SSF/Backup Facility 導入手引書
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第5章 クラスタ構成での導入

5.10 ダイレクトバックアップの設定

本章では、ダイレクトバックアップの環境設定について説明します。

 

5.10.1 カーネルパラメタのチューニン 

  • 本作業は、プライマリノードとセカンダリノードの両方で行ってください。

チューニングが必要なカーネルパラメタとその値については、以下の表を参照してください。

[カーネルパラメタのチューニング値]

資源

パラメタ

説明

チューニング値

セマフォ

semsys:seminfo_semmni

セマフォ識別子の数

1

semsys:seminfo_semmns

システム内のセマフォ数

30

semsys:seminfo_semmnu

システム内のundo造体の数

最大バックアップ要求多重度×2

 

  • 最大バックアップ要求多重度の見積もり方法については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「1.3.1.7 最大バックアップ要求多重度の見積もり」を参照してください。

 

カーネルパラメタを編集するには、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを以下のように追加します。既にカーネルパラメタが設定されている場合は、編集前の値(設定されていなければSolaris OSのデフォルト値)に上記の値を加算してください。

 

  • カーネルパラメタのチューニング値については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「付録H カーネルパラメタ見積もりワークシート」を参照してください。

◆カーネルパラメタの編集例

最大バックアップ要求多重度が10の場合

set semsys:seminfo_semmni = 352
set semsys:seminfo_semmns = 732
set semsys:seminfo_semmnu = 592

 

設定内容を反映させるため、システムを再起動します。

# shutdown -y -g0 -i6 <Return>

 

5.10.2 テープライブラリとテープドライブの設 

ダイレクトバックアップで使用するすべてのテープライブラリとテープドライブを設定ファイルに登録します。

  • 本作業は、プライマリノードのみで行ってください。

 

設定は以下の手順で行います。

  • ダイレクトバックアップを利用したバックアップ運用において、バックアップデータをテープで管理する場合、この設定作業が必須となります。

 

5.10.2.1 設定手順 

設定は、以下の手順で行います。

  1. GDS ボリュームを起動します。

    # sdxvolume -N -c class0001 -v volume0003 <Return>

     

  2. ディレクトリをマウントします。

    # mount /dev/sfdsk/class0001/dsk/volume0003 /sp/dbu/adm <Return>

     

  3. ファイル編集エディタで、ダイレクトバックアップで使用するすべてのテープライブラリの名前を“使用テープ装置設定ファイル(TapeLibrary.conf)”に追加し、テープライブラリの共用/非共用を設定します。以下は、ファイル編集エディタとしてvi(1)コマンドを利用する例です。

    # vi /sp/dbu/adm/setup/TapeLibrary.conf <Return>

     

  4. ファイル編集エディタで、“使用テープ装置設定ファイル(TapeLibrary.conf)”の項目 Modeにおいて"SHARE"と記述したテープライブラリのテープドライブについて、“使用ドライブ装置設定ファイル(TapeDrive.conf)”にテープドライブの使用/不使用を設定します。以下は、ファイル編集エディタとしてvi(1)コマンドを利用する例です。

    # vi /sp/dbu/adm/setup/TapeDrive.conf <Return>

     

  5. ファイル編集エディタで、“テープ制御汎用設定ファイル(TapeGeneral.conf)"に必要な設定を記述します。以下は、ファイル編集エディタとしてvi(1)コマンドを利用する例です。

    # vi /sp/dbu/adm/setup/TapeGeneral.conf <Return>

     

    導入時には、磁気情報未消去のテープにダイレクトバックアップが書き込みを行うことを禁止します。(禁止しない場合は、運用開始時に禁止を解除してください。)

    テープ制御汎用設定ファイルに、以下の行を追加する。

    "ERASED_CHECK" "1"

     

  6. ディレクトリをアンマウントします。

    # umount /sp/dbu/adm <Return>

     

  7. GDS ボリュームを停止します。

    # sdxvolume -F -c class0001 -v volume0003 <Return>

     

■使用テープ装置設定ファイルの書式説明

“使用テープ装置設定ファイル(TapeLibrary.conf)”は、以下のような書式のテキストファイルです。

#LibraryName   Mode    LibraryController   Server      Kind
"machine1"     "USE"   "LMF-LITE"          "sp5000"     "LT160"

 

書式と記述内容を説明します。

 

  • 使用テープ装置設定ファイルが存在しない場合や記述形式に誤りがある場合、ダイレクトバックアップサーバの起動が失敗します。
  • テープライブラリの名前の記述が誤っていた場合、ダイレクトバックアップサーバの起動は成功しますが、テープライブラリは認識されません。使用テープ装置設定ファイルを変更した時は、テープライブラリ一覧画面で、テープライブラリが表示されることを確認してください。

 

使用ドライブ装置設定ファイルの書式説明

  • 以下の設定で記述できるテープドライブは、前述の“使用テープ装置設定ファイル”でModeを“SHARE”にしたテープライブラリに属するものだけです。

“使用ドライブ装置設定ファイル(TapeDrive.conf)”は、以下の書式を持つテキストファイルです。

#LibraryName   DriveName   Mode
"machine1"     "drive1"    "USE"
"machine1"     "drive2"    "NOTUSE"

