Network Storage Server 概説書
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第2章 機能

2.2 統合バックアップ機能

2.2.1 メリット・効果 

SSF/Backup Facilityでは、異機種で複数のサーバが扱うデータをETERNUS3000/6000,GR seriesを使用して一箇所にまとめ、一括してバックアップデータの管理および保全を行う運用が可能になります。

SSF/Backup Facilityは、SAN環境下のETERNUS3000/6000,GR series上の業務ボリューム、NAS環境下のETERNUS NR1000F seriesのディレクトリおよび、ネットワーク上(LAN環境)に分散しているストレージ(業務ボリュームまたは業務ファイル)のバックアップ運用が可能です。

 

2.2.2 バックアップ機能 

2.2.2.1 SAN環境でのバックアップ 

SSF/Backup Facilityを搭載した Network Storage Serverに接続されているETERNUS3000/6000,GR series上の業務ボリュームについては、ダイレクトバックアップ機能を使ってバックアップすることができます。

ダイレクトバックアップ機能によるバックアップ運用のイメージは以下のようになります。

  1. 操作端末やシェルスクリプトからバックアップ指示を出すと、バックアップ指示はダイレクトバックアップに伝達されます。
  2. ダイレクトバックアップは、ETERNUS3000/6000,GR series内の業務ボリュームをETERNUS3000/6000,GR seriesのアドバンスト・コピー機能(OPC/EC)を使って、ETERNUS3000/6000,GR series内に用意したバックアップ用の論理ユニットにコピーします。
  3. バックアップ先に磁気テープが指定されている場合は、バックアップデータを格納した論理ユニットから磁気テープにバックアップデータをコピーします。

この様に、ダイレクトバックアップは、業務サーバ、業務LANおよびETERNUS3000/6000,GR seriesと業務サーバを結ぶSANに負荷をかけること無く業務データをバックアップする事ができます。

  • ECは、バックアップの前に業務ボリュームをバックアップ用の論理ユニットにコピーします。その後、業務ボリュームに対する更新を常にバックアップ用の論理ユニットにも反映し、等価状態を維持します。
    バックアップ要求を受け付けた時点で等価状態の維持を解除することにより、その時点のバックアップデータを採取する方式です。
  • OPCは、バックアップ要求を受け付けた時点から業務ボリュームをバックアップ用の論理ユニットにコピーします。コピーには時間がかかりますが、コピー中に業務ボリュームが更新されてもバックアップ要求受け付け時点の状態のコピーが保証されます。これにより、バックアップ要求を発行後すぐに通常の業務を再開できます。

 

ダイレクトバックアップには、以下のバックアップの種類があります。

 

論理デバイスバックアップ

論理デバイスバックアップは、ダイレクトバックアップと業務サーバ側のSoftek AdvancedCopy Managerのエージェントが連携することにより、バックアップ対象のボリュームのアクセスを停止させ、ボリューム上のデータを固定化してバックアップを行う方法です。

この方法では、業務サーバ上でバックアップ採取前と採取後に、バックアップ対象データに応じた処理を行うことができます。この処理を業務アプリケーションと連携させることにより、業務を停止することなくバックアップを採取することもできます。

以下に、ダイレクトバックアップと連携可能な業務サーバのプラットフォームを示します。

UNIX Solaris 2.6, 7, 8, 9, 10 OS
HP-UX 11.00, 11i (※)
AIX 5L 5.1, 5.2 (※)
Red Hat Enterprise Linux AS/ES(v.2.1 for x86/v.3 for x86/v.4 for Itanium) (※)
Windows Windows NT Server 4.0
Windows 2000 Server/Advanced Server
Windows Server 2003 (IA64/IA32) (※)

※:一部の機能(ファイル単位リストア)は、使用できません。


論理デバイスバックアップで、バックアップ可能なバックアップデータ種別を以下に示します。

ボリュームのバックアップは、アドバンスト・コピー機能を使用するため、バックアップが直ちに完了します。このため、業務運用にほとんど影響を与えません。

 

◆データベースのバックアップ

業務ボリュームがデータベースの場合、業務サーバ側のSoftek AdvancedCopy Managerのエージェントおよび各DBMS機能と連携し、DBMS運用中に無停止で整合性のあるデータベーススペース群のバックアップを行います。

特にSymfowareのデータベーススペース(論理デバイス)に対しては、ロググループ単位で一括してバックアップを行います。

  • Symfowareデータベースのバックアップは、以下の業務サーバのみ対応しています。
    −Solaris 2.6, 7, 8, 9 OS
    −Red Hat Enterprise Linux AS/ES(v.3 for x86/v.4 for Itanium)

