PCI Hot Plug ユーザーズガイド 2.5.1
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目次

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4.1 cfgadmコマンド(cfgadm_pci(1M))
【名前】
cfgadm (cfgadm_pci(1M)) - PCI Hot Plugオペレーションの実行
【形式】
/usr/sbin/cfgadm [-v] [ap_id | -s "select=class(pci)"]
/usr/sbin/cfgadm -c [disconnect | configure] ap_id [ap_id...]
/usr/sbin/cfgadm -x led[=fault,mode=[on | off | blink]] ap_id [ap_id*]
/usr/sbin/cfgadm -x [enable_autoconfig | disable_autoconfig] ap_id [ap_id...]
【使用条件】
本コマンドはrootユーザ権限でのみ実行が可能です。
本コマンドの実行可能環境については、“1.2 PCI Hot Plugの動作環境”を参照してください。
【機能説明】
PCIカードの切離し・組込みなどの構成変更、および活性交換時のPCIカードの切離し・組込みを支援する為のコマンドです。
自パーティションに属するPCIカードに対してのみ操作が可能です。
【オプション】
以下のオプションがあります。
ap_idは、cfgadm(cfgadm_pci(1M))コマンドにより表示された該当PCIカードに対応する値を意味します。
- オプション指定なし
- 全スロットの状態表示を行います。
各スロットに対して、Type, Receptacle, Occupant, Conditionの情報を表示します。
- Type
- スロットのタイプを示します。*/hpと表示されるスロットがPCI Hot Plugに対応するPCIスロットです。
- Receptacle
- スロットの接続状態を示します。状態には、disconnected(電源オフ)、connected(電源オン)、empty(空)の3種類があります。
- Occupant
- スロットの状態を示します。状態には、configured(組込み済)、unconfigured(切離し済)の2種類があります。
- Condition
- スロットの故障有無を表します。状態には、ok(正常)、failed(故障中)、unknown(未決)、unusable(無効)があります。
- ap_id*
- ap_idで指定されたスロットの状態表示を行います。
ap_idの書式には、Solaris OSによって異なり、以下の3通りがあります。
- Solaris 8 OSおよびSolaris 9 OSの場合
- pcipsyX:CYM0Z-PCI#slotWW (筐体内スロット)
- WWは物理スロット番号、XはPCI Bus nexusドライバのインスタンス番号、YはPCI Hot Plug機能を持つ筐体番号(0,1)を指定し、Zは対応するシステムボードの筺体内番号(0,1,2,3)を指定します。
- pcipsyX:RYB0Z-PCI#slotWW (PCI/ディスクBOX内スロット)
- WWは物理スロット番号、XはPCI Bus nexusドライバのインスタンス番号、YはPCI Hot Plug機能を持つI/O筐体番号(0,1,2,3)を指定し、ZはI/O筺体内PCI/ディスクBOX番号(0,1,2,3,4,5,6,7)を指定します。
- pcipsyX:PCI#slotWW
- WWは物理スロット番号、XはPCI Bus nexusドライバのインスタンス番号を指定します。
- Solaris 10 OSの場合
- CYM0Z-PCI#WW (筐体内スロット)
- WWは物理スロット番号、YはPCI Hot Plug機能を持つ筐体番号(0,1)を指定し、Zは対応するシステムボードの筺体内番号(0,1,2,3)を指定します。
- RYB0Z-PCI#WW (PCI/ディスクBOX内スロット)
- WWは物理スロット番号、YはPCI Hot Plug機能を持つI/O筐体番号(0,1,2,3)を指定し、ZはI/O筺体内PCI/ディスクBOX番号(0,1,2,3,4,5,6,7)を指定します。
- PCI#WW
- WWは物理スロット番号を指定します。
- -s "select=class(pci)"
- PCIカードの状態のみを表示します。
- -v
- スロットの詳細情報の表示を行います。
- PCIカードに対するPCI Hot Plug操作用オプション
- -c 機能名
- 以下の機能名がPCI Hot Plug機能に使用されています。
- disconnect
- ap_idで指定するPCIスロットの切離しおよび電源断を行います。
活性削除・活性交換時に指定します。
- configure
- ap_idで指定するPCIデバイスの電源投入および組込みを行います。
活性増設・移動後の組込み・活性交換後の組込み時に指定します。
- -x led[=[led引数],mode=[mode引数]]
- =[led引数],mode=[mode引数]を指定しない場合、ap_idで指定するPCIスロットにおけるLEDの状態を表示します。fault LEDはALARM LEDに対応し、active LEDはONLINE LEDに対応しています。power LEDおよびattn LEDは未サポートのため、状態はunknownと表示されます。
mode=[mode引数]を指定する場合は、ap_idで指定するPCIスロットにおける該当LEDのモードを設定します。各引数には、以下のものがあります。
- led引数には、以下を指定できます。
fault: ALARM LEDに対応しています。
- mode引数には、以下を指定できます。
on: 点灯を意味します。
blink: 点滅を意味します。
off: 消灯を意味します。
- -x 機能名
- 以下の機能名がPCI Hot Plug機能に実装されています。これらの機能名を使用することによって、プッシュボタンのPCI Hot Plug機能を有効/無効化することができます。運用時は誤動作防止のため各機能を無効に設定し、PCIカードの交換・取外し時に有効に設定変更することを推奨します。
- enable_autoconfig
- ap_idで指定するPCIデバイスでのプッシュボタンによるPCI Hot Plug操作を有効化します。デフォルト値は有効です。この設定を行ったPCIスロットのプッシュボタンを押下することにより、以下のいずれかを実行できます。
- ap_idで指定するPCIスロットの電源投入とデバイス組込み
- ap_idで指定するPCIデバイスの切離しとスロットの電源断
- disable_autoconfig
- ap_idで指定するPCIデバイスでのプッシュボタンによるPCI Hot Plug操作を無効化します。
【実行例】
- Solaris 8 OS およびSolaris 9 OSの場合
- 全スロットの状態表示を行う。
# cfgadm
表示される内容は以下のとおり
- ap_idがpcipsy2:R0B00-PCI#slot01で表されるPCIスロットの詳細状態表示を行う。
# cfgadm -v pcipsy2:R0B00-PCI#slot01
表示される内容は以下のとおり