 

書式と記述内容を説明します。

 

  • 使用ドライブ装置設定ファイルが存在しない場合や記述に誤りがある場合、ダイレクトバックアップサーバの起動が失敗します。

  • 使用テープ装置設定ファイルで項目 Modeを“SHARE”にしたテープライブラリに属するテープドライブのうち、使用ドライブ装置設定ファイルに記述のないものはすべて“NOTUSE”として扱われます。

  • 使用ドライブ装置設定ファイルは、SPリーズの両ノードで共用されます。したがって、使用テープ装置設定ファイルで項目Modeを“SHARE”にしたテープライブラリに属するテープドライブのうち、2つのノードから使用するものは、すべて“USE”を記述してください。

 

テープ制御汎用設定ファイルの書式説明

“テープ制御汎用設定ファイル(TapeGeneral.conf)”は、以下の書式を持つテキストファイルです。

#Parameter_name    Value
"ERASED_CHECK"     "1"

 

書式と記述内容を説明します。

  • テープ制御汎用設定ファイルが存在しない場合や記述に誤りがある場合、ダイレクトバックアップサーバの起動が失敗します。

 

5.10.3 SP論理ユニット制御機能の環境構

■事前作業

作業を進める前に、共用ボリュームを起動します。

  1. プライマリノードで、GDS ボリュームを起動します。

    以下のコマンドを実行してください。

    # sdxvolume -N -c class0001 -v volume0009 <Return>

     

  2. プライマリノードで[管理ファイル]スライスをマウントします。

    以下のコマンドを実行してください。

    # mount /dev/sfdsk/class0001/dsk/volume0009 /sp/uty <Return>

     

■論理ユニットの用途の設定

以下の論理ユニットに対して、その用途を設定します。

なお、論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップの場合には、SPシリーズに接続するETERNUS ディスクアレイの名前のみで論理ユニット情報は記述する必要はありません。

プライマリノードで/sp/uty/conf/diskadm/luinfo.confに論理ユニットとその用途を記述します。以下の書式にしたがってください。

GR (<GR name>) {
<volume type> <volume number> <usage>
<volume type> <volume number> <usage>
    ・
    ・
    ・
}

GR (<GR name>) {
<volume type> <volume number> <usage>
<volume type> <volume number> <usage>
    ・
    ・
    ・
}
    ・
    ・
    ・

論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップの場合には、以下の書式に従ってください。

GR (<GR name>) {
}

GR (<GR name>) {
}
    ・
    ・
    ・

 

項目

意味

GR name

SPシリーズに接続するETERNUS ディスクアレイの名前を指定してください。

  • 名前の長さは24文字以内です。
  • 名前に使用できる文字は、ASCII文字コード表で定義されている文字のうちの、印刷可能文字です。
  • ETERNUS ディスクアレイごとにユニークな名前を付けてください。

volume type

volume number で指定する論理ユニットの、ハードウェア上種類を指定します。

  • 1 … OLU (UNIX/IAサーバで使用する論理ユニット)

本書による導入作業では、1を指定してください。

volume number

論理ユニット番号(16進数)です。論理ユニット番号とは、論理ユニットを登録した時にETERNUSmgrによって付けられる値です。
ETERNUS3000,ETERNUS4000,ETERNUS GR seriesの場合16進数3桁で "0〜fff"、ETERNUS6000の場合16進数4桁で "0〜1fff"、ETERNUS8000の場合16進数4桁で "0〜3fff" の数を指定可能です。また、ETERNUS6000,ETERNUS8000の場合でも16進数 1000未満の論理ユニット番号については、16進数3桁で指定可能です。

Usage

バックアップ運用における使用用途を指定します。

  • 0 … 未使用
  • 1 … ファイルシステム用
  • 2 … プール領域用

本書による導入作業では、マルチパスを作成した論理ユニットには1を、バックアップ論理ユニットには2を指定してくさだい。

  • luinfo.confには、SP論理ユニット(SPシリーズで使用する管理ファイルを配置した論理ユニット)及びアクセスパス用論理ユニット(ダイレクトバックアップがETERNUS ディスクアレイにアクセスするためのパスとして使用する論理ユニット)は定義しません。"Usage" の "1"は、前記以外の用途でSPシリーズから参照可能なファイルシステムを作成している場合に使用します。
  • オプションのSystemwalker Centric ManagerとStorage CruiserまたはSystemwalker Resource Coordinatorを導入し、これらを連携する場合には、GR nameには、英数字とマイナス(-)とピリオド(.)のみで名前を付けてください。

 

  • 同一ディレクトリ以下に雛型ファイルがあります。コピーし、環境に合わせて修正し利用が可能です。

# cp /sp/uty/conf/diskadm/luinfo.conf.sample /sp/uty/conf/diskadm/luinfo.conf <Return>

 

