隔

5秒

Netapp リソースで異常検知してから、自動 takeover を実行するまでに要する ping 処理時間は以下の式により算出できます。

( B. + C. ) × ( A. - 1 ) + B. = (5+5)×9 + 5 = 95秒

よって、デフォルト値での自動 takeover 実行開始時間は Wizard for NAS の監視開始から95秒後となります。


takeover に要する時間は環境により変化します。


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