- ap_idがpcipsy2:R0B00-PCI#slot01で表される、PCIデバイスの電源投入および組込みを行う。01は物理スロット番号、2はPCI Bus nexusドライバインスタンス番号、0はPCI Hot Plug機能を持つI/O筐体番号、00は筺体内PCI/ディスクBOX番号の場合。
# cfgadm -c configure pcipsy2:R0B00-PCI#slot01
- ap_idがpcipsy2:R0B00-PCI#slot01で表されるPCIデバイスのLEDのモードを確認する。
# cfgadm -x led pcipsy2:R0B00-PCI#slot01
表示される内容は以下のとおり

- ap_idがpcipsy2:R0B00-PCI#slot01で表されるPCIデバイスのALARM LEDを点滅させ、切り離すPCIスロットの位置を確認する。
# cfgadm -x led=fault,mode=blink pcipsy2:R0B00-PCI#slot01
- ap_idがpcipsy2:R0B00-PCI#slot01で表されるPCIスロットの切離しおよび電源断を行う。
# cfgadm -c disconnect pcipsy2:R0B00-PCI#slot01
- Solaris 10 OSの場合
- 全スロットの状態表示を行う。
# cfgadm
表示される内容は以下のとおり

- ap_idがR0B00-PCI#01で表されるPCIスロットの詳細状態表示を行う。
# cfgadm -v R0B00-PCI#01
表示される内容は以下のとおり

- ap_idがR0B00-PCI#01で表される、PCIデバイスの電源投入および組込みを行う。01は物理スロット番号、0はPCI Hot Plug機能を持つI/O筐体番号、00は筺体内PCI/ディスクBOX番号の場合。
# cfgadm -c configure R0B00-PCI#01
- ap_idがR0B00-PCI#01で表されるPCIデバイスのLEDのモードを確認する。
# cfgadm -x led R0B00-PCI#01
表示される内容は以下のとおり