各項目間は、空白文字で区切ってください。なお、先頭文字が“#”で始まる行は、コメント行として扱われます。以下に記述例を示します。

# This line is a comment
GR (GR001) {   
1 0 2
1 1 2
1 aa 1
}

GR (GR002) {
1 1 2
1 2 2
1 ab 1
}

論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップの場合の記述例を示します。

# This line is a comment
GR (GR001) {
}

GR (GR002) {
}

 

5.10.4 アクセスパスの設

ダイレクトバックアップがETERNUS ディスクアレイにアクセスするために使用するパスを、/sp/uty/conf/diskadm/devpath.confファイルに記述してください。

管理ファイル領域を構築するETERNUS ディスクアレイは、(管理ファイルを配置する)5本の論理ユニットを指定してください。
それ以外のETERNUS ディスクアレイがある場合は、各ETERNUS ディスクアレイ毎に(アクセスパス用の)4本の論理ユニットを指定してください。

  • 本作業は、プライマリノードのみで行ってください。
  • 一つのパスを一行で記述してください。

  • 管理ファイルを配置する論理ユニットの詳細については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「B.1 SP管理ファイル領域の容量見積もり」を参照してください。

■/sp/uty/conf/diskadm/devpath.confファイル編集手順

/sp/uty/conf/diskadm/devpath.confファイルを以下の順序で編集します。

  1. 管理ファイルを配置する論理ユニット(保守用データ領域)を2本記述します。

    [MPLBパス]を指定

    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2051s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2052s2

    • マルチパスの最後には、"s2"を追加してください。

     

  2. 管理ファイルを配置する論理ユニット([保守用データ領域]以外の論理ユニット)を3本追加します。

    [GDSパス:MPLBインスタンス番号]を指定

    /dev/sfdsk/class0001/rdsk/volume0000:mplb2048
    /dev/sfdsk/class0001/rdsk/volume0002:mplb2049
    /dev/sfdsk/class0001/rdsk/volume0004:mplb2050

    • 各論理ユニット毎に、1つのパスを記述してください。
    • 本設定は、手順1で設定している最後の行以降に追加してください。

     

  3. アクセスパス用論理ユニットを4本追加します。

    [MPLBパス]を指定

    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2053s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2054s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2055s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2056s2

    • 本作業は、アクセスパス用論理ユニットがある(ETERNUS ディスクアレイが複数の)場合のみ行ってください。
    • マルチパスの最後には、"s2"を追加してください。

     

  • ETERNUS ディスクアレイが2台接続されている時の devpath.confの例です。下線部で示す5本が管理ファイル領域をもつETERNUS ディスクアレイのパスで、その下の4本がもう一つのETERNUS ディスクアレイのパスです。

/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2051s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2052s2
/dev/sfdsk/class0001/rdsk/volume0000:mplb2048
/dev/sfdsk/class0001/rdsk/volume0002:mplb2049
/dev/sfdsk/class0001/rdsk/volume0004:mplb2050

/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2053s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2054s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2055s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2056s2

 

  • 同一ディレクトリ以下に雛型ファイルがあります。コピーし、環境に合わせて修正し利用が可能です。

# cp /sp/uty/conf/diskadm/devpath.conf.sample /sp/uty/conf/diskadm/devpath.conf <Return>

 

■設定の後処理

設定後、共用ボリュームを停止します。

  1. プライマリノードで、[管理ファイル]スライスをアンマウントします。

    以下のコマンドを実行してください。

    # umount /sp/uty <Return>

     

  2. プライマリノードで、GDS ボリュームを停止します。

    以下のコマンドを実行してください。

    # sdxvolume -F -c class0001 -v volume0009 <Return>

 

5.10.5 環境変数の設 

  • 本作業は、プライマリノードのみで行ってください。

ダイレクトバックアップで使用する環境変数(SWSTGNODE)に必要な値を設定します。

設定は、以下の手順で行います。

 

  1. GDS ボリュームを起動します。

    # sdxvolume -N -c class0001 -v volume0003 <Return>

     

  2. ディレクトリをマウントします。

    # mount /dev/sfdsk/class0001/dsk/volume0003 /sp/dbu/adm <Return>

     

  3. /sp/dbu/adm/setup/switch_dbud.confファイル内に設定されている、「SWSTGNODE=」に“sp5000”(引継ぎノード名)と定義します。
    #ident  "%W% %G% %U% - FUJITSU"
    #******************************************************************************
    #
    # All Rights Reserved, COPYRIGHT(C) FUJITSU LIMITED 2000-2004
    #
    #   DirectBackup init configuration file
    #
    #******************************************************************************
    # set up only cluster
    SWSTGNODE=sp5000
    
    # <none> or -n
    DBUD_START_OPT=""
    
    # NDMP hostname(s) (separated by space)
    # set up only NR1000F volume backup
    NDMPHOSTS=""

     

  4. ディレクトリをアンマウントします。

    # umount /sp/dbu/adm <Return>

     

  5. GDS ボリュームを停止します。

    # sdxvolume -F -c class0001 -v volume0003 <Return>

 


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