PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Linux版)
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第6章 バックアップとリストア> 6.6 ドメイン外サーバからのバックアップとリストア> 6.6.2 スライス切離しによるスナップショットを使用したバックアップとリストア

6.6.2.7 リストア手順


バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合、Node3において、sdaおよびsdbの両方のデータをテープからリストアすることができます。この場合は、手順10)のスライス切離しは実施しないでください。

8) 業務の停止

運用ドメインのノードNode1およびNode2において、業務用ボリュームVolume1を使用しているアプリケーションを停止します。

Volume1をファイルシステムとして使用している場合は、アンマウントします。


9) 業務用ボリュームの停止

運用ドメインのノードNode1およびNode2において、業務用ボリュームVolume1への不当な書込みを防止するため、Volume1を停止します。以下のコマンドをNode1またはNode2で実行してください。

# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume1 -e allnodes


10) 業務用ボリュームのスライス切離し

運用ドメインにおいて、業務用ボリュームVolume1のスライスのうち、リストアの対象となるディスクDisk1以外のディスク(Disk2)上のスライスを、Volume1から一時的に切り離します。以下のコマンドを運用ドメインのノードNode1またはNode2で実行します。

# sdxslice -M -c Class1 -d Disk2 -v Volume1 -a jrm=off

スライス用の高速等価性回復モード
バックアップサーバNode3において、ディスクDisk1のデータをテープからリストアした後、運用ドメインにおいて、ディスクDisk2上のスライスを業務ボリュームVolume1に再度組み込みます。このとき、組み込んだスライスにボリューム全体のデータをコピーする必要があります。このため、切り離すスライスの高速等価性回復モードをオフに設定しておく必要があります。


バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合、本手順(スライス切離し)は実施しないでください。


11) 業務用ボリュームの構成と状態の確認

運用ドメインのノードNode1およびNode2において、リストアの対象となる業務用ボリュームVolume1の構成と状態を確認します。ボリュームVolume1がSTOP状態であることと、ボリュームを構成するスライスのうち、リストア対象のスライスVolume1.Disk1のみがSTOP状態であり、他のスライスはTEMPまたはTEMP-STOP状態であることを確認します。ボリュームの状態やスライスの状態が不当な場合は、「ボリューム状態に関する異常」または「スライス状態に関する異常」を参照して状態を復旧してください。

# sdxinfo -c Class1

OBJ    NAME    TYPE     SCOPE       SPARE
------ ------- -------- ----------- -----
class  Class1  shared   Node1:Node2     0
OBJ    NAME     TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT       STATUS
------ -------  ------ ------- ------- ------- -------- ---------------- -------
disk   Disk1   mirror Class1  Group1   sda     8380800 Node1:Node2      ENABLE
disk   Disk2    mirror Class1  Group1   sdb     8380800 Node1:Node2      ENABLE
OBJ    NAME    CLASS   DISKS               BLKS     FREEBLKS SPARE
------ ------- ------- ------------------- -------- -------- -----
group  Group1  Class1  Disk1:Disk2          8290304  7176192     0
OBJ    NAME    CLASS   GROUP   SKIP JRM   1STBLK   LASTBLK  BLOCKS   STATUS
------ ------- ------- ------- ---- ---   -------- -------- -------- --------
volume *       Class1  Group1  *    *           0    65535     65536 PRIVATE
volume Volume1 Class1  Group1  off  on     65536  1114111  1048576 STOP
volume *       Class1  Group1  *    *     1114112  8290303   7176192 FREE
OBJ    CLASS   GROUP   DISK     VOLUME  STATUS
------ ------- ------- -------  ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 STOP
slice  Class1  Group1  Disk2    Volume1 TEMP


バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合は、Volume1を構成するすべてのスライスがSTOP状態であることを確認してください。


12) リストア用シャドウボリュームの作成

バックアップサーバNode3において、ディスクsda上にリストア用のボリューム(シャドウボリューム)を作成します。以下の設定をバックアップサーバNode3で実施します。リストア用シャドウボリュームとバックアップ用シャドウボリュームは共通です。すでに作成されている場合は、本手順を実施する必要はありません。


不適切な構成のシャドウボリュームに書込みを行うと、業務用ボリュームのデータが破損することがあります。手順12-5)において、シャドウボリュームの構成が適切であることを必ず確認してください。


バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合、リストア用シャドウボリュームをVolume1と同じ構成で作成します。この場合、リストア用シャドウボリュームとバックアップ用シャドウボリュームは共通ではありません。

12-1) シャドウディスクの登録

ディスクsdaをシャドウクラスClass2に登録し、Disk1というディスク名を付けます。

# sdxshadowdisk -M -c Class2 -d sda=Disk1


バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合、Volume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)をシャドウクラスに登録してください。

12-2) シャドウグループの作成

シャドウディスクDisk1をミラータイプのシャドウグループGroup1に接続します。

# sdxshadowdisk -C -c Class2 -g Group1 -d Disk1


バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合、Volume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)をシャドウグループに接続してください。