- ap_idがR0B00-PCI#01で表されるPCIデバイスのALARM LEDを点滅させ、切り離すPCIスロットの位置を確認する。
# cfgadm -x led=fault,mode=blink R0B00-PCI#01
- ap_idがR0B00-PCI#01で表されるPCIスロットの切離しおよび電源断を行う。
# cfgadm -c disconnect R0B00-PCI#01
【終了ステータス】
以下の終了ステータスを返します。
- 0
- 正常終了
- >0
- エラーが発生(エラーの内容は、コンソールメッセージまたは/var/adm/messageのエラーメッセージを参照してください)。
【関連情報】
cfgadm(1M)
【注意事項】
- 本コマンドによりPCIカードの切離しまたは組込みを実行する前に、cfgadm(cfgadm_pci(1M))をオブション無しで実行し、対象のPCIカードがPCI Hot Plug操作可能な状態であることを確認してください。
- デバイスの切離しを行う前には、該当するI/Oデバイスが使用中ではないことを確認してください。注意事項の詳細については、“PCI Hot Plugユーザーズガイド I/Oデバイス編”を参照してください。
- PCIカードをスロットへ追加するまたはスロットから取り外す場合には、READY LEDが消えていることを確認してから行ってください。点灯している際に行いますと、ハードウェア故障の原因となる可能性がありますので、ご注意ください。
- -c オプションの機能名として、unconfigureおよびconnectは使用しないでください。
- -x オプションの機能名として、enable_slotおよびdisable_slotは使用しないでください。
- -x ledオプションを使用して、LEDの状態を変更した後、該当LEDで正しい状態が表せなくなる場合がありますのでご注意ください。ただし、以下のコマンドにより位置確認を行う場合は問題ありません。
# cfgadm -x led=fault,mode=blink ap_id
- PCIカードが故障するなどしてConditionにfailedと表示されたスロットは、カードを交換してもPCI Hot Plugにより組込むことはできませんのでご注意ください。また、これ以降このスロットに対するPCI Hot Plugの操作を行わないようご注意ください。
- devfsadmd(1M)によるデバイス情報の構成実行中に、cfgadm(cfgadm_pci(1M))の状態表示操作等が指示された場合、終了するまでに長時間がかかることがあります。devfsadmd(1M)は構成デバイスの変更時に実行され、全デバイスを検索し変更部分のデバイス情報を再構成します。
これにより、システム起動後に初めてdevfsadmが実行された場合やシステム構成に大規模な変更があった際に、devfsadmの実行中にcfgadmによる状態表示操作などを行うと、cfgadmはデバイス情報構成の終了を待ち合わせるため、結果を表示するまでに時間がかかります。なお、デバイス構成が終了した後は、上記cfgadmコマンドは即時復帰します。
本コマンドによるPCI Hot Plug 操作時に、入力の誤り等によりエラーメッセージが出力される場合があります。
以下に例として、発生しやすい誤りに対して出力されるエラーメッセージを記載します。
通常のPCI Hot Plug操作におけるエラーメッセージ
- 指定したap_idが誤っている場合
メッセージ |
cfgadm: 接続点が見つかりません |
原因 |
指定したap_idが誤っています。 |
対処方法 |
指定したap_idに誤りがないか確認した後、再度実行してください。 |
- 指定した状態遷移を実行できない場合
メッセージ |
cfgadm: 構成の操作は不正です: 不正な移行です。 |
原因 |
指定した状態遷移を実行できませんでした。 |
対処方法 |
指定した状態へ移行可能か確認した後、再度実行してください。 |
- 指定したオプションの引数が誤っている場合(LEDを操作する場合等)
メッセージ |
cfgadm: 構成の操作は不正です |
原因 |
指定したオプションの引数が誤っています。 |
対処方法 |
指定したオプションの引数に誤りがないか確認した後、再度実行してください。 |
- PCIカード未実装の空スロットに対し、組込み操作が指示された場合
メッセージ |
cfgadm: ハードウェア固有の障害です: configure failed |
原因 |
PCIカード未実装の空スロットに対し、組込み操作が指示されましたが失敗しました。指定したスロットにおけるPCI Hot Plug操作が実行不可能なために、エラーが表示されています。
注意:「ハードウェア固有の障害」と表示されますが、出力されるエラーの内容が原因とは異なりますので注意してください。 |
対処方法 |
指定したap_idの状態に誤りがないか確認してください。 |
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