 

 

論理ユニットバックアップ

論理ユニットバックアップは、ダイレクトバックアップが業務サーバの運用状態に関わらず、バックアップ対象ボリューム(論理ユニット)をバックアップする方法です。

この方法では、業務サーバと連携しないでバックアップを行うため、バックアップ実行前に業務サーバを停止させるなど、業務ボリュームが配置されている論理ユニット全体に、アクセスが発生しないようにする必要があります。

論理ユニットバックアップでは、業務サーバのプラットフォームまたはデータ種別に関わらずバックアップが可能です。

ボリュームのバックアップは、アドバンスト・コピー機能を使用し、バックアップが直ちに完了するため、業務サーバの再起動などの短時間にバックアップを採取することも可能です。

  • 業務サーバ運用中に、論理ユニットバックアップでバックアップを採取することができます。しかし、対象となる論理ユニットがデータの書き込み中であっても、その時点の論理ユニットの内容がそのままバックアップデータとなります。そのため、そのバックアップデータからのリカバリが不可能となることがありますので注意が必要です。
  • 論理ユニットバックアップは、バックアップされたタイミングを運用プログラム自身が認識する必要があるデータ(データベースなど)のバックアップ運用には適しません。そのようなデータをバックアップ運用する場合は、論理デバイスバックアップを使用してください。

 

 

■論理デバイスバックアップと論理ユニットバックアップの違い

論理デバイスバックアップと論理ユニットバックアップは、業務の運用形態により、使い分ける必要があります。

このことから、論理デバイスバックアップは24時間運用、論理ユニットバックアップは定時間運用といった業務形態によって選択してください。

 

グローバルサーバの業務データのバックアップ

グローバルサーバの業務データのバックアップは、グローバルサーバに搭載されたSystemwalker StorageMGR GR/CFとダイレクトバックアップの連携により、SSF/Backup Facility と接続されたグローバルサーバ上からETERNUS6000の論理ユニット(MLU)に対するバックアップ運用を行うことができます。

グローバルサーバの業務データのバックアップ運用では、Systemwalker StorageMGR GR/CFの制御文によってバックアップ操作を行います。ただし、ハード障害などでグローバルサーバが使用できなくなった場合に備え、グローバルサーバの業務データを復旧させるために必要な「バックアップ履歴情報の参照」と「リストアの実行」の操作は、SSF/Backup Facility 上から実行可能です。

 

2.2.2.2 LAN環境でのバックアップ 

ネットワーク上に分散しているストレージ資源は、以下のネットワーク型バックアップソフトウェアを利用してバックアップすることができます。

本機能でバックアップの対象となるボリューム/ファイルはいずれも、ネットワーク型バックアップソフトウェアのクライアントがサポートするオープンシステムのボリューム/ファイルです。

  • ネットワーク型バックアップ機能を使用する場合には、SSF/Backup Facilityを搭載した Network Storage Serverにはバックアップソフトウェアのサーバ機能、バックアップ対象とする業務サーバにはクライアント機能を事前にインストールしておく必要があります。

  • ネットワーク型バックアップソフトウェアの機能については、使用するバックアップソフトウェアのマニュアルを参照してください。

 

2.2.2.3 NAS環境でのバックアップ 

SSF/Backup Facilityを搭載した Network Storage Serverに接続されているNAS環境のETERNUS NR1000F series上の業務ボリュームについては、ダイレクトバックアップ機能を使ってバックアップすることができます。

本機能は、ダイレクトバックアップからNDMP(Network Data Management Protocol)を使用することにより ETERNUS NR1000F seriesのボリュームに含まれるディレクトリ単位で、テープ媒体へのバックアップを行うものです。

この方法では、業務サーバと連携しないでバックアップを行うため、バックアップ実行前に業務サーバを停止させるなど、業務ボリュームに対して、アクセスが発生しないようにする必要があります。

  • 業務サーバ運用中に、NDMPバックアップでバックアップを採取することができます。しかし、バックアップ対象となるディレクトリがデータの書き込み中であっても、その時点の内容がそのままバックアップデータとなります。そのため、そのバックアップデータからのリカバリが不可能となることがありますので注意が必要です。
  • NDMPバックアップを行う場合は、SSF/Backup Facilityを搭載した Network Storage Serverに「SSF/Backup Facility NR1000 バックアップライセンス」を導入する必要があります。

 


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