12-3) シャドウボリュームの作成

シャドウグループGroup1に、シャドウボリュームVolume1を作成します。

# sdxshadowvolume -M -c Class2 -g Group1 -v Volume1 -s 1048576

12-4) シャドウボリュームのアクセスモードの変更

シャドウボリュームVolume1を読書き用のアクセスモード(rw)で起動します。

# sdxshadowvolume -F -c Class2 -v Volume1
# sdxshadowvolume -N -c Class2 -v Volume1 -e mode=rw

12-5) シャドウボリュームの構成の確認

sdxinfoコマンドを実行し、グループ情報のDISKSフィールド、ボリューム情報の1STBLKフィールドおよびBLOCKSフィールドなどから、グループ構成やボリューム構成が適切であることを確認します。

# sdxinfo -c Class2

OBJ    NAME    TYPE     SCOPE       SPARE
------ ------- -------- ----------- -----
class  Class2  local   Node3           0
OBJ    NAME    TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT       STATUS
------ ------- ------ ------- ------- ------- -------- ---------------- -------
disk   Disk1   mirror Class2  Group1   sda     8380800 Node3            ENABLE
OBJ    NAME    CLASS   DISKS               BLKS     FREEBLKS SPARE
------ ------- ------- ------------------- -------- -------- -----
group  Group1  Class2  Disk1                8290304  7176192     0
OBJ    NAME    CLASS   GROUP   SKIP JRM  1STBLK   LASTBLK   BLOCKS   STATUS
------ ------- ------- ------- ---- ---  -------- --------  -------- --------
volume *       Class2  Group1  *    *           0    65535     65536 PRIVATE
volume Volume1 Class2  Group1  off  off    65536  1114111  1048576 ACTIVE
volume *       Class2  Group1  *    *     1114112  8290303   7176192 FREE
OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class2  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE

 

13) テープからのリストア

バックアップサーバNode3において、シャドウボリュームのデータを手順5)でバックアップしたテープからリストアします。シャドウボリュームVolume1のデータをテープ装置/dev/st0のテープ媒体からリストアする例を示します。


リストア方法の詳細については、リストアするファイルシステムや使用するコマンドのマニュアルを参照してください。

13a) dd(1)コマンドを使用してデータをリストアする場合

# dd if=/dev/st0 of=/dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 bs=32768

13b) tar(1)コマンドを使用してext3ファイルシステムをリストアする場合

13b-1) シャドウボリュームVolume1にext3ファイルシステムを作成します。

# mkfs -t ext3 /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1

13b-2) シャドウボリュームVolume1上のext3ファイルシステムを、一時的なマウントポイント/mnt1にマウントします。

# mkdir /mnt1
# mount -t ext3 /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 /mnt1

13b-3) ファイルシステムのデータをテープからリストアします。

# cd /mnt1
# tar xvf /dev/st0

13b-4) 手順13b-3)でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。

# cd /
# umount /mnt1
# rmdir /mnt1


14) シャドウボリュームの削除

リストアが完了したら、シャドウボリュームへの不当なアクセスを防ぐため、シャドウボリュームを削除します。バックアップサーバNode3で以下の作業を実施します。

14-1) シャドウボリュームの停止

シャドウボリュームVolume1を停止します。

# sdxshadowvolume -F -c Class2 -v Volume1

14-2) シャドウボリュームの削除

シャドウボリュームVolume1を削除します。

# sdxshadowvolume -R -c Class2 -v Volume1

14-3) シャドウグループの削除

シャドウグループGroup1を削除します。

# sdxshadowgroup -R -c Class2 -g Group1

14-4) シャドウディスクの削除

シャドウディスクDisk1を削除します。

# sdxshadowdisk -R -c Class2 -d Disk1

バックアップサーバNode3からボリュームVolume1を構成するすべてのディスク(sdaおよびsdb)にアクセスできる場合、手順12)でシャドウクラスClass2に登録したすべてのディスク(sdaおよびsdb)を削除してください。

 

15) 業務の再開と業務用ボリュームのスライス再組込み

運用ドメインで業務を再開します。業務を実行するノードで以下の作業を実施してください。

ここでは、業務用ボリュームの等価性回復よりも業務の再開を優先し、まず業務を再開し、業務運用中にボリュームの等価性回復を行う手順を示します。業務の再開よりもボリュームの等価性回復を優先する場合は、手順15-1), 15-3), 15-4)(等価性コピー処理の完了を確認), 15-2)の順に実施してください。

15-1) 業務用ボリュームの起動

業務用ボリュームVolume1を起動します。

# sdxvolume -N -c Class1 -v Volume1

15-2) 業務の再開

手順8)で業務用ボリュームVolume1上のファイルシステムをアンマウントした場合は、再度マウントします。

Volume1を使用するアプリケーションを起動します。

15-3) 業務用ボリュームのスライス再組込み

手順10)で業務用ボリュームVolume1から一時的に切り離したスライスVolume1.Disk2を、Volume1に再度組み込みます。

# sdxslice -R -c Class1 -d Disk2 -v Volume1

コマンドが復帰した後、ボリュームVolume1のDisk1上のスライスからDisk2上のスライスへの等価性コピー処理が実行されます。

15-4) コピー状況の確認

等価性コピー処理の状況は、sdxinfo -Sコマンドで確認することができます。コピー先のスライスは、コピー処理中はCOPY状態であり、コピー処理が正常に完了するとACTIVE状態(ただしVolume1がSTOP状態の場合はSTOP状態)になります。

# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume1

OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE
slice  Class1  Group1  Disk2   Volume1 COPY



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