ファイアウォール機能 テクニカルガイド
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第5章 FAQ> 5.4 運用上の留意事項

5.4.4 CPU負荷軽減(アラート設定)

主に、Solaris版でアラート発生時にメール通知を行う環境でCPU負荷が高くなる場合に、以下の回避方法をご検討ください。

■アラート通知機構

アラート通知機構の概要は、以下の通りです。

  1. セットアップで、アラート監視の閾値を設定します。

  2. IPフィルタでパケットを処理します。

  3. IPフィルタは、処理したパケットの情報をアラート通知機能に通知します。

  4. アラート通知機能は、IPフィルタから通知されたログ情報をもとに、アラート発生有無を判断します。アラート発生有無は、セットアップで設定されたアラート閾値から判断します。

  5. アラート発生と判断した場合、アラート通知先にメール送信が指定されている場合、システムのメールクライアント(/bin/rmail)を利用してメール通知を行います。rmailは受信したデータを、メールサーバへ送信します。

ここで、閾値は、「アラート設定」で設定します。

デフォルト設定は以下の通りです。

項目

デフォルト値

Solaris版

Windows版

パケット監視時間

3600秒

60秒

同一送信元アラート判定基準値

5回

20回

同一送信先アラート判定基準値

5回

20回

メール通知

あり(root)

アラート時実行コマンド

なし

なし

■CPU 負荷軽減策

アラート処理のCPU 負荷軽減策には、アラート機能全体で有効な対応、及び、メール通知に有効な対応があります。

運用形態に応じて、適用するCPU 負荷軽減策をご検討ください。

なお、いずれの場合においても、その対策の根底には、

対応が行なわれることを暗黙の前提としていること、ご理解願います。

■アラート通知機能全体に有効な対応

◆アラートイベントの発生を防止

ある特定の通信(たとえば、RIPやNETBIOSなど)に関するアラートが発生している場合、当該特定通信に対して、ログ情報を採取しないフィルタ設定を行なうことで、当該パケットに関するログ情報は採取されなくなります。

結果的に、アラート判定で当該パケットに関する情報は除外されるため、アラートイベントの発生を抑止することができます。

チューニング方法

詳細は、「ブロードキャストパケットの制御」を参照してください。

◆アラートイベントの発生を削減

本製品で検出するアラートイベントは、以下の閾値を変更することでは、チューニングが可能です。

チューニング方法

セットアップを起動し、"アラート設定"を選択します。

表示された"アラート設定"画面で、次の値を変更して下さい。

パラメタ

デフォルト

意味

Solaris版

Windows版

パケット監視単位時間

3600秒

60秒

アラートイベントの判定基準となる単位時間を指定します。ここで指定した単位時間で破棄パケット数をカウントし、アラート判定基準値を越えた場合、アラートイベントとして判定されます。この値を小さくすることで、アラートイベントの判定基準が緩やかになります。

アラート判定基準値

5回

20回

パケット監視単位時間内で、破棄パケットをいくつ以上検出した場合にアラートイベントとして判定するかの基準値を指定します。この値を大きくすることで、アラートイベントの判定基準が緩やかになります。

◆メール通知処理を無効化(Solaris版 非公開機能)

メール通知機能を無効化します。

なお、本方法は、非公開機能であり、また、運用上、セットアップを起動した場合には、必ず環境設定ファイルの再編集が必要となります。

チューニング方法

留意事項

◆アラート機構を無効化(Solaris版 非公開機能)

アラート通知処理では、IPフィルタから受信したログ情報をもとに、コネクションごとの情報に変換しています。

このため、アラートが多発する環境においては、上記コネクション情報への変換処理がCPU 負荷を上げる可能性があります。

これへの対応として、アラート機構自体を無効化することも可能です。

ただし、本対応を行う場合には、以下に留意してください。

patch:910410-04が適用されていることが必要です。

パケットモニタ(pmon)にはコネクション情報は出力されなくなります。

本設定を解除する場合、「アラートメール送信先」には、実際に送信する送信先を指定してください。また、システムパラメタを編集前の値に戻してシステムをリブートしてください。

チューニング方法

以下の設定を行ってください。

  1. 本製品の機能をを停止します。

    sh /etc/rc0.d/K71FSUNipsec stop

    sh /etc/rc0.d/K72fwip stop

  2. システムパラメタを編集し、ログ格納領域を拡張します。

    ログ格納領域は、システムパラメタ(strmsgsz)の設定値に従って拡張することができます(MAX=1Mバイト)。

    (ex) ログ格納領域を1Mバイトに拡張する場合 /etc/system に以下のエントリを追加します。

    set strmsgsz=0x100000

  3. セットアップ画面の「アラート設定」で「アラートメール送信先」に、アラートメールの通知を行わないことを示す以下の文字列を設定します。

    no_sgalert
  4. システムをリブートします。

■メール通知機能に有効な対応

◆メール通知環境の確認

アラートイベントをメール通知する場合、メール通知環境を適切に設定しておくことが必要です。

たとえば、メールクライアントからメールサーバへの通信がブロックされ、アラート通知がループダウンした事象がありました。

また、sendmail 8.7.x 以降では、自ホスト定義の公式ホスト名の別名に FQDN が記述されていない場合、 メール送信処理がスローダウンする場合があります。その場合、/etc/inet/hosts の自ホスト定義の公式ホスト名の別名に FQDN を記述します。


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